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ミキリハッシン
レポート
2009.08.18
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

ミキリハッシン

接客や顧客限定イベントを通して独自のコミュニティを形成。80年代生まれが運営するセレクトショップ

新進気鋭のデザイナーの作品や、 個性的な古着が揃う。
左から「ohta」のワンピース1万6,800円、 トップス2万1,000円
・・・TABOO」のアクセサリー左から シカ3万4,999円、ドクロ3万8,999円、 ドクロ下の四角いリング共に3万8,999円、 クロスリング3万6,999円、クロス横の リング2万1,999円、右側、蝶ネックレス 1万9,999円
左から「eatable of many orders」の ワンピース3万7,800円、プルオーバー 3万7,800円、ワンピース4万950円、 トップス2万6,250円、パンツ3万4,650円
場所はキャットストリートの裏手。 屋上で顧客限定イベントを行ったりも。
ショップマネージャーの 山本亮さん(27)。
  下北沢で運営していたセレクトショップ「ミキリハッシン」が、2009年1月17日に、原宿キャットストリートに移転リニューアルオープンした。   

 同店を運営するのは、オーナー兼バイヤーの山口壮大さん(26)、ショップマネージャーの山本亮さん(27)、プランナーの堀家洋平さん(26)の3人。山口さんは2002年からスタイリストと並行して、「ヘイト&アシュバリー」が運営する下北沢の古着店「NORTH(ノース)」でディレクターを経験。山本さんはアパレル会社でのデザイナー職を経た後に、山口さんの勧めで2004年に「NORTH」に入店し、店長を務める。2人は2005年10月の同店閉店まで勤めた後、2006年3月に「ミキリハッシン」を下北沢にオープンした。原宿への移転を機に、下北沢でおもちゃ店店長を務めていた堀家さんも運営に加わった。   

 コンセプトは店名でもある「ミキリハッシン」。発展途上や発信、発進、発心という意味が込められている。まだ世に知られていない新進気鋭のデザイナーの作品や世に産み出され、消費された古着を、自分たちの視点でセレクト。お客さん1人ひとりの個性を引き出すような接客を行い、「自分をどうプロデュースしたいのか」「これからどんな自分になりたいのか」と自分を模索している人たちに向けて、その人の、その段階に合った洋服を提案していく。 
 
 「下北沢は、雑多で混沌としているなかで自分たちのやりたいことをやりたいまま発信できる、インディーズな町であるところが大好きで店を構えていました。しかし再開発で町が変わり始めたことで、今後はビジネス目的のメッセージ性のない店が増えていくのではないかと思ったんです。開店当初から、いちどはメジャーな街である渋谷・原宿で店をやってみたいと思っていましたし、物件の契約満期も重なったので、下北沢の変貌を外から見てみようと移転を決意しました」(オーナー兼バイヤー・山口壮大さん)。

 物件選びの条件は、顧客とコミュニケーションが取れる、ある程度広い空間を確保できること。移転場所としては、「ユナイテッドアローズ」等がある、とんちゃん通りを千駄ヶ谷方面へと抜けたエリアを考えていたが、屋上も使用できる現在の物件に出会い、キャットストリートに決めたそうだ。

 商品構成は、メンズとレディースが7:3、新品とアメリカで買い付けた古着が6:4。洋服、靴、アクセサリー、アート作品等幅広く扱う。デザイナーズブランドはまだ世に名前が出ていないものや、イメージが付きすぎていないものが中心。表現がおもしろく、デザイナーが何を考えてデザインしたかがわかるものをセレクトしているそうだ。取扱ブランドは、「keisuke kanda(ケイスケカンダ)」「POTTO(ポト)」「FACETASM(ファセッタズム)」「S.nakaba(エスナカバ)」等。価格帯は、新品のTシャツ1万2,000円〜、ボトム7,000円〜、靴1万円〜、古着のTシャツ5,000円〜。アメリカで仕入れた素材を「keisuke kanda」に提供して1点物を制作してもらう等のコラボレート商品も多い。理由は「デザイナーとお客様をつなぐ、そして1度価値を無くした洋服(古着)を通じて、生産と消費の考え方をつなぐ。そのツールがショップです。コラボレート商品はまさにそれを体現していて、お客様とデザイナーと私たちをつなげられると思います」(山口さん)。 

 店内は、天井から吊るされているラックや照明等の什器は、DIYにこだわったスタッフの手作り。面積は35平米。下北沢の店内は壁が真っ黒だったのに対し、原宿店内は真っ白にした。   

 「表面的な店舗の表現は全く違いますが、コンセプトは何ら変わりません。それをどれだけの方が感じてくれるか、下北沢でやってきたことがどれだけ伝わっていたかを確認するためにも、白い壁にしました」(山口さん)。 

 2009年2月からは、新宿マルイワンにオープンした「FRUiTS MiX(フルーツミックス)」にも商品を提供。下北沢時代のアーカイブとして、商品構成もよりポップなものを販売した。また、同年7月には、山口さんと山本さんの地元・名古屋にあるグラフギャラリーにも限定出店を行った。  

 コアな客層は10代後半から30代半ばまでで、学生や美容師、スタイリスト等の業界系も多い。下北沢では50代、60代まで来店しており、なかには大手アパレルブランドの上役がアイデアソースを求めて訪れることもあったそうだ。下北沢時代は住民の顧客が多かったので客離れを危惧していたが、当時の常連も変わらずに来店するそうだ。 

 移転後からは、3カ月以内に5万円以上購入した顧客に「ホワイトカード」と呼ばれるパスを発行し、限定イベントを開催。2009年7月18日には、「POTTO(ポト)」のデザイナー山本哲也さんを招き、会員約15人と共に屋上でテーブルとイスを制作した。  「記念イベント等では何十人、何百人という規模で行いますが、限定イベントは10人程度で行いコミュニケーションを密に図ります。今後もさまざまな方を招き、もっと濃いイベントをやっていきたいと思います」(山口さん)。 

 また、同店の顧客が主宰している、「アチコチプロジェクト」を支援しており、景品提供等のスポンサー協力をしている。「アチコチプロジェクト」とは、たくさんの人とたくさんの遊びをすることを通じて、出会ったりコミュニケーションを深めたりするサークル活動のような物。これまでに水鉄砲大会、バーベキュー等が実施された。9月初旬には、夜の原宿でケイドロをする予定。現在、Mixi(ミクシィ)上に登録している150人程がメンバーで、同店のほか高円寺の古着店「cult party(カルトパーティー)」、「keisuke kanda」等もプロジェクトを支援しているという。

 低コスト・大量生産のファストファッションが台頭し、ネットショップでのバーチャルなコミュニケーションが主流になりつつある現代において、ファッションを介した人と人とのコミュニケーションを何よりも大切にしている同店は、リアルショップが存在する本来の意味に忠実に向き合っている。今後、原宿にどう根ざし、発展していくかに期待が高まる。 

取材・文/緒方麻希子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集部  
■ミキリハッシン
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5丁目24-2
営業時間:12:00-20:00
TEL :03-3486-7673


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