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haco.EXPRESS ROOM(ハコ エクスプレスルーム)
レポート
2009.07.02
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

haco.EXPRESS ROOM(ハコ エクスプレスルーム)

フェリシモの人気通販『haco.』が週末のみプレスルームを一般開放!

来店されたお客様にはまずスタッフが
同店の趣旨を説明する。
毎週金曜の夜にレイアウトを変更して
一般開放に備えるのだそう。
同店のオリジナルグッズはその場で購入が
可能。
ラックにはブランド毎に商品が並べられ、
それぞれカタログが閲覧できるように
なっている。サンプルのためMサイズのみ
だが、試着もできる。
遊び心のあるデザインも『haco.』の魅力。
インパクトある小物はコーディネートの
主役としても活躍しそう。
撮影スタジオを兼ねた事務所スペース。
『haco.』誌上にはこちらで撮影された
写真も多いそうだ。
キャットストリート沿いにある
白い大きな門が目印。
趣のあるヴィンテージ風の洋館がまるごと
『haco.EXPRESS ROOM』になっている。
左から、『haco.』を担当する
葛西さん、佃さん、木内さん。
「あのショップより、カワイイかも」そんなコピーとファッション誌のような空気感のあるビジュアル、ナチュラル〜カジュアルなブランド展開で、20代の若者を中心に人気を集める通販カタログ誌『haco.』(ハコ)。その東京プレスルームが08年8月23日、「haco.EXPRESS ROOM(ハコエクスプレスルーム)」と名前を変えて渋谷区のキャットストリート沿いに移転。プレスルームのほか撮影スタジオも備え、土日祝日には、サンプル商品の試着室・ギャラリーとして一般向けにオープンしている。

同店を運営するのは、大手通販会社の株式会社フェリシモ。1965年に大阪で設立後、現在は神戸に本社を持つ同社は、アパレルから雑貨、インテリアまで幅広く取り扱う総合通販カタログ『はいせんす絵本』(78年創刊)を軸に、全国の幅広い世代から支持を集めてきた。『haco.』の創刊は04年5月(発行部数約55万部/会員配布40万部、書店販売15万部)。以降、年に4回のペースで発刊し、現在は約80万部(会員配布約60万部、書店販売約20〜25万部)を発行する人気カタログ誌となっている。今回は、同社で『haco.』の立ち上げから携わるhaco.事業部の葛西龍也さん、商品リーダーの佃奈緒子さん、販売企画チームの木内祐子さんにお話を伺った。

「『はいせんす絵本』創刊から30年近く経ち、顧客の年齢層も高くなってきたことから、カタログの価値を若い人に向けて再編成する必要を感じていました。そこで、新しいかたちのファッションカタログを会社に提案。創刊することになりました。ターゲットはOL以外の全ての層、つまりストリートカジュアル層の20代。ファッション誌の作りを参考にしながら、雑誌のスタイリストやカメラマン、プロと一般人のモデルなどを起用して、気分や世界観を表現するビジュアルを作っていきました」(葛西さん、佃さん)。

彼らが目指したのは、“街のショップよりもかわいい”カタログ誌。「ショップにアキたら、ハコに行く」というコピーが表すように、世界観を持った店(ブランド)が集まるひとつの街をイメージして、ブランドごとに明確な世界観を打ち出すことで、商品を並べるだけの従来のカタログ構成を変えようと試みた。

社内で初めて、カタログの表紙から「FELISSIMO(フェリシモ)」の会社ロゴを取ったり、“通販”という表記をカタカナの“ツーハン”に変えるなど斬新な試みに対し、当初社内では反対の声も上がったそうだ。最終的には社長自らが「行け!」と背中を押し、蓋を開けてみると創刊号は書店やコンビニでも大反響。続く2号目からはオリジナルブランドを立ち上げ、“街にあって『haco.』に欠けているテイスト”を埋めていき、現在は6つのブランドを扱うカタログ誌となった。また、07年夏からはメンズライン『haco.MEN』(ハコ メン)もスタートしている。

05年には東京・原宿駅近くのワンルームにプレスルームをオープン。『JILLE』『Zipper』などの雑誌やスタイリストとのコラボ商品の開発や、スタイリストが全身まるごとスタイリングしたセットアイテムの販売など、通販雑誌から雑誌への提案といえるユニークな企画を次々にスタートし、業界でも話題を集めるようになる。

