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DELTA(デルタ)
レポート
2008.10.21
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

DELTA(デルタ)

代々木上原の隠れ家的なセレクトショップが移転リニューアル

内装は建築家の永山祐子さんに依頼。
白を基調とした幻想的な店内。
今季からデビューしたオリジナルブランド
『LOST&FOUND』のジレ。古着を解体
して再構築している。
ニューヨークを中心に、ロンドンやパリ、
バンコクなどの新進気鋭のブランドが揃う。
双子の姉妹によるNYのアクセサリー
ブランドLizzie Fortunato Jewels
(リジー・フォルトゥナート・ジュエルズ)

のネックレス。
1862年から続くスペインのキャンドル
メーカーCERABELLA(セラベラ)
アロマキャンドル。各6,800円
代々木上原駅北口より徒歩1分。
レンガの外観が目印。
商店街や住宅街の中に個人オーナー系の個性的なショップが点在し、独自の商圏を形成することから、弊サイトでも度々紹介してきた代々木上原。青山や渋谷、原宿に近いこともあって、アパレル関係者や美容師などが住むことが多く、自然派のカフェや飲食店の出店が相次いでおり、注目が集まるおしゃれなエリアだ。

2008年6月7日、代々木上原駅の東口を降りてすぐの場所に、セレクトショップ「DELTA(デルタ)」がオープンした。これは、もともと渋谷区上原〜神山町をつなぐ航研通り沿いで運営していた隠れ家的なセレクトショップが、移転リニューアルしたものである。

同店のオーナーは大倉有記さん(33)と大倉綾さん(32)夫妻。バイイングから販売まですべてを2人で行っている。綾さんは服飾系の学校を卒業後、スタイリストのアシスタントを経て某アパレル会社の販売・企画を担当。退社後は某セレクトショップで国内ブランドのバイイングを経験し、04年に同店をオープンした。一方、バイイングからDMまで全体のディレクションを担当している有記さんは、もともとはグラフィックデザイナー。学生時代にはバンド活動で何度かアメリカをツアーで訪れ、音楽などのカルチャーの視点を通してファッションにも携わるようになったという。

以前の店舗は5坪。オープン4年目になり手狭になってきたため、今回の移転に踏み切ったのだそうだ。代々木上原は、ファッション感度が高い大人の街というイメージが気に入り、ここに決めたという。

「お店をオープンした2004年頃はちょうどニューヨークのブルックリンの街外れに若い人達がやっている面白いショップがぽつぽつとでき始めた時期で、代々木上原にもそれに似た空気を感じたんです。ここ数年で自分たちと同世代の個人オーナーによるショップが増えていますし、上原を盛り上げて行きたいという気持ちから、今回も代々木上原エリアで物件を探しました」(有記さん)。

店舗面積は10坪。内装のイメージは“布と光が織りなす少し幻想的なクローゼット”。真っ白の空間に並ぶ商品の前にはカーテン式のオーガンジーがかけられており、照明によって商品がうっすらと浮かびあがる。この芸術的な空間デザインを手がけたのは、ルイ・ヴィトン京都大丸を手がけた建築家の永山祐子さん。2人が思いきって依頼したところ、同店のコンセプトに共感し快諾してくれたという。

秋冬の立ち上がりテーマは「アート・スクール」で、アーティスティックな感性の女の子のクローゼットをイメージ。フェミニンでさりげなくエッジのきいた商品構成が特徴だ。

買い付けはニューヨークが中心で、ロンドンやデンマーク、パリ、スウェーデンなどシーズンごとに変わるという。「セレクトで大切にしているのはデザイナーとの出会い。彼らの人柄や服への想いを重視し、その上でお客さんに合うアイテムを選びます」と綾さん。日本未入荷のブランドや新人デザイナーも積極的に取り入れ、インドやタイ、ブラジルなど日本では馴染みの薄い国のブランドも取り入れている。

商品は全てレディスで、9割がインポート、1割がドメスティック。取り扱いブランドはAlexander Wang(アレキサンダーワン)SEE BY CHLOE(シー・バイ・クロエ)のほか、ニューヨークのStaerk(スターク)、ロサンゼルスのwren(レン)、インド出身のManish Arora(マニシュ・アローラ)、バンコク出身のNuj Novakhett(ナジノバケット)、日本のYAECA(ヤエカ)など。アクセサリーや靴、タイツなどの小物類も充実。また、同店オリジナルブランドのLOST AND FOUND(ロスト・アンド・ファウンド)は、”過去のアーカイヴや体験からエディットする”というコンセプトのもとに、古着を再構築したアイテムを展開している。価格帯はTシャツで5,000〜6,000円、アウターで4万5,000円〜8万円、ドレスは2〜8万円程度。

客層は20代前半〜70代で、メインとなるのは30代〜40代前半。移転後は特に20代が増えたという。アパレル関係者やヘアメイク、芸能人などの顧客も多く、アーティスティックなものやアバンギャルドなものを好む層からの支持も高い。移転前からの顧客が中心で、口コミや紹介での来店も多いという。

また、同店の特徴のひとつが営業時間。「自分が働いていた時、仕事後でもキレイなものを見て、元気になれる店がほしいと感じていたから」(綾さん)という理由から、平日夜は22時までオープンしている。昼間は主婦やフリーランスの人などが中心だが、夜は仕事帰りの働く女性が目立つ“平日消費型”のショップといえる。

「10年位前のセレクトショップには海外にいるような驚きや興奮があり、私自身もそこでファッションの楽しさを知ったように思います。そんな、毎日でも来たくなるようなショップでありたいですね」と有記さん。今後は、海外の新人デザイナーの育成するため、ディストリビューションも手がけていきたいという。

大手セレクトショップでは、幅広い年齢層やファッショントライブをターゲットにした「大型ストア業態セレクトショップ」が主流になっており、国内代理店から買い付けを行っているため、どの店もブランド構成やMDが似通ってしまうという状況になっている。その一方で、千駄ヶ谷や代々木上原、中目黒など、渋谷や原宿などの中心部から少し離れたエリアには、個性的なアイテムを扱う個人オーナー系のセレクトショップが少しづつ増加している。本来のセレクトショップの魅力を伝える同店のようなセレクトショップが、没個性化するアパレル業界を活性化するヒントになってくのではないだろうか。

[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集部]


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