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Blason de terre(ブラゾン ドゥ テール)
レポート
2008.09.19
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

Blason de terre(ブラゾン ドゥ テール)

個人オーナーによる個性派セレクトショップが広尾にオープン

フェミニン×マニッシュのミックススタイルを
提案。エッジの効いたデザインのアイテムが
揃う。
代官山Aquviiのオリジナルのリングとヘアゴム、
パリで買い付けたアンティークのペンダント
ヘッド
アンヴァレリーアッシュのワンピース。
ロンドンにある古い薬局やバーなどを
イメージしたというクラシカルな店内。
場所は南麻布五郵便局の向かい。
周辺は小さな商店街でアットホームな雰囲気だ。
広尾駅から徒歩5分、外苑西通りを入った有栖川宮記念公園そばに、2008年8月5日、セレクトショップBlason de Terre(ブラゾン ドゥ テール)がオープンした。

オーナーは畑野佑紀絵さん(31)。畑野さんは服飾系の短大を卒業後、97年に代官山のgrapevine by K3(グレープヴァインバイケイスリー)に入社。以後10年間で販売から店長、バイヤーなどを幅広く経験し、原宿店、大阪店のオープン時の立ち上げにも参加した経歴の持ち主である。「昔から自分の店を持ちたいと漠然と考えていて、なんとなく良いタイミングだと感じた」ことから、06年に同社を退職。2年間の準備を経て同店をオープンした。畑野さんによる個人事業で、バイイングから販売まで全て1人で行っている。

同店のコンセプトは、アンティークのジュエリーやヴィンテージの洋服など、昔からある物の素晴らしさを伝えること。新品は、使っていく中でアンティークになっていくであろうものを扱っている。フランス語で「大地の紋章」を意味する店名にも、同じく「普遍的で変わらない美しさと、変わりゆくものが持つ美しさがあり、木々が大地に根づくように、歴史とこれからに思いを馳せることができるものを提供したい」という想いが込められているという。

商品は全てレディースで、インポートが8割、ドメスティックが2割。グレーやモノトーンなどの落ち着いた色合いが中心で、さりげなくエッジの効いたテイストのものが揃う。セレクトの基準は「フェミニンでありながら、マニッシュと絶妙なバランスを持つもの」。フェミニンなブラウスにマニッシュなワイドパンツを合わせるといった、シンプルだが一癖あるミックスコーディネートが提案されている。

取り扱いブランドはフランスのANNE-VALERIE HASH(アン・バレリー・アッシュ)、ブエノスアイレスのMARIA CHER(マリア・シェール)、アメリカのIMITATION(イミテーション)、日本人女性が手がけるアクセサリーブランドpresente par va-tout(プレザンテ・パ・バトゥ)、中目黒・高円寺にある古着屋Que barbaro(ケ・バルバロ)のオリジナルアイテムなど。さらにアントワープで買い付けたアンティークアクセサリーのほか、子ども服も扱っている。来シーズンからイギリスのpaul harnden shoemakers(ポールハーデンシューメーカーズ)等も入荷予定だ。価格帯は1000円〜25万円位と幅広く、ウエアは平均で3万円程度。

周辺は、郵便局や八百屋、酒屋などが並ぶ小さな商店街で、アパレルショップはほとんどない場所。恵比寿や外苑前、青山を中心に物件を探した結果、メインストリートから外れたこの場所を選んだという。
「わざわざ探してきてもらえるような場所に出店したかったんです。アピールしすぎず、ふと気に留めてもらえる感じが、自分らしいと思ったんです」(畑野さん)。

メインの客層は20〜30代の女性。オープンにあたってほとんど告知はせず、知人や昔からの顧客にDMを送った程度だという。近隣の住人が多く訪れるのも特徴で、会社帰りに20〜30代の女性が立ち寄ったり、50代以上の女性が昼間に訪れることも少なくないそうだ。高級住宅地という場所柄、宝石やアンティークに目の肥えた人も多く、「プレッシャーもありますが、やりがいを感じる」と畑野さんはいう。

もともと不動産屋の事務所だったという店舗は8坪。内装は、ディスプレイ関連の仕事をしている畑野さんのお父さんが制作しており、ロンドンにあるような、古くて味があるバーや薬局をイメージしたそうだ。水道管で作ったラックや、レトロでモダンな雰囲気のステンドグラス、手作りのレジカウンターなど、新しいショップでありながら、ずっとここにあったかのようなしっくりと落ち着いた雰囲気を醸し出しており、ゆるやかな雰囲気の広尾の町並みに溶け込んでいる。

広尾は、外苑西通りから有栖川宮記念公園方面は大使館や豪邸が建ち並ぶ森閑とした高級住宅街。一方で、外苑西通りを挟んで渋谷側の広尾商店街は古くからの下町風情を残した光景が広がる。畑野さんがそんな立地をあえて選んだのは、トレンドに影響されずに、独自のセレクトを客層や年代の枠を超えて提案していきたいというコンセプトにぴったりだったからだという。レストランやカフェなどの飲食店、生活雑貨の店は充実しているが、これまで、アパレルのショップはほとんどなく、ファッションのイメージとはかけ離れたエリアだった広尾エリア。同店のオープンにより、新たなファッションの流れが生まれる可能性は十分にあるといえるだろう。

[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集部]


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