同誌の人気が広がった理由には、通販ならではのリーズナブルな価格はもちろん、ディテールのデザインへの工夫や遊び心が挙げられるが、特にそのMDの広さには定評がある。テイストの異なるアイテムが揃うため、雑誌のほか、月9などのドラマや映画で頻繁に利用されるようになり、東京プレスルームはメディアへの情報発信の拠点になったという。なんとひとつのドラマの主要キャストを全て『haco.』.と『haco.MEN』でスタイリングしたというケースもあるそうだ。

「目指したのは、店舗がないからこそできる“超店舗”。さらに、東京のプレスルームだからこそ発信できるものがあると実感しました」(葛西さん)。

しかし、次第にプレスルームが手狭になり、08年には移転を計画。スタイリストや『haco.』のターゲット層が回遊する、渋谷〜原宿〜表参道で探したところ、運よく見つかったのが現在の一軒家である。

「イメージしたのは、ひとつのハコとしてまるごと表現できる一軒家。プレス(Press)を超えて(Ex)、ハコの世界観を表現(Express)する空間を作りたかったんです。以前からせっかくサンプルがあるんだからお客様にも触れていただける場を作りたいと思っていましたし、実際にお客様と会話できる場が欲しかった」(葛西さん)。

以前フレッシュネスバーガーがあった同物件は、彼らの手によってぬくもりのある真っ白な空間となって生まれ変わり、地下〜1Fは週末のみ一般開放してショップにもなるプレススペース、2〜3階は撮影スタジオを兼ねた事務所スペースへと変身した。

オープン後には、同店が発信する新企画もスタート。同店とスタイリストとのコラボアイテムのほか、上履きで馴染みのある株式会社ムーンスターや下着のグンゼ株式会社など国内企業とのコラボアイテムを発売するなど、ユニークな試みが行われてきた。また、原宿でハンティングした一般の人に、『haco.』のアイテムを使ってスタイリングしてもらうWEB企画「みんなのStying Collection(スタイリングコレクション)」も評判を呼んでいるという。最近はこのようなスタイリング提案に力を入れているそうだが、そこには最近の若者の傾向が垣間見られる。

「最近の若者は買い物に対して保守的な部分もあり、実際に購入していただくためには、今までのようなブランドの“世界観”だけでなく、実際の“使い方”や“着こなし”まで提案することが必要になっているんです」(葛西さん、木内さん)。

同店では、マグカップや靴下、Tシャツやエコバッグなど一部同店のオリジナル商品を“お土産”として販売しているが、基本的にはサンプル商品の公開を目的としているため、店頭での販売は行っていない。にもかかわらず土日祝の一般開放では、多い日は1日250人以上、平均120〜130人が訪れる盛況ぶり。主な客層は20代のカップルで、現行カタログ商品に実際に触れ、さらに試着ができるため“分かりやすい”と顧客からも好評だという。また、その場に設置されたパソコンで、ホームページからのオーダーも可能だ。近年は、年4回のカタログではフォローしきれない鮮度が高い情報をウェブで発信するなど、ウェブとの連動や誘導にも注力している。08年12月には、ウェブからの受注比率が同社全体で過半数を超えたそうだ。

店頭のスタッフは、週末毎に葛西さんら神戸本社の『haco.』スタッフ約30名のうち3名が交代で上京。接客しているというから驚く。これには、『haco.』に関わる全員に、東京を見る機会や、お客様と直接コミュニケーションを取る機会を与えたいという思いがあるそうだ。

実は、昨年秋には通販業界も不況の影響を受け、同誌も受注量が減少したという。そこで、5月発売の20号からリニューアルを行い、表紙では冒頭のキャッチコピーを「フリースタイルなツーハンカタログ」に変更。表紙写真も今までのナチュラルテイストから、ポップカラーを使ってインパクトを出すなど、存在感を高めた。

「リニューアルをしたのは、5周年を迎えた『haco.』がファッション誌と同列のものと十分認知されたこと、また保守的な時流だからこそ、しっかりと意思表示をしていく必要があると考えたからです。20号からのテーマは『ヒラケ、ハコ』。今後も、ここで出会ったみんなとコラボレーションしながら、面白い企画を育てていきたいですね」(葛西さん)。

保守的な流れにあるからこそ、他にはない個性や存在感が輝きを増す時代。通販という「ハコ」を超え、「haco.EXPRESS ROOM(ハコエクスプレスルーム)」というリアルな場やさまざまな人を交えることで、“超店舗”を目指す『haco.』は、そんな時代感をいち早く察知しているといえるだろう。


[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集]
haco.EXPRESS ROOM(ハコ エクスプレスルーム)

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前6-15-2
一般開放:土日祝のみ13:00〜20:00


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