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NGO就職ガイダンス〜NGOで働きたい方へ〜
レポート
2008.04.01
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NGO就職ガイダンス〜NGOで働きたい方へ〜

国際協力NGOへの就職希望者を対象とした説明会

団塊世代が一斉に定年退職を迎える2007年問題や、企業業績の回復基調などの影響から、2009年度の新卒採用はバブル期なみの“売り手市場”になっている。優秀な人材を確保しようと、地方企業が東京で採用活動を始めたり、大学主催の会社説明会に参加するなど企業側の攻勢が激化しているが、そんな状況の一方で、国際協力機関やNGOへの就職希望者が増えているという。

国際協力NGOセンター(以下JANIC)が1992年から開催している「NGO就職ガイダンス」は、NGOへの就職希望者を対象とした説明会である。これは就職を斡旋するものではなく、長年NGO団体で活躍する講師が「職場としてのNGO」の状況を説明するものである。

「国際協力NGO団体への就職希望者は年々増えていますが、情報を得る場は少なく、どうやったら就職できるのか迷っている方や、実際に働いてみたら想像と違った、とすぐに辞めてしまう方が少なくないんです。そういった方々に、具体的な情報を提供し、NGOで働くことへの正しい理解を促すことがこのガイダンスの目的です。人材育成が、結果的に日本のNGOの活性化につながると考えています」(JANIC金戸さん)。

実際に、1月30日に開催されたガイダンスに参加してみた。会場は飯田橋の東京ボランティア市民活動センターで、時間は夜の18:30〜20:30。PRは、JANICや国際協力関連団体のホームページ掲載のほか、大学の掲示板にチラシ張り出しを行っているという。JANICが行っている統計データをまとめた「NGO通信シナジー」などの資料が配布され、参加費は1,500円(JANIC会員は1,000円)だ。

講師はJANIC事務局長の下澤嶽氏。約2時間の講話は、日本のNGO団体の実情の説明に始まり、働く際に求められる能力や経験、待遇、情報収集の方法などに、下澤氏の体験談を交えたかなり具体的な内容。さらに、スタッフの8割が海外の現場でなく国内で働いていることや、NGOスタッフの平均年収が300万円前後であるなど、データを交えた内容は、毎年統計調査を行っているJANICならではだ。

参加者は、35 名、男女比は4:6と女性が多い。学生が中心だが、4割ほどは社会人で、仕事帰りと思われるスーツ姿の男女も見られた。なかには愛媛や愛知など遠方からの参加者も。講義中、参加者は熱心にメモを取り、終始真剣な雰囲気。質疑応答では「年齢は採用に関係あるのか」「資金繰りはどうしているのか」「男性は採用に不利なのか」などの質問が飛び交い、関心の高さが伺えた。

同ガイダンスへの参加者は年々増加しており、参加者の年齢や職業も幅広くなっているという。NGO は流動的な雇用形態の場合が多く、中途採用が圧倒的に多い。かつては社会人の参加者が多かったが、ここ数年は大学生が増えているそうだ。また、リタイア後の中高年層も増えているという。

「以前はNGO活動は特別なものというイメージが強かったためか、参加者層もやや独特な傾向が強かったのですが、ここ数年は、より身近で一般的なものとして認知されているようで、幅広い層にご参加頂いています。留学や海外旅行が身近になり、若いうちから海外社会に触れる機会が増え、みなさんボランティアやNGO活動に興味を持つきっかけになっているようです」(金戸さん)。

NGO先進国のアメリカでは、2007年の大学新卒者の就職希望ランキングトップ10に「ピースコープ」や「ティーチ・フォー・アメリカ」などのNGO団体がランキングされるほど人気だが、実は日本も、年々NGOやNPOへの就職希望者が年々増加しているという。JANICが07年に実施した調査によると、NGO団体の求人倍率は実質10倍前後で、人気企業並みだという。好景気で就職機会が拡大しているにも関わらず、NGOへの就職希望者が増えている背景について、金戸さんはこう語る。

「NGO団体の絶対数が増えたことや、法人格を取得し体制が整ったNGO団体が増えたこと、また企業の終身雇用制度が崩壊したことなども、NGOへの就職希望者が増えている原因だと思います。しかし最も大きいのは“働く”ことに対する意識の変化でしょう。仕事に精神的な満足感を求め、世の中の役に立ちたいという考えを持つ方が増えている表れだと思います」(金戸さん)。

定点観測インタビューを見ても、「老人ホームで髪を切るボランティアをしています」(22歳男性/美容師)「ボランティア団体で、マイお箸の普及活動をしています」(20歳女性/専門学校3年生)「カンボジアには孤児院でボランティアをしました」(19歳女性/大学2年生)というように、00年以降、ボランティア活動の経験がある若者が増えており、また、「国際協力系のNGOで働きたい」(22歳女性/大学4年生)「タイなどの発展途上国で家庭科を教えたい」(25歳女性/高校講師)などというように、ここ数年ではNGOへの就職を希望する男女も少なくなく、社会貢献活動が身近なものとして認識されていることが分かる。

そういった人々の関心の高まりを受け、CSR活動の一環として非営利団体を支援する企業が増えるなど、社会環境も少しづつ変化し始めているようだ。

JANICでは今後は、社会人向け、大学院生向け、女性向け、というようにターゲットを絞ったガイダンスの開催も予定しており、地方での開催や、渋谷や代々木など、若者が多く集まる街での開催を検討しているという。

[取材・文/伊藤洋志(フリーライター)+『ACROSS』編集部]


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