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pipal(ピパル)
レポート
2010.05.24
この記事のカテゴリー |  飲食・フーディング | 

pipal(ピパル)

安心野菜と徹底した手作りを届ける宇田川町のダイニングバー

場所は神山町商店街から1本入った通り。
フラワーショップtrefle(トレフル)
すぐ隣り。
インテリアには木を多用。足を踏み入れる
と木の心地よい香りが漂う。
安心野菜のバーニャカウダ(1,200円)。
野菜だけで作ったカレーライス
(1,000円)。
アルコールも充実。ワインはビオワイン
が中心でグラスワインは500円〜とリーズ
ナブルだ。
手作りベーコンステーキ玉ネギソース添え
(650円)
カウンターとテーブル席を含め45席。
古木を使ったナチュラルな店内。
オーナーの鈴木亮介さん。アパレル
販売員を経て、21歳でバックパッカー
生活をスタート。その後、ニューヨーク
への遊学を経て、飲食業界に飛び込んだ。
 渋谷区神山町の商店街は、代々木公園方面から渋谷の中心部や青山方面への抜け道になっており、自転車やバイクで通勤する人々をターゲットにした飲食店が立ち並んでいる。その1本裏手、宇田川遊歩道から、細い路地を一本入った通り沿いに、ダイニングバー「home made bar pipal(ホームメイドバー ピパル)」を発見。オープンは、2009年10月31日である。場所は、弊誌で紹介した花屋「trefle(トレフル)」のすぐ隣り、「pipal」と書かれた大きな木製看板が目印だ。

 オーナー兼シェフは鈴木亮介さん(33歳)。鈴木さんはセレクトショップでアパレル販売員を経験した後、21歳でタイ等のアジアでバックパッカー生活をスタート。その後、ニューヨークへの遊学を経て、帰国した23歳の時からダイニングバーに勤める。店に関する全般的に経験するうちに、「店舗を同じ運営するなら、自分の店を持ちたい」という思いが強まり、独立を決意。野外音楽フェスにいっしょに行く等の音楽を通じた友人であり、飲食店での勤務経験が豊富な小西恵子さん(36歳)を誘い、同店をオープンすることにしたそうだ。

 飲みに行くことや食事に行くこと自体が遊びの1つになることから、“飲食店は一番身近なレジャースポット”と考える鈴木さん。打ち出す同店のコンセプトは、“大人の遊び場”だ。また、社会にも客の体にも貢献したかったため、店舗内装は古材等を多く取入れ、料理は安心な野菜を使ったメニューを中心にした。

 「私自身そうなのですが、年齢を重ねるにつれて、クラブに行くような遊び方はしなくなる。そういった30代やもっと上の世代の大人が遊べる場所を考えると、音楽や映画が流れる空間や、酒とそれに合う料理、人と人とのコミュニケーションが存在することが必要だと思いました。当店は、それらがそろう店舗づくりをしていきます」(オーナー兼シェフ/鈴木亮介さん)

 食材の野菜は、全国の契約農家から生産者の顔が見える安心な野菜を集めて卸す業者から仕入。材料だけでなく、手作りに徹底的にこだわっているのも同店の特徴だ。「自分の手でつくれば、添加物等の体に良くないものが入っていない料理を出せる」(鈴木さん)という思いから、パイ生地やケーキスポンジはもちろん、ソーセージなら肉を挽くところから、ベーコンは10日かけて燻製にし、卵からマヨネーズをつくるなど徹底している。

 主なメニューは、「手作りベーコンステーキ玉ネギソース添え」(650円)、「安心野菜のバーニャカウダ」(1,200円)、「野菜だけで作ったカレーライス(ライスは古代米と玄米のブレンド)」(1,000円)等の定番メニューのほか、美女しいたけ等の珍しい野菜を使った日替わりメニューや季節のメニュー、ベジタリアンやビーガン向けメニューがある。また、例えば「牛テールとホホ肉の赤ワイン煮込み」(1,580円)は野菜ベースのスープで煮込むというように、肉料理でも野菜のおいしさを楽しめるような工夫をしているそうだ。酒類も充実していて、100種類以上あるカクテルは600円〜、ワインはビオワインが中心でグラスワインは500円〜。平均客単価は約3,500円。

 出店場所は、渋谷区の宇田川町、桜丘町、神泉町を中心に探したそうで、その理由は、「人が集まる場所であり、映画館やライブハウス等さまざまな施設がある遊び場のイメージがあったから」、と話す。さらにセンター街などの中心地ではなく、少し離れた場所の裏通りに店を構えることで、客が来店しやすく、くつろげるような場所作りを意識したそうだ。以前は仕出し弁当屋だったという店内は92平米。カウンターとテーブル席を含め45席で、貸切の立食形式なら85名は入店できる。内装テーマは、ナチュラル。古木と脚を組み立てたテーブルや玄関の棚、洗面台等は鈴木さんたちの手作りである。カウンターの天板や床板にも古木を用いているせいか、木の心地よい香りが漂う。また、イスはアンティークが中心で、デザインがそれぞれ異なるのもおもしろい。植物が多くありながら、壁に映画を投映するなど、自然と都会の調和がある空間となっている。営業時間外は、出版社等にハウススタジオとして貸し出すことも可能だという。

 ターゲットは30代〜40代の女性。コアな来店客層は、20代後半〜50代で、男女比は4:6。平日は近隣の会社に勤める人が多く、ワインとキッシュを味わいながら読書を楽しむといった、自分の時間を楽しむ姿が多く見られるそうだ。

 「裏通りにあるため、オープンから1カ月程度は客層の中心は知人でしたが、今では口コミやHPを見て来店される方がかなり増えています。お客様からは、渋谷でゆっくりできる場所がないので助かるという声を多く頂いています」(鈴木さん)。

 また、土日はカップルでの利用が多く、日曜は近隣在住者や、代々木公園にドッグランに訪れた人等が来店することも多い。同店は、ペット専用のメニューやトイレはないが、ペット同伴入店を許可している。

 また店舗が広いため、結婚二次会や誕生会、忘年会、DJイベントや映画上映会等の貸切パーティーの利用が多く、オープンから4カ月程の間に、15回以上も貸切で活用されているそうだ。

 05年以降、宇田川町西側〜神山町にかけてのエリアは古くからの商店街の中に個人オーナーの小さなショップがぽつぽつとオープンし、改編が進んでいる。特にここ数年は同店のほか、イタリアと日本の料理を融合させる「OH! NO! BOUNO!(オーノブォーノ)」(09年7月オープン)、屋上バーを備えたフレンチイタリアンレストラン「2031」(09年10月オープン)、炭火焼イタリアン「Osteria Arco(オステリアアルコ)」(09年12月オープン)等の飲食店が相次いでオープンしている。店舗が明確なコンセプトを丁寧に伝えるために、繁華街に埋もれない、中心から少し離れた外れのエリアにあえて出店するケースが少なくない。今後、すり鉢状になった渋谷の地形のヘリ=外れのエリアがどのように変化していくのか注目したい。

ちなみに同店は今後、文化人を招いてのトークイベントや、野外音楽フェスへの出張出店等に挑戦したいそうだ。

[取材・文/緒方麻希子(フリーライター/エディター)]

pipal(ピパル)

〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町42-11
tel & fax:03-3464-3857

営業時間: 18:00-2:00 (1:00ラストオーダー)
※日曜日は昼12:00から営業
定休日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)


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