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3331 Arts Chiyoda(3331 アーツ千代田)
レポート
2010.07.30
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3331 Arts Chiyoda(3331 アーツ千代田)

旧千代田区区立練成中学校の校舎を改修した複合アート施設「3331 Arts Chiyoda」本格始動!
7月30日〜8月1日は「第2回 ZINE'S MATE」が開催中!

エントランス脇に設けられたラウンジスペ
ース。右の壁は、「Kaekko(かえっこ)」
で集まったおもちゃたち。Kaekkoについて
はこちらhttp://www.geco.jp/kaekko/
スーパー編集者後藤繁雄氏による「スーパー
スクール」も事務所もアーツ千代田3331に
お引っ越し。

 旧千代田区区立練成中学校の校舎を改修した複合アート施設3331 Arts Chiyoda http://www.3331.jp/ (以下3331と省略)が626日にグランドオープンを迎えた。住所は外神田6丁目で、地下鉄銀座線末広町から徒歩約2分の立地。秋葉原電気街の一角に位置している。かつては教室や職員室であったスペースに、アートギャラリーやクリエイター/企業のオフィスなどが入居している。


3月のプレオープンからすでに、アートギャラリーやクリエイターのオフィスが入居して注目を集めていた。グランドオープンにあたってはカフェスペースやラウンジ、さらにレンタル式の屋上菜園などが設置され、本格的に活動をスタート。地域住民や観光客など誰でも気軽に利用できる、よりオープンなカラーを打ち出している。

 

 施設は地下1階から3階、さらに屋上までを含む全館をリノベーション。1階にはメインギャラリーを配し、3331が注目するアートシーンを展覧会として公開している。グランドオープンを記念する企画は3331 Presents TOKYO:Part1。“東京の新しい地域文化としての可能性を表現する”という狙いのもと、ここを拠点に活動するギャラリーやクリエイターが選んだ作品が集められたグループ展で、引き続きPart2を開催する。

 

 南側に隣接する区の公園と柵などを設けずに一体化し、大階段でそのまま施設1Fのデッキ部分にアプローチできる開放感が外観面の特色。エントランス横のカフェfoodlab 3331、資料を閲覧しながらくつろげるラウンジスペースも設けられ、これは誰でも利用することができる。学校建築の味わいを随所に残しながらも、路面店としても十分勝負できるクォリティ感がある。

 

 地下1階から3階の各部屋には、共用の活動スペースのほか、g/gallery(トリプルジー・ギャラリー)http://g3tokyo.lolipop.jp/バンビナート・ギャラリー http://www.bambinart.jp/ 谷門美術 http://tanikado.com/ といったアートギャラリーが入居。さらに株式会社アジール http://www.asyl.co.jp/ (デザイン会社)やボストーク株式会社 http://www.boctok.co.jp/ クリエイティブ・マガジン「+81http://www.plus81.com/gallery/jpn/ のギャラリースペースといった多彩なジャンルのクリエイターの活動拠点が入居している。3Fにはシェアオフィスも設けられ、ここにもクリエイティブ/アート系の個人や企業が入居している。入居者同士が連携しながら表現制作活動を行う例もあり、クリエイター村のような場を形成しつつある。

 

 開館時間は1021時、休館日は正月/盆休みのみという運営面も、こうしたパブリックな性格の施設としては珍しい。アートギャラリーとして見ても、東京のアートギャラリーは閉館時間が早く、また日曜休館のところも多いわけで、これだけでもアートファンにとっては利便性が高いといえるだろう。


さらに秋葉原電気街の一角というロケーションは、日本のアニメやマンガ、オタクカルチャーに国内/国外の観光客から注目が集まるいま、幅広い集客を望める絶好のロケーションだ。こうしたサブカルチャーがアートとの共通領域を広げつつある現在、この場所にアートを発信する拠点が生まれた意味は大きい。

中村政人/芸大/アーティスト/3331/アーツ千代田/art/ジンズメイト/ACROSS/アクロス
「“自分たちの活動の場を自分たちで作る”というのが僕自身の活動の基本的な姿勢なんです」と同施設のプロデューサー中村政人さんは話す。

