ACROSS Street Fashion Marketing

コンテンツメニュー
GARNI DINER(ガルニダイナー)
レポート
2009.01.23
この記事のカテゴリー |  飲食・フーディング | 

GARNI DINER(ガルニダイナー)

アクセサリーブランドGARNIが恵比寿にレストランをオープン

店内は16席。重厚感のあるインテリアで、
隠れ家的な雰囲気も。
シルバー製カトラリーを組み合わせた雄鶏。
アンティークのアートピースは、古谷さんが
祖母から譲り受けたもの。
食器はノリタケが円形の美しさにこだわった
「N4」シリーズを使用。GARNIのロゴ入り
オリジナルバージョン。
98年にリリースしたカトラリーシリーズ。
額装しインテリアに。
シカの角を使ったワイルドな照明も
インテリアに調和している。
人気シルバーアクセサリーブランド「GARNI(ガルニ)」が、08年12月5日、恵比寿本店から徒歩30秒の場所にレストラン「GARNI diner(ガルニ・ダイナー)」をオープンした。

オーナー兼デザイナーの古谷エイジさんは、20歳からジュエリーデザイナー勢馬一正さんのもとで修行を重ね、アクセサリーの企画会社勤務を経て、97年に独立。98年に代官山のわずか7坪の店舗でガルニをスタートした。設立当初から “Diverse Conceptions(多様な発想)”をテーマにした無骨ながらも繊細でユニークなデザイン性と、一貫したハンドメイド製法による高い品質によって若者の心をとらえ続け、著名人にもファンが多い。ブランドの成長とともに、同地で徐々に店舗を拡大。04年に移転した現在の店舗は、恵比寿駅から駒沢通りを徒歩5分ほどの所に位置する55坪の広々とした構えだ。

ハンドメイドにこだわる同ブランドでは、スタッフの人材育成にも特徴がある。同社では、全国総勢23人のスタッフが、企画、製造、生産管理、経理、販売といった職域を越え、必ずアクセサリー製造工程に参加するという流れを設けている。また、スタッフシャッフル制度といって、東京、名古屋、京都の各直営店の間で、3カ月毎に配置換えを実施。例えば、京都店で販売業務に従事していたスタッフが、東京オフィスに転勤になり、アクセサリーの研磨作業をするということもあり得るというわけだ。

「勤務地も業務内容も、一カ所に留まっていたのでは、視野が狭くなり、新しい発想が出来なくなります。スタッフには、企画から販売まで一部始終を体験して欲しいし、特に地方のスタッフには東京の動向を肌で感じてもらいたい。人生は一度きりなのだから、いろいろな体験を積んでほしいんです」(プレス担当・辻輝美さん)。

とはいえ、1人で様々な作業をこなすとなると、おろそかになるのが食生活。特に若いスタッフは、毎日の食事をコンビニ弁当で済ませ、時には仕事に集中しすぎて食事を忘れてしまうことすらあるという。スタッフの健康管理にも気を配る古谷氏は、かねてから機会を見つけては社員と連れ立って食事に行っていたそうだ。

「料理は農業から調理まで、究極のハンドメイドが可能な分野です。そんな話をしているうちに、社員の健康のために、そしてショップのお客さまの健康のために、何か出来ないだろうか、ということになり、2005年頃から飲食店の構想を練り始めました」(辻さん)。

元来モノづくりが好きな古谷さんは、アクセサリーから派生する皮小物や洋服などもデザインしているが、飲食店には、衣・食・住の生活のすべての要素が関わるのも魅力だったという。食材の選別や料理はもちろん、食事をするための空間づくり、食器やカトラリー、場に適したファッション、そこから広がるコミュニケーションや人的ネットワークなど、興味の対象は尽きない。

同店シェフ、白須正夫さんは、古谷さんとスタッフが行きつけだった飲食店で腕をふるっていたのが縁で親交が深まり、この構想に参画することになった。白須さんが得意とするイタリアン、ドイツなどのヨーロッパ料理を中心に、素材へのこだわりと適度なボリューム感が売りの創作メニューは、酒のおつまみ関係が800円程、メイン料理が1,500円から1,800円程、その他ドリンク関係は600円から800円程度。取材時も、本日のおすすめとして、白子のムニエル(1,400円)や、千葉産スズキのごま焼き(1,480円)、ズワイ蟹と三種キノコのトマトリゾット(1,380円)などオリジナル感あふれる魅力的なメニューが並ぶ。

15坪の店内は、アクセサリーショップのインテリアイメージである“北欧の別荘”や“大人のくつろぎ”を踏襲しつつも、ベルベットのカーテンや、石造りの壁面、緑のタペストリーなどによって重厚感が増し、大きな木製ロゴマークが空間を引き締める。

スタッフは全員、オフィススタッフや、アクセサリーショップ販売員と兼務しているので、アクセサリーの相談にも対応可能だ。

「アクセサリーショップに務めながら、飲食店で働けるなんて、めったにない経験ですよね。だから、みんなすごく楽しんでいるんですよ。食は全ての原点。人を幸せにする力があります」(辻さん)。

12月から1カ月間は、デモンストレーション期間で、この準備期間でよりよい店づくりのための検討を重ね、09年初頭のグランドオープンを目指す。客層は、20代後半〜30代のガルニファン層の来店が多いが、今後はレストランから同ブランドを知って、アクセサリーショップに来店する、という新しい流れも期待しているそうだ。

02年あたりから、都内では飲食店が急増。IT業界やアパレル業界、音楽業界や広告業界など、異業種からの参入が相次ぎ、80年代を彷彿とさせるような演出過多な飲食店が増殖した。しかしそういった店の中には、05年以降、飲食ブームが去るとともに淘汰されていった店も少なくない。そして現在、飲食店の主流となっているのが、カジュアルで実用的な「ふだん使い」の飲食店である。昨今の景気後退とともに外食費が節約傾向にあるなかで、内装や演出よりも、食材のクオリティやボリューム、安全性といった内容に消費者の意識が向くのも自然な流れと言えるだろう。

内装面ではアクセサリー/アパレルの分野で養ったセンスを活かしながら、素材にこだわった料理を手頃な値段で提供する同店。アクセサリーブランドから飲食という、一見意外とも思える異業種進出の背景には、同社における「スタッフ全員一丸となってもの作りを楽しむ」という、等身大の求心力が発揮されているといえそうだ。

[取材・文/フリーエディター・ライター藤原祥子+『ACROSS』編集部]

GARNI diner(ガルニ・ダイナー)

住所 : 東京都渋谷区恵比寿西1-32-14 B1F
TEL : 03-3476-7335


大きな地図で見る


同じカテゴリの記事
同じキーワードの記事