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I.T.'S.international(イッツインターナショナル)
レポート
2010.07.22
この記事のカテゴリー |  ファッション |    | 

I.T.'S.international(イッツインターナショナル)

アパレル・素材メーカー・商社が一体となって発信する、究極のベーシックファッションSPAブランド

コンセプトは、「究極のベーシック」。
日本ならではのグレードの高い素材や
縫製にこだわりつつも、市場価格の
およそ3分の一の水準を実現した。
クラボウとの開発素材であるプレミアム
フィットパンツ。フルレングスと
クロップドの2タイプ。
OLキャリアファッションも揃う。
肌触りや着心地を重視し、カラーとサイズ
のバリエーションを充実。さらにトレンド
感を程よく取り入れた。
ポップや説明書きを多用し、サイズや
素材、デザインなどが分かりやすく
ディスプレイされている。
中折れストローハット各3,990円。
靴やバッグなどの服飾小物も充実。
同店が出店したのは原宿の明治通り沿い、
ラフォーレ原宿の斜め向かい。外資系SPA
ブランドが林立するエリアである。

 地下鉄・明治神宮前駅からほど近い明治通り沿い、「TOPSHOP(トップショップ)」「FOREVER 21(フォーエバートウェンティーワン)」「H&M(エイチアンドエム)」といった外資系SPAブランドの基幹店が並ぶ対面に、2010219日、SPAブランド「I.T.'S.international(イッツインターナショナル)」の旗艦店がオープンした。運営元のイッツインターナショナル(株)は、アパレルメーカー等6社で設立されたことでも話題を呼んでいる。
 
  同社は、「INED(イネド)」「ef-de(エフデ)」等のファッションブランドを展開するアパレルメーカー(株)フランドル、各種繊維素材の糸を製造する倉敷紡績(株)、ポリエステル繊維等メーカー・帝人ファイバー(株)、ニット専門のフェニックス香港、流通を担う商社の住金物産(株)NI帝人商事(株)からなる合弁企業で、設立は20094月。社長を、(株)フランドル会長の栗田英俊さんが務めている。きっかけは、栗田さんが長年抱いていた、ベーシックで良質な商品をつくりたいという思いを実現するため。ベーシックなものほど大切である素材や、縫製技術といった細部にまでこだわるには、1社では実現が不可能なため、複数企業が協力して川上から川下まで一貫した生産体制を構築することが不可欠だった。


 ブランドコンセプトは、「究極のベーシック」。素材に徹底的にこだわり、愛着を持って長く着られるベーシックなデザイン且つ、日本人特有の繊細さや良質なものを見抜く審美眼にも叶う商品を提案する。


 商品構成は、レディース:メンズ:キッズ(現在は女児のみ)が、72.50.5。希少なエジプト超長綿を超極細に紡績したGIZA45を使用した30ゲージニット、2.8マイクロンの細い糸から成るスピン綿でつくられたTシャツ等、素材にこだわった商品群はそれぞれ、しっとりしていたり柔らかだったり、どれも触り心地が良い。1商品のカラーバリエーションが豊富で、日本人らしい藤色など、温かみがある中間色のバリエーションが特徴だ。


 「中間色が多いのは素材の良質さを伝えるため。原色や黒などのはっきりした色なら素材をごまかせますが、中間色は素材が良くないと色が出せず、作れないんです。キッズ商品でも中間色を打ち出しているのは国内SPAでは珍しいと思います。また、素材発信のブランドなので、まずは商品に触って、その心地よさを体感してほしいです」(イッツインターナショナル(株)テキスタル開発室マネージャー/阿部敬介さん)。


 売れ筋は、Tシャツやストレッチパンツ、ニット。価格帯は、ニット3,9007,900円、カットソー2,9005,900円、ジャケットやコート9,80019,000円。ファッションブランドなので、なかには6万円のレザージャケットもある。ファストファッションブランドではないが、良質なものを手に取りやすい価格で提供することを大事にしている。また、ファーストサンプルを、2050代の一般消費者にモニタリングしたところ、「同じテイストの子供服がほしい」という声が多く寄せられたため、当初は予定になかったキッズラインを導入することにしたという。

 以前はフランドル社のブランドが入居していた原宿の空き店舗に構えた同店。その理由は、「ファッションの聖地である原宿に旗艦店を構えたかったことと、海外のファストファッションブランドが集積する地に出店することで、ファストファッションとの差別化と話題性を呼ぶことができると考えたからです」(阿部さん)。

 面積は100坪。入口から手前半分がトラッドゾーン、奥手がカジュアルゾーン、そして右半分がレディス、左半分がメンズという分かりやすい構成になっている。素材感を感じてもらうために商品に触れやすいことや、商品特性等がわかりやすいディスプレイを心がけており、サイズや価格、シルエット、特徴等が書かれたパネルを商品毎に配置している。

 また、日本の繊維・アパレル業界で初めて、UHFRFID(電子タグ)による店舗オペレーションシステムが導入されている。プライスカード内にICが入っていて、1品ずつバーコードを読み取る必要がなく、複数商品をまとめて端末が読み取れるシステムになっている。これにより、会計中も店員と顧客が会話をすることができ、在庫管理の効率化が実現。導入したUHFRFIDシステムは、経済産業省と日本アパレル産業協会が中心となって策定したガイドラインに沿って構築されたものという。

 同ブランドはベーシックと言っても「衣料」ではなくあくまでも「ファッション」としての商品を提案している。ターゲットは、2060代の男女と、身長100120cmの子供。来客層は狙い通り2060代で特に3040代が中心。男女子供の比率は、36.50.5。夫婦やカップル、子供連れのファミリー等の来店が多く、トレンドではないベーシックなアイテムを求めている人が多いという。また、地方から来る30代以上のビジネスマンも多いそうだが、これは、経済ニュースTV番組「ワールドビジネスサテライト」で紹介されたことや、同店のコミュニケーション戦略で、オープン3日前から3日間連続で日経新聞の1ページ広告、次いで駅貼り広告を出稿したことが大きい。より的確にターゲット層に発信するための戦略だったそうだ。

 「ファストファッションの登場で、消費動向がトレンドのアイテムをどれだけ安く買うか、という方向に向かっていましたが、最近はそういった反動から、良質なものを探しているお客様が明確に増えています。市場傾向と当店のオープンのタイミングが合致したこともあり、おかげさまで予想以上に多くのお客様にご来店頂いています。今後もこれまでにない発想と高品質の商品で、潜在消費者を開拓し、新市場をつくっていきます」(阿部さん)

 同ブランドは、ファッションとしても価値あるシンプルでミニマムなデザインと適正価格を兼ね備えた「新・定番服」を積極的に選びたい消費者のニーズに応えたブランドと言えるだろう。アパレル・素材メーカー・商社が三位一体となった新しい取組みが、どのように市場を開拓していくのか注目したい。

 34日には東武百貨店池袋店内に2号店目をオープンし、4月下旬には、代官山店が誕生した。今後は、5年後の50店舗・売上高300億円を目指すそうだ。


〔取材・文:緒方麻希子/フリーライター〕


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