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cutting Dorothy(カッティングドロシー)
レポート
2011.07.05
この記事のカテゴリー |  ファッション |    | 

cutting Dorothy(カッティングドロシー)

西新宿のマンションの一室にある隠れ家的なセレクトショップ

アーティストMICROUさんのペインティング。大12,000円、小7,000円
針原さんがストーリーを書き下ろした
絵本「MOTHER(マザー)」。舞台の脚本やシャンソンの歌詞なども手がける。
日本やパリ、ドイツの新進気鋭のブランドが中心。若手デザイナーの作品を扱っている。
日常に絵を飾ってほしいという思いからアートピースも販売。こちらは青田充弘さんの代表作、海の巨獣(クラーケン)100,000円。
壁にはTARZAN KICK!!のデザイナー
森田さんによるインパクト満点の
ペインティングが!
和ダンスをディスプレイに用いるなど、ジャンルにとらわれない自由な内装も
楽しい。
「生活するうえで必要はないけれど、
あるとステキなものを提案したい」(針原さん)
ドメスティックブランドF.E.A.Rのブレスレットとバッグ。

 「企業で働きながらも、自分のクリエイションでもの作りをしたいと思っているデザイナーやクリエイターは実はたくさんいると思うんです。そういう方に、僕のイメージするテイストをお伝えして、洋服で表現してもらっています」(cutting Dorothyオーナー・針原さん)。

 

 東京都庁のほど近く、超高層ビルが建ち並ぶ新宿副都心のマンションの一室に、知る人ぞ知る隠れ家的なセレクトショップ「cutting Dorothy(カッティングドロシー)」がある。

 

 オーナーは、針原拓也さん(33歳)。針原さんは大学卒業後、アパレル企業にプレスとして勤務。並行して、学生の頃からの夢だったセレクトショップを実現するべく2000年頃から、展示会をまわって気に入ったデザイナーの作品を買い集めるようになる。

 

 2005年には、オンラインショップ「psycho fish(サイコフッシュ」を立ち上げ、それまでに買い集めた商品の販売をスタート。シーズンの概念にとらわれず、マストレンドとは一線を画す商品構成が受け、徐々にファンを増やしていった。2009年からは、春と秋の年2回、恵比寿のギャラリーBOX ISLAND(ボックスアイランド)を会場に、イベント型のリミテッドショップをオープン。20104月に実施した際には、1日のみのオープンにも関わらず7080人を動員し、手応えを感じたことから、2010817日、念願だった店舗のオープンに踏み切った。

 

 当初は、新宿2丁目界隈で探していたが、「辺鄙な場所にあってもわざわざ来てもらえるような店したい」という思いから、少し離れた場所で物件探しを始める。そんな時、友人の紹介で西新宿にある現在の物件に出会ったそうだ。

 

 店舗は、約3坪ほどのワンルーム。床は針原さん自らがペイントし、壁には、取り扱いブランドTARZANKICK!!!(ターザンキック)のデザイナー森田文明さんがペインティングを施した。和箪笥やアンティークチェストを配置した店内は、アットホームでありながらエキセントリックな空間になっている。現在は、火曜日と土曜日の週2日オープンしており、アポイント制で営業を行っている。

 

 ショップのコンセプトは「子供の頃に切り取られた“いらないもの”、だけど“素敵なもの”」。商品構成は、洋服、アクセサリーに加え、写真や絵画、立体オブジェなどのアートピースも販売。レディス:メンズの比率は55

  

 取り扱いブランドは、Nyte(ナイト)cronis(クロニス)JYUUNANHEART(ジュウナンハート)TARZAN KICK!!(ターザンキック)HOASHI YUSUKE(ホアシユウスケ)などドメスティックブランドに加え、フランスのVAVADUDU(ババドゥドゥ)、オランダのCONNY GROENEWEGENコニーフルーネウェーヘンなどのインポートも扱う。いずれも若手デザイナーによる新進気鋭ブランドで、まだあまり世に出ていないものが中心だ。

 

 オリジナルブランドの「psycofish(サイコフィッシュ)」は針原さんがディレクションを担当し、複数名のデザイナーやクリエイターと共同で作成している1点もののラインである。

 

 さらに、針原さんは執筆活動も行っており、2010年には写真家の石田寛子さんとピアニストの伊藤祥子さん、歌手のとものしんとのコラボレーションでCD付き絵本「MOTHER(マザー)」を制作。そのストーリーをもとに脚本を書き下ろした朗読劇が「劇団はとり」によって舞台化された。その他にも、シャンソンの歌詞を提供するなど、クリエイターとのネットワークによって、活動は多岐に渡る。

 

 客層は、アーティストやWEBデザイナー、アパレルデザイナーやファッションを学ぶ学生など。HPやブログ、twittermixiなどのsnsで告知を行っており、それらを見て来店する人も少なくないという。最近では秋田県や広島、大阪など遠方からの来店客もいるというから驚きだ。

 

 「インターネットやSNSが浸透し、誰もが情報発信やコミュニケーションできる環境と、東京という街だからこそ成立している店だと思います」と語る針原さん。Webショッ プからスタートし、ファンを獲得してきた同店だが、意外にも現在は通販を行っていないという。その理由は、実際に商品を手に取って試着してから購入して欲 しいこと、また目的の商品以外だけでなく、内装やスタッフとの会話など全てを含めて、一期一会の出会いを体験して欲しいという思いから。

 

 「僕が学生だった90年代後半〜00年位までは、beauty:beast(ビューティビースト)やCANNABIS(カンナビス)、AGOST SHOP(アゴストショップ)など、個性的なデザイナーズブランドを扱う店がたくさんあって、洋服の楽しさを教えてもらいました。今は残念ながら売れ筋に寄せたMDの店が主流になってしまっていますが、自分が尊敬するバイヤーさんの考えを踏襲して、若い世代におもしろい商品を提案していけたらと思っています」(針原さん)。

 

 インターネット通販が一般化し、場所を問わずにあらゆるものが手に入るようになって久しい。さらに、2000年代以降の再開発ブームを経て、都内近郊ではターミナル駅や大都市以外にも似たような駅ビルや商業施設が増加。全国規模で見てみても、イオンモールなどのGMSやアウトレットモールなどがくまなく出店。全国各地で似たようなショップ、似たようなSCが乱立してしまったのである。同時に、近年はファストファッションブームの影響から、マーケットイン発想の商品開発に拍車がかかり、トレンドのファッションを着用する人が増え、今春はメガトレンドが街に溢れている状況とも言える。

 

 そんな状況ににつまらなさ、閉塞感を感じる層が出ているのは当然だろう。すでに同店にはそういう思いを抱えて、わざわざ遠方から「詣でる」人たちが訪れており、今後ますます増えていくと思われる。

 

 「10年後の目標は、店の知名度をアップさせ、コンセプトに沿ったブランドをお客さんにどんどん広めること。ただし、ひとつひとつドラマやストーリー性があるものだから丁寧に広めたい。これまで、方向性をがらりと変えて消えてしまったブランドやショップを見てきたので、利益ばかりを追求するのではなく、スタイルを 変えずにやって行きたいですね」(針原さん)。

 

取材・文:ACROSS編集部

 

 

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