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THIS IS FASHION(ディス・イズ・ファッション)

THIS IS FASHION(ディス・イズ・ファッション)

レポート
ファッション
2009.10.28
この記事のカテゴリー |  イベント | 

ヨーロッパで学んだ3人の日本人デザイナーによるファッションイベント

Chim↑Pomによるインスタレーション
「SAND ART」。左の男性は一見砂像
かと思いきや実は人間!
Chim↑Pomによる「スーパー☆ラット」。
渋谷センター街で捕獲したドブネズミを
ピカチュウの剥製にした作品。
 第9回 JFW in Tokyo「東京発 日本ファッション・ウィーク」の最終日となる10月24日、台東区のインキュベーション施設である台東デザイナーズビレッジを会場に、「THIS IS FASHION」が開催され、多くのファッション関係者で賑わった。

 これは、「世界的にも影響力のある日本のファッションが、なぜ文化になり得ないのか?」という思いから「MIKIO SAKABE(ミキオサカベ)」の坂部三樹郎さん、「AKIRA NAKA(アキラナカ)」の中章さん、「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」の山縣良和さんという、ヨーロッパでファッションを学んだ3人のデザイナーによって発足されたイベント。彼らの「未来のファッション業界につながる」活動に共感し、イベントの企画制作などを手がけるルーデンス(株)がボランティアでプロデュースから企画、運営までを手がけている。

 「MIKIO SAKABE」「AKIRA NAKA」「writtenafterwards」の10ssコレクションのショーを中心に、資生堂のヘアメイクアップアーイティストと3人のデザイナーのコラボレートによる写真作品や、アントワープ王立アカデミー卒のデザイナー中里唯馬さんによるインスタレーションや、アーティスト集団Chim↑Pom(チンポム)の作品展示、現代美術家の遠藤一郎さんによるライブペインティングなどファッション以外の分野からも、幅広いアーティストが参加した。

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MIKIO SAKABE10SS Collection

MIKIO SAKABE(ミキオサカベ)

 ショーのトップを飾ったのは、東京・パリ・ミラノの3都市でコレクションを発表する「MIKIO SAKABE(ミキオサカベ)」。今回は「トワイライト」をテーマに、初の試みとなる黒を基調にしたコレクションを発表した。

 多くのブランドが作っており、誰もが着用するアイテムの象徴として、Tシャツとジーンズを中心に構成。カジュアルなアイテムだが、よく見るとTシャツは薄く繊細な素材のパッチワークになっていたり、ジーンズにグラデーションカラーのブリーチがかけられていたりと、精緻なテクニックで作り込まれている。Tシャツに施された十字架プリントや、バンドTシャツ風のロゴ、破れた黒ストッキングなどに加え、ウェットな無造作ヘアやスモーキーなアイメイクなど、ゴス/メタルの要素を取り込んだスタイルが中心。これまでの同ブランドにはなかった、ストリート要素を盛り込んだ。

 「90年代の、マリリンマンソンやハードロックを聴くような、個性的な女の子がイメージです。インターネットが普及する前のように、少ない情報の中から自分の好きな物を自由にセレクトできた時代こそ、個性を表現できたのではないでしょうか」とデザイナーの坂部三樹郎さん。昨今のインターネットの普及が自然と選択肢を増やし、“選択回避の法則”から結果としてみな同じトレンドに乗り、似たようなファッションになってしまっていることに対する異議を込めて、「個性とは何か」というメッセージを訴えかけた。

AKIRA NAKA(アキラナカ)

 続いて発表された「AKIRA NAKA(アキラナカ)」のコレクションでは、「フェミニン」をテーマにした作品が発表された。とはいえ従来のフェミニンではない、マニッシュな服を身につけたてもなお消え去らない、女性ならではのフェミニンさを表現したという。

 作品は、黒を基調に白やゴールドを織り交ぜたカラーを基調に、ライダーズジャケットやレザー素材のジップ付きパンツ、レオパード柄のブルゾンやブラウスなど、ハードでマニッシュなアイテムが中心。綿やニットとレザー、透け感のあるシフォンなど異素材の組み合わせを駆使することでエレガントに仕上げた。

 「モーニングジャケットではなく、あえてスポーティなブルゾンを着ることで気品を出すことにチャレンジしました。どんなものを着ていても、実は自分のジェンダーを背負っているということを表現したかったんです」と中章さん。

 BGMは大きな嵐の音。同ブランドが得意とする、エレガントさと力強さを兼ね備えたコレクションとなっていた。

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デザイナーの山縣良和さん。

writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)

 昨シーズンと同様、JFW公式スケジュールの大トリを飾ったのが、山縣良和さんによる「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」。09A/W Collectionでは「Graduate Fashion Show」と題し、披露したコレクションは、服飾、美術系学校の卒業制作の過程で出る廃材を再利用して作られた作品を発表。絶賛を浴びる一方で否定的な意見も多く、センセーションを巻き起こした。

 そんな同ブランドの新作コレクションは、「創造力を感じられるものを表現したい」という思いから、「神々のファッションショー 〜神さまからの贈り物〜」をテーマに掲げ、もしも遠い昔、たくさんの動物たちの前で世界で初めてのファッションショーが神々によって行われていたら」というストーリーに基づいてショーが発表された。
 
 会場となった台東デザイナーズビレッジの体育館は超満員。山縣さんの「ファッションの神様を間近で見てほしい、子供のような純粋な気持ちで見てほしい」という思いから、来場者は床に直接座って観覧するスタイルになっている。ステージ正面からまるで後光のようなまばゆい光が差し込むと、白いあご髭を蓄え、杖をついた神様のような扮装のモデルが登場。モデルたちはみな、1反=約50mの反物を体に巻き付けているが、これらはさみを入れたり縫ったりせずに、ぐるぐる巻きにしたり、ねじったり、結ぶことで形を形成しているものだ。

 今回の作品にはスーパーオーガンジーや墨流し、リネンやコットンジャカード、サテンなど日本各地の生地メーカーから譲り受けた日本産の反物を使用。今回のイメージを最大限に活かすこと、日本らしいものであることを基準に選んだのだそうだ。

 「服作りの原点は布を巻くこと、という発想から、今回のコレクションを制作しました。ファストファッションよりも速いファッションとは何だろう?と考えた時に、ユーモアを込めて体に布を巻き付けることで、洋服を表現したんです」(山縣良和さん)。

 昨シーズンと同様、服作りの常識を覆すことでファッションとは何かを問いかけるコレクションになっていた。同時に、ファッションの原点に立ち返ることで、ファッション本来の魅力や文化としての可能性を改めて考えようという問題提起のようにも感じた。

 世界的な景気後退と衣料不況、昨今のリアルクローズ一辺倒のマーケットを反映し、今回のJFWではオフィシャルスケジュールから外れたり、ランウェイのショーを中止するメゾンも少なくなかった。そんな中で、同イベントはコレクションを観覧するだけでなく、ファッション以外のアーティストの作品を展示するなど、実際に参加して楽しむというトーキョーならではのアトラクション的な要素を入れることにより、多くの集客に成功。これまでのファッションショーの既成概念を壊すことにより、「日本のファッションデザインを啓蒙する」という目的をより強くアピールしたイベントになっていた。

[取材・文/『ACROSS』編集部]

現代美術家の遠藤一郎さんによる
ライブペインティング。" data-w="666" data-h="500">
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現代美術家の遠藤一郎さんによる
ライブペインティング。
バースペースではドリンクが振る舞われ
さながらパーティーのような雰囲気。


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