 そもそもこの3331は、2005年に策定された「千代田区文化芸術プラン」の重点プロジェクトとして、文化芸術活動や発表の機会を提供するための拠点として整備が進められてきたものだ。そうした公共性の高い施設であると同時に、民営民営の方針のもとでアーティスト主導の運営が行われているのが3331の大きな特色であり、それがオルタナティブ感のあるクリエイターが集まることにつながったといえる。

 この背景には、3331の企画にアーティスト中村政人さん(http://www.geidai.ac.jp/staff/fa017j.html)と彼の運営する合同会社コマンドNhttp://www.commandn.net/ )が中心的な役割を果たしてきたことが大きく寄与している。これまでも、オルタナティブなアートプロジェクトを企画/実現してきたアーティストグループだ。


3331はもともと“(仮称)ちよだアートスクエア構想”という千代田区の文化政策の一つとして計画されてきたものです。僕自身も専門委員の一人として、実行委員会で1年間討議を重ねながら、再利用方法をどうするべきかを検討してきたんです」
と中村さんは語る。最終的にはコンペが行われ、1位を獲得した団体がリーマンショックの影響で辞退。2位であった中村さんたちのプランが採用されたという。

 中村さんは芸大の教授として教鞭を取る一方、既存の美術館の外でアートを積極的に発信してきた。特に秋葉原電気街の店頭に並ぶTVモニターを軒並みジャックする「秋葉原TV」(1997年)は大きな話題を集めたが、それ以来秋葉原、神田エリアを中心に活動してきたのである。

 

 「“自分たちの活動の場を自分たちで作る”というのが僕自身の活動の基本的な姿勢です。自分の足許を見つめて、そこからさまざまな創造活動をしていきたい。そして、そこから出てくる問題を一つ一つクリアしていく。僕の中では、この3331もそうしたアートプロジェクトの一つなんです」(中村さん)

一般公募によって決定した利用者に貸出を
している「屋上ひと坪菜園」。廃校になった
中学校らしく、バスケットボールコートの
ラインが見える。

 3331には一般区民でも楽しめるような仕掛けが随所にちりばめられている。誰でも出品できるオープンな展覧会、千代田芸術祭「3331アンデパンダン」の開催、子供に向けたワークショップや屋上レンタル菜園など、公共性の高い運営が行われている。これは千代田区民のために行われる活動でもあるが、同時に、社会との係わりを創作活動の中に反映してきた中村さんのアーティストとしての活動とも深くリンクしている。

 

 特に近年、地元のアーティストやNPO法人が、地域の文化に根ざしたサステナブルな活動を展開する動きが見られる。3331では国内各地で行われている社会参加型のアート活動をつなぐInsideout/Tokyo(インサイドアウト・トウキョウ)というプロジェクトをスタートさせたが、そこに参加する秋田県大館市の「ゼロダテ(http://www.zero-date.com/)」や富山県氷見市の「ヒミング(http://www.himming.jp/)」はコマンドNが以前から関わってきたアート・プロジェクトだ。3331はそれをさらに押し進め、最終的には3331が地域のアートを結ぶハブ機能を持ち、全国的なネットワークを作ることを目標としている。

 

  「地域社会に根ざした文化意識が高まれば、従来のギャラリーや美術館、コレクターのためのアートではなく、地域の文化としてアートが機能してくると思うん です。天才型のアーティストを盛り上げてエンタテインメント化したり、作品に高い付加価値をつけるよりも、アートの作品が生まれ、広まって、市民の方たち に使われていく過程を大切にしたいんです」(中村さん)


3331を 取り巻く環境には、秋葉原のカオスな文化だけでなく、神保町や上野、湯島など東京下町のローカリティも色濃く残すエリアがある。こうした東京独自のローカ リティがほかの地域とフラットに関連し合いながらリンクすることで、新たな市民性を持った文化芸術への参加意識が生まれるかもしれない。

 

 一方で、すでに3331はクリエイターたちのオルタナティブなネットワークをアートの外側へと拡張しつつある。これはまだ実現していないが、例えばファッションとのコラボレーションなども面白いものになるだろう。3331の取り組みが今後どのように広がっていくのか、そのチャレンジはまだ始まったばかりだ。 

本日7月30日から8月10日までの3日間、アートブックフェア「ZINE'S MATE(ジンズ・メイト、http://zinesmate.org)」が開催中です。

〔取材・文:本橋康治/「アクロス」編集部コントリビューティング・エディター〕


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