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レポート
2002.08.10
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003_沖野修也/OKINO SHUYA

DJ/クラブ「room」オーナー
毎月最終水曜日の夜8時。沖野氏は車でソファや照明を
運び込み、「ラウンジ」いえ、「フューチャー・ジャズ
喫茶」と化す。

若い子がクラブからカフェに流出?!

このところ、クラブは10年たったから、もうしまい。次はカフェです、みたいな風潮があるような気がするんですよ。僕もカフェは好きだし、流行ってること自体を否定もしないけど、それは違うでしょ、と思ったんです。

外国に行くとわかるけど、カフェはカフェで、クラブはクラブ。別もんなんです。それぞれ音楽に対するスタンスが違うんですよ。クラブは音楽に対してもうちょっと能動的で、もっと新しい音楽を知りたい、という人が来るところで、カフェは音楽をBGM的なものとして捉えている人が行くところ。

実は、カフェブームになり始めたころに、「カフェやってくださいよ」って誘われたんです。でも、バワリ−の山本さんとか、最近だとチャノマとかをやっている高城さんとか友だちなんで、彼等がやってる店に行けばいいんですよ。僕がやることはない。

でも、2〜3年くらい前からかな。でっかい音で音楽を聴きたい人もいれば、友だちと話をしたり、コミュニケーションもしたいけど、音楽も聴きたい、というスタンスの人がいることは、実感として受け止めていて。この1年ほど、クラブでもない、カフェでもない、中間的なものができないかな、とずっと考えていたんです。クラブでDJやってきた人間が提案する、新しい空間……。ということで思いついたのが、クラブにソファを持ち込むことだったんです。

僕の場合、原点に立ち戻ると、「ジャズ喫茶」だったんですよ。いい音楽を聴きながら、批評しあったり語り合ったりする場所。僕がつくっている音とか好きな音はジャズなんです。昔ながらのジャズも好きだし、そこにハウスとかテクノとかが混じった21世紀のジャズ、つまりフューチャージャズも好き。だから、ジャズ喫茶の復活とカフェブームの流れをミックスした「フューチャ−ジャズ喫茶」にした、というわけです。

「芸能」と「文化」は別もん

実は、僕が上京して、クラブ「ル−ム」をオープンしたのが 92年。だから、今年の12月でちょうど10年目になるんですよ。最初は、こんな外れで店やんの無理や、ってみんなに反対されてたんですよね(笑)。でも、結果的には、ここから、大沢くんをはじめ、MONDO GROSSO、Kyoto Jazz Massive、bird、カヒミカリィ、UA、Aikoなど、たくさんのミュージシャンが生まれていった。さらに、そんな僕らの音を聴いて、音楽が好きになった若者たちがいっぱい育っていったんですよ。時代は変わっても、僕は、そこにこだわっていきたいと思ってるんです。

80年代のバブル期は、経済もお金も強かったと思うんです。今は、経済は弱いけど、人の心はまたお金に向いてる。このところ、音楽業界も厳しいから、結果的に、お金をくれる人のいいなりになっているっていう側面が強いんです。特に東京ではね。若い子に、何を発信したいの? っていうのが見えない人が増えてる(苦笑)。

メディアの功罪いうのかな。メディアが先導することによって、本当は価値のないものが、流布してしまう。いいもを拡げるのもメディアの役割やけど、資本の力で無理矢理押し拡げてしまうのも事実。その区別がつきにくい時代になってると思うんです。

「芸能」が悪いとは思ってないんですよ。でも、「文化」とは分けようよ、と思うんです。例えば、洋服てね、売り上げでファッションの評価はされないじゃないですか。たとえば、青山かなんかのスーツの量販店の方が、ジャン・ポール・ゴルチェよりも売り上げは高いと思うんですよ。でも、それをファッションと思うかどうか。僕、ユニクロはファッションじゃないと思ってるんですよ。あれは衣類、衣料。音楽も同じで、「芸能」と「文化」は別。「芸能」は売れていいと思う。でも、「文化」は必ずしも売れるとは限らない。売り上げで価値が決まるわけではないんです。
コンピレーション・アルバム『SOFA』
(KSR)もリリース。

発信する人が試される時代

今の若い子らは、センスは確実によくなってると思うので、つくるっていうことに対して、もっと積極的になって欲しいですね。お金がないと、何もできないと思ってたりする。でも、お金じゃないんですよ。すべてはモチベーションありき。好きだからやるのか、流行ってるからやるのか、儲かるからやるのか、実はぜんぜん違うと思うんです。

音楽は今厳しいから、かえって本当に情熱のある人しか、世の中に出てこれない、いい状況だと思いますね。僕らが「THE ROOM」からいろんな音楽を発信してきたように、このフューチャージャズ喫茶からも、若いミュージシャンがいっぱい出てくれたらいいと思ってます。
THE ROOM 10周年を機に創刊したフュ−チャー
・ジャズ専門フリーペーパー『QUALITY』

「永遠の19歳のつもりです(笑)」

僕、今35歳なんですけど、他のクラブとかにも行くじゃないですか。でも、友だちの35歳とかは、音がでっかいのヤダとか、空気悪いのヤダとか、座れないと疲れるとかって言うのんが実際に多いんですよ。でも、いい音楽は聴きたい。そういう35歳くらいの人が、ふだんクラブには行かないけど、このフューチャー・ジャズ喫茶には定期的に来るようになってますね。

まあ、クラブは10年やったけど、ジャズ喫茶のマスターはまだビギナーなんですよ(笑)。新しいことを始める時はいつもビギナー。いつも、そういう新鮮な気持ちいたいですね。僕、上京して最初に降り立った街が渋谷だったんですよ。だから、新しいトライアルを始める場所も、渋谷にこだわりたいんです。「THE ROOM」にこだわりたいんです。で、気持ちは19歳。永遠の若者のつもりでね(笑)。


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