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genro&cafe(ゲンロ アンド カフェ)
レポート
2010.02.17
この記事のカテゴリー |  飲食・フーディング |   インテリア・雑貨 | 

genro&cafe(ゲンロ アンド カフェ)

緑化を通じた上井草のまちづくりと共に成長するステーショナリーカフェ

ゆったりした時間を過ごせると、
つい長居してしまうお客様も
多いそうだ。
店内では千葉さんの蔵書を100円から
販売している。
モダンな柄が揃ったオリジナルの
「手ぬぐい」は945円〜。
株立ちの植栽は適度な採光を得る
ことができるため、店内も明るい。
便せんやはがきなどを扱う「玄廬」
その場で手紙が書けるようにと
竹ペンの用意もある。
やさしい味わいの手作りクッキーも販売。
1枚90円前後と手頃な価格は
ちょっとしたお土産にも重宝する。
オーナー兼ブランドデザイナーの
千葉皓史さん。
上井草のシンボルともなっている
ガンダムモニュメント。
ゆったりとした住宅街のイメージを抱いて西武新宿線・上井草駅の改札を出ると、「機動戦士ガンダム」モニュメントに意表を突かれる。上井草は、ガンダムを生んだアニメ制作会社・サンライズ社等のアニメスタジオが十数社集積しており、日本のアニメ文化を支えているまちでもある。そんな上井草の駅から商店街通りを東へ歩くこと約3分、商店街のはずれに「genro & cafe(ゲンロ アンド カフェ)」(05年8月オープン)(http://www.genro.co.jp)がある。同店は、季節や和風テイストの図柄が楽しめるラバースタンプや便せん等の、和文具・和雑貨のブランド「玄廬(ゲンロ)」の全商品が揃う、ステーショナリーカフェだ。

オーナー兼ブランドデザイナーは、千葉皓史さん。千葉さんは書画材料等を扱う文具店在職中に、篆刻(てんこく)と俳句を習得した。退職後の1987年に「玄廬」を設立し、ラバースタンプ「四季の印」48種を、銀座の老舗文具店「伊東屋」で発売したところ大ヒット。和柄スタンプの先駆として、現在も「伊東屋」「鳩居堂」をメインに商品を卸している。
同店オープンのきっかけは、地域住民にも「玄廬」の商品を見てもらいたい、お客様と直接対話したいという思いがあったから。アトリエとして使用していたスペースを開放して、前身の「茶・いぐさ」をオープンした。「genro & cafe」に店名を変更したのは2008年。現在は、千葉さんの妻・茂子さんが主に接客を担当している。

「家=ファーストプレイスでも職場=セカンドプレイスでもない、お客様にとって居心地がいい第三の場所=サードプレイスになれればと思っています。上井草のまちといっしょに店舗を育てていきたいですね」(オーナー/千葉皓史さん)。

メニューは、オリジナリティーと各素材が持つ良さを感じられるような手作り感、出来たての良さを伝えられるようなライブ感を大切にしている。なかでもこだわりは、吟味した豆を独自の方法で焙煎し、65℃の低温湯で抽出するコーヒー。コクがありながらも、渋みや雑味のない澄んだ味わいが特徴だ。主なメニューは、「ブレンド珈琲」(450円)、「全粒粉スコーンのセット」(珈琲または紅茶付き、800円〜)、「抹茶」(和菓子と桜湯付き、600円)等。また、毎週土曜のみ、手作りパンが揃う。

店内では、和の落ち着きを持ちながらもモダンなデザインの「玄廬」の商品を購入することも可能だ。価格帯は、現在200種近いラバースタンプ「四季の印」(1,050円)、「貼り込み和紙シール」(283円)、「レターセット」(504円)、「手ぬぐい」(945円)等。千葉さんの蔵書も古書として(100円〜)販売している。

客層は30代〜40代が中心で、女性の一人客が目立つそうだ。同店のウェブサイトや雑誌等から情報を得て来店する層が半数以上を占めている。リピーターが多いのが特徴で、杉並区内や隣の練馬区内から自転車で訪れる客や、地元の中高年者層も増えているという。平日の比較的すいている時間帯は、同店で扱う書籍を読んだり、手紙を書いたり、パソコンを開いて仕事をしたりと、いずれの客も自分時間をゆっくりと過ごす傾向があるそうだ。

コンクリートの打ち放し壁面とボールト屋根がひときわ目を引く2階建てビルの、1階がカフェ、2階がアトリエで、建坪は約40坪。カフェ店内も壁面はコンクリートの打ち放しで、床には平瓦が敷き詰められている。木製のテーブルやイス、棚は、そのほとんどが千葉さんの自宅や実家にあった家具。形はそれぞれだが、暮らしのなかから集められた什器だけあって、空間に温かみと統一感をもたらしている。

