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港区立エコプラザ
レポート
2007.11.28
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港区立エコプラザ

“目指すはエコ版バウハウス”
NPOと企業の共同事業体が運営するオーガニックな、気になる木のハコ

正面と裏側の2箇所にビオトープを設置。
ここに生息する小さな“いのち”を
「みんなとみどりっ子ビオトープアルバム」
で随時紹介している。毎週月曜日更新。
エントランスの一角には小さな
“エコプラザ・ショップ”も。購入時には
商品価格の1〜3割にエコプラザ独自の
エコポイントを使うことができる。
素朴なたたずまいが愛らしい
強化ダンボールの椅子と机は間仕切り
代わりの木の棚に収納。軽くて丈夫な
ダンボールだからこそ成せる技。
その名の通り“毎日”発行される
『毎日アースデイ新聞』。エコプラザ
のみに限らず様々なエコ情報をやさしく
紹介している。
館内の自販機で扱う飲み物は紙素材で
できたカートカン。飲み終わった
カートカンから紙を作る「紙すき」の
ワークショップも随時行っているそうだ。
エコ関連の蔵書が揃うライブラリーは
自由に閲覧が可能。親子で楽しめる本から
専門書までその数約800冊。
ガラス張りのエントランスを一歩入ると、床から壁面、そしてズズッと高い天井までを木の柔らかさが埋め尽くすオーガニックな異空間が広がる。浜松町西口のオフィス街で異彩を放つこの建物の正体は、港区の環境学習施設「港区立エコプラザ」。オープンは2008年6月。旧・神明小学校跡地であるこの場所は、地上17階・地下1階の区民向け住宅として整備されおり、その1階から3階がエコプラザとして利用されている。これまでエコプラザは虎ノ門の旧・鞆絵小学校跡地で長年運営されてきたが、移転とともに新しく生まれ変わった。

1階ホールの奥は、サーチング・ルーム(自習、ライブラリー)、ワーキング・ルーム(体験学習)、ラーニング・ルーム(研修)に分けられ、スライディングドアを外せば、最大約350名収容のオープンスペースに。天井高が約5メートルある上、3つスペースと通路は大小の木の棚を積み上げることでゆるやかに仕切られているため、空間全体に開放感がある。3階は登録制会議室や「みなと環境にやさしい事業者会議」の事務局として利用され、延べ床面積1,157平方メートル。特筆すべきは、使用されるすべての木材が港区とあきる野市の交流事業から生まれた「みなと区民の森」の間伐材であるということ。館外には
ビオトープのほか、太陽光・風力ハイブリッド街灯も設置され、自治体による都心の施設としてはかなり画期的な“エコ仕様”ぶりなのだ。

実は同施設、指定管理者制度を導入し、NPO法人アースデイマネー・アソシエーション毎日新聞社の共同事業体である毎日アースデイ株式会社が施設の運営を行っている。弊サイトでは昨年、指定管理者制度を導入した千代田区立千代田図書館の事例を紹介したが、民間に運営を委ねることで生まれる公共施設の柔軟性と多様性は、日々複雑さと深刻さを増す環境問題を学ぶための施設でこそおおいに発揮されるに違いない。

実は、毎日アースデイ株式会社の代表取締役で、クリエイティブディレクターを務める池田正昭さんは、博報堂が発行する雑誌『広告』の元編集長。

「2001年に同誌のコンテンツとして地域通貨を取り上げたら、いつの間にか“地域通貨領域な人”になって、自然とエコ方面に広がりができたんです」(池田さん)。

それがNPO法人アースデイマネー・アソシエーションの設立につながり、現在も多くのNPO、NGO活動に影響を与えている。港区でも地域通貨の考え方を取り入れたエコポイントを導入したいという話を受け、2006年の春から「みなと環境にやさしい事業者会議」の設立に関わってきた。エコプラザにあきる野の間伐材が使われるようになったのも、「みなと環境にやさしい事業者会議」の「木づかい」シンポジウムに港区の副区長が感銘を受けたことがきっかけとなっている。

「エコプラザが移転し指定管理者制度が導入されることは聞いていましたが、そこに自分が直接関わるとは予期していませんでした。2007年5月のオリエンテーションで、NPOの視点は生かしてほしいけれど、財務状況も審査の対象になるので、企業と共同事業体というかたちを作って出てほしいという話があったんです。書類提出期限までの約1ヶ月では、NPOが一般企業と話し合いを進めて、共同企業体を設立するのは難しい。最終的に旧友である毎日新聞社の新規事業開発室長に相談し、短い期間に共同企業体を設立するプロセスを整えることができました」(池田さん)。

NPO法人アースデイマネー・アソシエーション毎日新聞社には、以前から「『毎日アースデイ新聞』を作りたい」という話があり、それが共同事業体の社名に決定。コンペではNPOでの活動が大きく評価され、5年間運営を委託されることになった。常駐スタッフは6名、受付はシルバー人材センターから派遣されたスタッフが担当している。

「僕らがやってきたNPOは、弱小で、やんちゃで、跳ねっ返り。たぶん、世の中の人からもそんなふうに思われているんじゃないかな。『権力には組みしたくない』というような」(池田さん)。

だからこそ今回のコラボレーションは、NPOと企業、そして行政をつなぐ、ひとつの先進事例になっている。少なくとも、2006年当時、間伐材を使うことが地球温暖化防止に役立つということを理解してくれる区の職員はほとんどいなかった。

「今は港区役所の若い人が、僕らがやっていることに関心を持って協力してくれようとしているのをひしひし感じます。NPO活動で一番ポイントになるのは場作り。場がないことにみんな思い悩んでいるし、場所があればそこから何かが始まるという期待感も生まれる。今回はその受け皿を行政が用意して、立場を超えておもしろいことをやっていきたいと思っています」(池田さん)。

これまでエコに関わりのなかった人にもきっかけを与えるため、「森づくり」「オーガニック」「CO2フリー」をテーマに、趣向を凝らしたセミナーやワークショップ、イベントなどさまざまなアクションが始まっている。企業の本社が多く、昼間人口が圧倒的に多い区であるため、港区だけに留まらず、全国に影響を及ぼす活動を目指す。

「保育園の子どもたちだって、今や温暖化を知ってますからね。世の中の新しい取り組みでエコじゃないことはないわけだし、このハコをどうメディア化していくのかということに興味がある。たとえばアーティストの村上隆さんがこのハコを使って、何かをやってくれたほうが波及効果があるし、よりエコプラザっぽいことができるはず。目指すは、エコ版のバウハウスです」(池田さん)。


〔取材・文:佐久間成美/エコライター〕

港区エコプラザ

http://eco-plaza.net/
〒105-0013 港区浜松町1−13−1
TEL;03-5404-7764
FAX;03-5404-7765

●JR浜松町駅北口下車4分
●都営地下鉄大門駅B1出口下車3分


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