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VOUS ETES(ヴゼット)
レポート
2008.08.08
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

VOUS ETES(ヴゼット)

独自のクリエイションが光るVOUS ETES(ヴゼット)が青山に旗艦店をオープン

08年秋冬コレクションの「Guimauve
(ギモーヴ)」。膨らみとエアリー感の
あるコレクション。
白い壁にゴールドで統一された什器が
清楚で上品な雰囲気を演出している。
リントン社製のツイード生地を用いた
ジャケットは、クラッシクながらも飽き
のこないデザイン。
ブルーノート東京のほど近く、骨董通りに
面した好立地にオープン。
モード感のあるスタイルが魅力のファッションブランド「VOUS ETES(ヴゼット)」が、08年5月14日に東京・青山の骨董通りに初の旗艦店をオープンした。ひとつずつ手作業で縫製や裏地まで手が込んでいる同ブランドの服は、やさしい風合いとモード・エレガンスなデザインが特徴で、20代後半〜30代の女性を中心に高い支持を得ている。

ヨウジヤマモトで5年間パタンナーを務めた鈴木忠之さんが96年にスタートした同ブランドは、99年にデンマークの美術工芸学校でテキスタイルを学んだ田辺瑞紀さんを加え、二人三脚で歩んできた。ブランド名の仏語は英語で「You are/あなたは〜」の意味で、着る人により、それぞれ変化があっていいとの気持ちからだという。

「ファッションは時代に寄り添い、変化していくものです。作り手が言葉によって限定することなく、着る人が抱くイメージを大切にし、膨らんでいくブランドでありたいという思いから、ブランドコンセプトは定めておりません」(株式会社ヴゼット プレス担当)。

創設以来、鈴木さんと田辺さんは熟練したパターンテクニックと上質なテキスタイルへのこだわりを信条とし、高品質で女性らしいテイストの服を提案してきた。伊勢丹新宿本店4階の「Re-Style(リ・スタイル)」は、優れた国内ブランドを早くから発掘する実績でも知られているが、同ブランドもここで認知度が広まった経緯がある。00年に発表したツイードジャケットがきっかけで人気に火がつき、現在では同売り場で年2回催されるフェアにおいて、大々的に展開し、毎回好評を博している。その他の主な取り扱い店舗は、バーニーズ ニューヨーク(銀座、新宿)、エストネーション六本木ヒルズ店など。

「ゆっくり自分たちのペースで洋服を作り続けた12年の間に、たくさんの出会いがありました。新しいことをやろうとすると自然な形で人的ネットワークが広がっていくんです。今回の出店を決めたのも、骨董通りに面した角地にあるこの物件を、知人に紹介されたことがきっかけでした」(同社プレス担当)。

出店にあたり同店では、ヴゼットらしさを伝える空間づくりに注力したという。コンパクトながら天井が高い店内は明るい内装の効果もあり、実際より広く感じられる。ベージュの大理石にグレーのモザイクの入った床と、フランス製アンティークのシャンデリアが印象的で、天井と壁を見切る廻り縁に絵画用の額縁を使っているのも新鮮だ。

また、セレクトショップのみの展開では、バイヤーの意向や消費者に受け入れられやすい単品指向のアイテムを中心にせざるを得なくなるが、旗艦店では全アイテムが一同に介すので、ヴゼットの世界観をより強くアピールできるようになったという。主な客層は、近隣のオフィスに勤めるOLや在住者で、休日には20代前半の娘と50代前後の母親が揃って来店することも珍しくないそうだ。商品構成は、ワンピースが3万円〜4万円程度、ジャケット類が4万円〜6万円程度、ボトムスが2万円〜3万円程度。シャネルのツイードスーツの生地を生産することでも有名なスコットランドのリントン社製の素材を用いたジャケットや、ここ数年のトレンドでもあるワンピースなどが人気だそう。改まった席に相応しい装いはもちろん、デニム等とのコーディネイトによりカジュアルダウンすることも可能だ。オン・オフ両方に使い回せるアイテムが多いことが高評価につながっている。

08年秋冬のテーマは、マシュマロを意味する仏語のGuimauve(ギモーヴ)。レース地を何層にも重ねることでエアリー感を演出したワンピースやティアードスカート、多種多様な糸をふんわりミックスさせたツイードのジャケットなど、どれも細部の装飾まで手が込んでいて独特の軽やかなモード感にあふれている。

同ブランドデザイナーの両名のように、大企業に属さずにデザイナー自身が会社経営もこなす国内ブランドが増加傾向にある。ブランドの個性を大切にすることで、消費者のコアなニーズを掘り起こし、その結果、ファッション業界全体の活性化にもつながっている。同ブランドが目指すのも、大量生産や拡大指向の強いスーパーブランドではなく、地に足の着いたこだわりのあるブランドだ。海外ブランドに比べて商品力と価格のバランスが取れた、国内ブランドの真価が見直されつつある。

今後は、旗艦店限定品を展開するなど、商品の幅も広げていく予定だそうだ。

[取材・文/フリーエディター・ライター藤原祥子+『ACROSS』編集部]


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