また、千葉さんは任意団体「まちづくり上井草」の代表として行政や商店街や住民と協力し、積極的に上井草のまちづくり活動に取り組んでいる。同店では道路に面して、「株立ち」の雑木を植栽。ソヨゴやエゴ、アオハダ、モミジ等の雑木が、季節ごとにさまざまな表情を見せるそうだ。「株立ち」の雑木は、一株の根から複数の細い幹が立ち上がっているため、奥行きや連続感が感じられ、狭い土地でもミニチュアの林のような効果が得られるのが特徴だという。さらに「かみいぐさ雑木みちproject」を立ち上げ、この「株立ち」の雑木を家庭や商店街に植える提案をして緑化運動を進めるほか、上井草商店街発行のフリーマガジン『Vinci(ヴィンチ)』の編集を引き受けて、上井草の魅力を内外に伝えている。なお、同店は杉並区がまちの魅力に貢献している建物や地域活動を表彰する『杉並「まち」デザイン賞2006』を受賞した。

「上井草は、静かな住宅地としては人気ですが、早稲田通りや千川通りがはしる街道町として発展してきたため、車社会になった今はただの通過点となり中心市街地が衰退しています。ですが、そのおかげで緑が多く残っているのも確かなこと。例えば、丸の内周辺は莫大なお金をかけて緑化を進めていますが、緑化という視点で見ると、発展著しい丸の内と上井草は並走しています。しかし、放っておけば貴重なその緑も失ってしまう。資産としての緑を活かし育てるという発想から、雑木の植栽を進めることにしました。この地域はむかし薪の生産地だったので、株立ちの雑木林が多かったという歴史背景もあります」(千葉さん)。

また、千葉さんは、上井草に集積しているアニメスタジオと自然環境づくりとの間に親和性を見出し、ガンダムを環境づくりのシンボルに位置づけ、緑ある景観を目指している。地域住民とこの目標を共有するために『Vinci』第2号「アニメの杜」を特集したのは、お台場で「GREEN TOKYO GUNDAM PROJECT」が巨大な1/1ガンダムをシンボルに開催された1年以上も前のこと。

「何でもそろうコンビニが増え、どのまちも画一的になっています。原点に立ち返って、上井草にしかない特色を活かした魅力あるまちづくりや、売れるものではなくオリジナリティーある“売りたいもの”を揃える店舗を増やしたい」と話す。

内閣府が2009年9月19日に発表した「歩いて暮らせる街づくりに関する世論調査」(全国成人男女5,000人対象)によると、各々が暮らす地域の中心市街地の課題に「商店に魅力がない、欲しいものを購入できない」と、40.6%が回答している。利便性重視の大型ショッピングセンターの台頭や再開発という名の乱開発等により、“まち”の活力が失われ画一的になってしまった現代。住民・企業・大学等のその地域をよく知る者が一体となって、失われつつある「独自性」を活かすことがまちの再生のカギといえるだろう。それぞれの土地が持つ歴史や住民の意思がしっかり反映されてこそ、魅力あるまちづくりが実現できるようだ。

最後に、千葉さんにまちづくりへのモチベーションを伺うと、こんな答えが返ってきた。

「私は以前から『いま』を大切にして来たつもりですが、それでもついつい目標を『将来』に設定 して『いま』を犠牲にしていたり、どこか遠い場所に憧れて『ここ』をおろそかにしてきました。60歳を過ぎて、あらためてこの国、このまち、この店を自分自身の“目的地”にしてみようと考え始めています。上井草に店を開いたのはなかば偶然ですが、その偶然をあらためて自分に引き受けることにしたのです。このまちに暮らす者のひとりであると実感することが、自分のいまの幸せです」(千葉さん)。


[取材・文/緒方麻希子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集]

おしらせ

「genro & cafe」が、テレビ東京の人気番組『出没!アド街ック天国』「上井草」編に登場します。

3月6日(土)21時〜22時 「上井草」編
■『出没!アド街ック天国』公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/adomachi

上井草フリーマガジン 『Vinci』

「上井草商店街振興組合」が発行する上井草のフリーマガジン『Vinci』(ヴインチ) 。

genro&cafeを拠点とする「まちづくり上井草」が編集業務を担当しており、genro&cafeでも入手可能。

genro & cafe(ゲンロ アンド カフェ)

〒167-0023
東京都杉並区上井草2-38-11
Tel:03-5303-5022
Fax:03-5303-5023
営業時間:11時〜18時
※休業日はHPでご確認下さい。
http://www.genro.co.jp


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