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Takuro Someya Contemporary Art
レポート
2010.01.22
この記事のカテゴリー |  カルチャー | 

Takuro Someya Contemporary Art

30代の若手ギャラリストが運営する現代美術ギャラリーが新富町にオープン

ギャラリストの染谷卓郎さん。
内装デザインは原田祐馬さんが担当。
視界の遊びをつくるため、ホワイト
キューブではなく建物自体の素材を
活かした作りになっている。
田中義久さんと飯田竜太による
アーティストユニット、Nerhol
(ネルホル)の作品。
2009.12/12〜12/26に行われた
エキシビジョンより。
2010.1/23〜2/20までラファエル・
ローゼンダール新作展を開催。
インターネット上でドメインも
含めたウェブサイトそのものを
作品として発表している。
オランダ人アーティスト、ラファエル・
ローゼンダールさん。作品はこちらから
ご覧頂けます。
同ギャラリー所属アーティストの
山下麻衣さんと小林直人さんによる作品。
23台のフェイク・ファーを纏った
ラジコン・カーが、そりに
またがった山下を、バッテリーが
尽きるまで犬ぞりのごとく引いて
行く。
地下鉄・新富町駅から徒歩3分ほどの、築地警察署近くのビルに、現代美術ギャラリー「Takuro Someya Contemporary Art(タクロウソメヤ コンテンポラリーアート)」が、2009年10月23日にオープンした。ギャラリストは染谷卓郎さん(37歳)。同ギャラリーは、千葉県柏市のギャラリー「TSCA Kashiwa(ティーエスシーエー カシワ)」に続く2店目だ。

染谷さんは、学生だった1993年頃からビデオアートに関心を持ち、友人グループと映像制作に取組んで展覧会を行う等の活動をしていた。その後、作家の生の表現に触れながらアートを発信するインフラともいえる、ギャラリーの運営に興味を抱き、2002年に現代美術ギャラリー「SCAI THE BATHHOUSE(スカイ ザ バスハウス/白石コンテンポラリーアート)」に入社。作品管理や展示、現代美術作家・名和晃平さんのマネジメント等に携わった後、2005年に退職。準備期間を経て2006年5月に染谷さんの地元である柏市に「TSCA Kashiwa」をオープンした。しかし、美術関係者との折衝等は都内で行うことが多く、それだったらと、このほど2店目を構えることにしたそうだ。「TSCA Kashiwa」は2010年1月から、ギャラリー「island(アイランド)」の伊藤悠さん(元「magical, ARTROOM(マジカルアートルーム)」ギャラリーディレクター)と共同運営となり、アートを広める新たな拠点となるそうだ。

「延べ床面積420平米、天井高7メートルもある柏のスペースは、大きな空間で作家が潜在力を試す場所でした。それに対してこの新富町のギャラリーのテーマは、ミーティングポイントです。アートを取り巻くたくさんの人々を繋ぐ場所にしたい。アートの先端を扱う場所だから、アートの新しい種を撒くような提案もしていきたいです」(ギャラリスト/染谷卓郎さん)

物件は、「セントラルイースト東京(CET)」とも呼ばれ文化発信の動きが高まっている神田・馬喰町・浅草橋・日本橋を結ぶエリアを中心に探したそうだ。このエリアは、2003年から毎年、アート・デザイン・建築の複合イベント「セントラルイースト東京」が開催されていることもあり、エリアの総称としても定着しつつある。新築の空き物件だった現在の場所に出店を決めたのは、「建物の顔である1階にはギャラリーを入居させたい」と考えていたビルのオーナーに出会い、意気投合したからだそうだ。延べ床面積73平米、天井高3.3メートル。内装の設計デザインは、小山登美夫ギャラリーやタカイシイギャラリーの京都スペースの設計や、山本現代のフェアの展示構成なども手がける、デザイナーの原田祐馬さん。柏のギャラリーほどの広さがない分、空間を3つに分けることで、展示構成のバリエーションに幅を広げることを可能にした。壁や天井は白く塗装しているが、視界の遊びをつくるために、置き床をしない建物自体の素材を活かす等の工夫がされている。

プレビューとなる展示を終え、2010年1月23日〜2月20日より、グランドオープン記念展示『I’m good』を開催。主にFlash(フラッシュ)を使用して制作するアニメーションをインターネット上で発表しているオランダ人作家、ラファエル・ローゼンダールさんの作品を展示する。

ギャラリーアーティストは、ナイキやリーバイス、レスポートサックとのコラボレーションなどでも注目される松山智一さん、木村伊兵衛賞受賞の経歴を持つ写真家・本城直季さん等。30歳前後の若手が中心だが、仕事をともにする作家の判断基準は、背景に動きを感じさせるような作品を生み出す作家、アクティブな世界観を持っている作家かどうかだという。

「私が興味を持つ表現をするのが、若手に多いのです。どんな世代の方とも仕事をしていくつもりですが、今は、世代の近い作家といっしょに成長するのが第一だと思っています」(染谷さん)。

客層は、2カ所いずれも、学芸員や評論家等の美術関係の仕事に就いている人や、コレクターやアートに興味ある人が中心。柏のギャラリーが駅から徒歩10分ほどの場所にあるのに対して、同ギャラリーはアクセスしやすいので、客数のボリュームは増えると見込んでいる。

「30代を中心に、アートを購入する人が増えていると感じます。1970年代生まれの私たち世代のギャラリストが増加したことで、若者が共感できる作品も増えているのでしょう。絵や彫刻に加えて、写真や映像などギャラリーで見られる表現が増えたことで、理解できるアートの中から良いと思うものを買う。このようなアクティブな購買層が、90年代からコンテンポラリーアートに触れてきている、今の30代だと思います」(染谷さん)

“アートバブル”と言われた2007年から数年前の間に、第2世代といわれる、染谷さんのような若手ギャラリストが相次いで登場。具体的には、弊誌で取り上げた「MISAKO & ROSEN(ミサコ&ローゼン)」(2006年オープン・大塚)のほか、「ARATANIURANO(アラタニウラノ)」(2007年オープン・新富町)、「ZENSHI(ゼンシ)」(2005年オープン、2009年神田岩本町に移転)等が挙げられる。これらのギャラリーが東側に多くオープンしているのは、東京の西側より賃料が安く、「セントラルイースト東京」と呼ばれる文化的エリアのイメージが定着してきたことなどが理由と思われる。次代を担うギャラリスト達がアートの裾野をどう広げていくのか、それに伴い、ポテンシャルゾーンとしてのセントラルイースト東京がどう変貌していくのか、注目が高まる。

[取材・文/緒方麻希子(フリーライター/エディター)+ACROSS編集]
Takuro Someya Contemporary Art

住所:東京都中央区築地1-5-11 築地KBビル1F




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