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writtenafterwords(リトゥンアフターワーズ)
レポート
2008.09.24
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writtenafterwords(リトゥンアフターワーズ)

ポップシティ・トーキョーならではの、
キッチュで繊細なコレクション

JAPAN FASHION WEEK in TOKYO 2009 Spring/Summer Collection

ポップシティ・トーキョーならではの、キッチュで繊細なコレクション

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 ロンドンのセントラルセントマーティンズ美術学校で出会った山縣良和さんと玉井健太郎さんの2人のデザイナーによるwrittenafterwards(リトゥンアフターワーズ)。

 1回目が「running away from home 〜 家出」、2回目は、家のぬくもりの象徴ともいえる布団を舞台にした「パジャマポルテ」と、毎回ユニークなプレゼンテーションを披露する同ブランドの3回目の東京コレクションは、インスタレーションというスタイルでの発表となった。

 場所は、代々木にあるプーク人形劇場。なんと1958年に発足した人形劇団が1971年に建設した人形劇専門の常設劇場である。

 テーマは「prince,prince,prince」。子ども用につくられているのか、全体的にかなりコンパクトな設計となっており、地下1階の88席は、18ある1階席に入りきらなかったカメラマンと立ち見の人たちで超満員。最前列の座席とヒザをつき合わせるかのように近い舞台の幕が下りたままの下手から、キラキラ星のメロディに合わせて黒人のパペット使いが登場した。パペットたちはお姫様と王子様のウエディングのよう。

 スルスルと開幕した舞台中央には、マネキンの女の子を乗せたミニチュアホースを引く男の子が登場。男の子はテーラードカラーにパフスリーブの白いシャツに黒い半ズボンというどこかコケティッシュなスタイルだが、一方の女の子はレインボウ・ストライプのドレスシャツに白いショートパンツ、ホログラム調に光る帽子でキラキラした印象を受ける、がマネキンなので、動きがやはりコケティッシュだ。

 続いて、イエローのベールにレインボウ・ストライプのカボチャパンツやゴールドのパンツを身に付けた男の子がかわいいチークで登場。ディテールは丁寧で繊細な仕上げになっているのに、頭にはヒマワリの冠が被せられ、どこかおバカな雰囲気に。織りでドット柄を表現したり、レインボウ・ストライプは多用されており、ピンタックがあしらわれたマオカラーのシャツとセットアップ(もしくはつなぎ?)は、キッチュなお姫様のパジャマルックといった雰囲気になっていた。

 と、場面が変わり、幕をスクリーンに見立ててデッサンを描くフィルムが投影され和やかな雰囲気が、徐々に騒がしくなり、爆音とともにモデルたちが右往左往する。ラストは、真っ赤なライトを浴びた男の子と女の子、マネキン、そしてミニチュアポニーが立ちつくす。舞台に配された段ボールで作った炎の小道具から察すると、ひょっとして落城されたのか?

 「今回のテーマは王子です」と言うのはデザイナーの山縣良和さん。

 ショーが終わった後の“囲みインタビュー”で、「最近、ちまたで○○王子、△△王子とか多いじゃないですか。つっこみどころ満載ですよね。王子って何だよ、っていう話になって。今言われている王子って、中性的な男性というか、女と男の中間というか、子どもと大人の中間とか。そういう“中間”というものにこだわってみることにしました」と話す。

 王子といえば、白馬の王子だろう、ということになったのだが、実際にはいない。そういう、イメージと実際の違い、それらが“転換”するさまを表現したかったのだという。

 「かっこいいはずの王子様が実はマネキン、白馬のはずが実はミニチュアホース。そういったシュールというか、“マヌケ感”は外せないですね」(山縣さん)。

 完璧な人間なんてなかなかいないし、難しい。欠点があってもいいじゃないか、というメッセージも込められているというが、20代の若者6人組によるコンテンポラリー・アート集団「チン↑ポム」のピカチューの剥製もインスピレーションの源になったのだとか。
 「かつて渋谷のコギャルの間でピカチューの被りものが流行ったことがあったじゃないですか。なんかそういうキッチュなものの象徴としてもイエローという色になりました」(玉井健太郎さん)。

 服が、“着るもの”“ファッション(流行、モード)”という概念を超えて表現された、<ポップシティ・トーキョー>らしいコレクションとなった。



取材・文/『ACROSS』編集部


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