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1LDK(ワンエルディーケー)
レポート
2008.12.11
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

1LDK(ワンエルディーケー)

コンセプトは”日常の中の非日常”。
<ポスト裏原>をターゲットにしたひとつのかたち。

奥のダイニングルーム風の部屋には、
カジュアルラインが並ぶ。
アダム・キメル(Adam Kimmel)や
フランク・リーダー(Frank Leder)、
マイケル・タピア(Michael Tapia)
など世界各国の上質なベーシックブランド
が揃う。
エントランスを入ってすぐは、
シュークローゼットをイメージ。
プレッピーやアウトドア系の
アイテムが人気。
やや古ぼけた緑色のタイル壁は
ヨーロッパ風。エントランス横に
設置された花壇ではハーブを育てて
いるのだとか。
中目黒駅を降り、代官山方面に5分ほど進んだ高架沿いそばに、08年8月8日にセレクトショップ「1LDK(ワンエルディーケー)」がオープンした。同店を手がけるのは、株式会社アッシュペーフランスにてcannabis(カンナビス)factory(ファクトリー)Sleeping Forest(スリーピング・フォーレスト)など、数々の話題のショップのプロデュースやバイイングを行ってきた南貴之さんだ。

同社を退社した南さんは、ファッションをはじめとするショップのクリエイティブディレクション、ブランドコンサルティング、営業代行などを行うα(アルファ)という会社を設立。そして、TASS STANDARD(タススタンダード)grime effect(グライム・エフェクト)などのブランドを打ち出してきたI.D.LAND COMPANY(アイディー・ランド・カンパニー)の新出店を手がけるにあたり、今までにない新たなアプローチの店を構想し、誕生したのがここ1LDKだ。店長を務めるのは、ともにcannabis(カンナビス)やfactory(ファクトリー)に勤務していた関隼平さん(29)。

コンセプトは”日常の中の非日常”で、ベーシックでありながらも、少し視点を変えることにより生まれる新しいスタンダードを提案。メンズウエアのスタンダードを「ワーク」「ミリタリー」「テーラード」「トラッド」「スポーツ」と仮定し、デザイナーの視点や感性がさりげなく感じられるような、ひと捻りあるアイテムをセレクトする。

これまで彼らが手がけてきたcannabis、factoryは、アート性の高いアイテムをユニセックスで提案し、80年代テイストの奇抜なレイヤードスタイルの火付け役となった店。そして、現在それらはマストレンドへと定着した。

「1LDKはさまざまなファッションを通過してきた大人達の着地点ともいえます。そのためにも、大人が満足できるクオリティとクリエイションの高さを重視して、ターゲットは25歳以上の大人を設定。長くスタンダードでありえるものを提案していきます」(関さん)

商品は全てメンズで、国内外のクリエイターのセレクトが8割、インポートとドメスティックの割合は7:3程度。そこに、TASS STANDARD、grime effectなどのオリジナル2割をミックスすることにより、トータルとしてのイメージを提案している。取り扱いブランドは60年代アメリカのワークをベースに”最上級の日常着”を提案するというニューヨークのADAM KIMMEL(アダム・キメル)、 ドイツの職人が国内で生産しているというFRANK LEDER(フランク・リーダー)、パリのMICHAEL TAPIA(マイケル・タピア)など。さらに、日本のシャツブランドSOE(ソーイ)MARKA(マーカ)、モデルのリヒト氏が手がけるブランドCICATA(シカタ)は、同店のための別注アイテムを展開。今後は海外ブランドとの共作も展望しているという。その他、スニーカーやアートブックなどの小物類も用意。バイイングは南氏を中心に2人で行っており、価格帯は7000円〜20万円と幅広い。

ヨーロッパのアパートメントをイメージしたという店内は、その名の通りもともと1部屋だった空間を1LDKに改造したもの。店奥のカウンターキッチンを利用したレジ部分、絨毯敷きのウォークインクローゼットの部屋など、一軒家のようなユニークな造りが特徴的。商品が見やすく、落ち着けるとお客さんからも好評だという。白いタイル張り店の前にはベンチと手作りの庭があり、散歩の途中にふらり立ち寄る人も多い。

これらのインテリアからコンセプトワークを手がけるのは、αが擁するクリエイティブチーム。一見シンプルだが、アンティークの扉は上下が逆に取り付けられていたり、机の脚にイスのパーツ、脚部分に机のパーツを組み合わせるなど、ディテールにも「日常の視点を変えて見える面白さ」が表現されている。

客層は20代前半〜30代中頃が中心で、土地柄か上は50代までが訪れる。平日は1人の男性が多いが、土日にはカップルでの来店も目立つ。

物件は中目黒に絞って探したとのことで、もともとメンズのアパレルショップを経て家具屋だったものを、「見た瞬間にここだと思って」即決したという。中目黒にこだわった理由について尋ねると、「ファッション感度が高く、面白いことができる可能性がまだ残る場所。比較的メンズも強く、10年以上続く重鎮ショップも多い一方、今年2月にオープンしたジョンローレンスサリバンなど新しい感性を持った同世代のショップが共存して、それが面白いと感じたから」と関さん。

近年は、原宿や代官山などのショッピングエリアにも若者向けの大きな資本を持つ店が増加。メガブランドでもインターネットで通販ができる時代となり、店に行く必要性が薄くなっている。

「本来の買い物の楽しさは、店員との会話を楽しんだり、商品に触れることにあると思うんです。だからこそ、アナログに戻ってお客さん1人1人を大切にしたい。今後は、新しい才能を発掘して育てていきながら、この街を盛り上げていきたいですね」(関さん)

独自の時間が流れる中目黒にも、他のエリアと同じく再開発事業は進んでいる。09年には上目黒1丁目に地上45階建の住居兼商業ビルが着工し、12年には副都心線が東急東横線に相互乗り入れに。さらに山手通りの拡張工事も進んでおり、今後さらに新たな人の流れが生まれることが予想される。

都市化と並行してファッションが画一化する中、「足を運びたい」と思える個性的な店が根付いていく、自由な土壌がある中目黒。今後、それらがいかに共存していくかが注目されるが、この場に共鳴する人達のコミュニティが生み出す流れは、今後東京のファッションシーンにおける鍵となるだろう。

[渡辺マキコ(フリーラーター)]
1LDK(ワンエルディーケー)

〒153-0051
東京都目黒区上目黒1-8-28 マンション鈴鹿1-A
TEL.03-3780-1645
営業時間:12:00〜21:00

・取り扱いブランド:
アダム・キメル(Adam Kimmel)アメリカ
フランク・リーダー(Frank Leder)ドイツ
マイケル・タピア(Michael Tapia)フランス
マーカ(Marka)日本
ソーイ(Soe)日本
シカタ(Cicata)日本
ディスカバード(DISCOVERD)日本
バイ・タス・スタンダード(By Tass Standard)日本
グライム・エフェクト(Grime Effect)日本
スラック(SLACK)日本
ジレ(Gilet)日本
オデュール(Odeur)スウェーデン
パトリック・ソダースタム(Patrik Soderstam)スウェーデン
ビー・ポジティブ(Be Positive)イタリア
ほか


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