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若手4ブランドによる合同展示会@仙台
レポート
2011.12.10
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若手4ブランドによる合同展示会@仙台

アラウンド90年生まれのデザイナーによるチャリティ即売会

veveroppaluuu(ベベロッパル)のコーナー。ヴィヴィッドな色使いが特徴。
仙台の皆さんに少しでも元気になってもらいたいという思いから、思わず笑顔になってしまうような楽しいアイテムを揃えたそうだ。
店内のディスプレイもデザイナーが担当。こちらはveveropparuuu(ベベロッパル)デザイナーの中村実優さん。
店内のディスプレイは3日間かけて作成。日々変わっていく過程を見せたそうだ。
こちらは山杢さんの作成による段ボールのお城。

 去る20111125日、東北コットンプロジェクトの取材後に、立ち寄った仙台のセレクトショップgarden(ガーデン)。偶然にも、東京の若手デザイナーによる合同即売会が行われており、アラウンド90年生まれのおしゃれな若者で賑わっていたため、さっそく取材を行った。

 

 即売会は1126日 〜 28日の3日間で開催。参加したのは、nudumigui(ヌスミグイ)desperate(デスペレート)5TOY(ゴトイ)veveropparuuu(ベベロッパル)4ブランドで、いずれも東京の若手デザイナーが手がける個性派ブランドである。

 

 企画を行ったのは、nudumigui(ヌスミグイ)のデザイナー山杢勇馬さん23)。山杢さんは、幼稚園からバイクのレースを始め、2004年に関東1位に。全日本にも参戦するが、怪我により引退。その後、ファッションレーベルwrittenafterwordsが主宰する「ここのがっこう」でファッションやもの作りを学び、201010月にブランドをスタートした。

  

 山杢さんはブランドを始めた当初から、受注会/展示会で商品を販売する方法に疑問を抱いており、手作りの1点ものの商品を即売会で消費者に直接販売する方法にこだわっている。現在は東京・原宿のセレクトショップmacaronic(マカロニック)で、3月と11月の年2回、オンシーズンのアイテムの即売会を開催しているという。

 

 「めまぐるしく変わる東京のトレンドのなかでは、展示会でオーダーした商品が届く数カ月後には、気分が全く変わってしまって、その商品を欲しくなくなる恐れがあります。しかし、オンシーズンで作った商品の即売会なら、お客様にはそのときに欲しいものをすぐに買って着てもらえます」(山杢さん)

 

 そうした独自の方法で、ブランドを展開する山杢さん。今回、仙台での即売会を企画したのは、震災後に、ファッションの意味を考えたことがきっかけだったという。

 

 「震災後、贅沢は敵だという世の中のムードを感じて、ファッションは贅沢なのか、自分の作る服は必要とされていないのかと悩みました。そんな思いをTwitterに書き込んだら、被災者の方から、『自分の家は津波で流されてしまったけれど、落ち着いたら東京に行ってnusumigui(ヌスミグイ)の洋服を買いたい』というコメントを頂いたんです。そこで、まずは自分のやれることをやるしかないと思い、ファッションで何ができるかを真剣に考えました」(山杢さん)

 

 まず山杢さんは、チャリティアイテムの製作をスタートする。これは、被災地の木材で作られたボタンを使ったファッションアイテムを作成し、売り上げの一部を塩害で被害を受けた農地復興のために寄付するというものである。

 

 東京・原宿のmacaronic(マカロニック)で、11月に即売会を開催。せっかくなら同様の即売会を地方でも行おうと、以前から知り合いだった、仙台のセレクトショップgarden(ガーデン)に企画を持ち込み、今回の実現に至った。同店にとってもこうしたイベントは初の試みだという。

 

 イベントに際し、もともと知り合いだった、desperate(デスペレート)デザイナーの小田桐潤さん(23)、高円寺キタコレビル内「はやとちり」のオーナー後藤慶光さん(26に声をかけ、賛同を得る。さらに「はやとちり」で取り扱っているveveropparuuu(ベベロッパル)のデザイナー中村実優さんも加わり、4ブランド共同でイベントを行うことになったというわけだ。

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nusumigui(ヌスミグイ)2011AWコレクション。ニットのリメイクアイテムが中心。
小田桐潤さんによるdesperate(デスペレート)は、高円寺の「黒ベンツ」でのみ取り扱っている。
小竹一樹さんと中村実優さんによるveveropparuuu(ベベロッパル)。カラフルな色使いと奇抜なクリエーションが特徴。
高円寺キタコレビル内、ハヤトチリのオーナー兼デザイナーの後藤さんによる、5TOY。

 商品はすべて、リメイクや手作りの1点もの。今回のために新たに作ったものも多いという。また、少しでも元気になってもらいたい、という思いから、売れる売れないという基準ではなく、試着して思わず笑顔になるような楽しいアイテムを揃えたそうだ。

 

 店内のディスプレイもデザイナー自らが担当し、コーナーごとに全く異なる世界観を演出した。さらに3日間かけて少しずつ細かい部分を作り上げ、日々変化していく過程を見せたという。さらに会期中は、デザイナー自ら接客を行い、その場でイラストを描いたり、リメイクの洋服を作るなどのパフォーマンスを行った。

 

 「おしゃれで世界を救う、じゃないけれど、何かしら感じてもらえたり、ほんの少しの幸せだったり、今回のイベントを通して普段の生活に+αが生まれたらいいなと思います」(山杢さん)

これを機に、今後も地方での即売会を積極的に行ってく予定だという。

 

 告知は各デザイナーのツイッターとgarden(ガーデン)のブログのみ。来店客層は20代前半の男女で、ファッションや美容専門学校生が中心。もともとのショップの顧客がメインで、なかにはわざわざ新潟や山形、福島から来た人もいたそうだ。また、ふだんは東京のmacaronic(マカロニック)で買っているが、今回のイベントに合わせて来仙したという熱烈なファンもいたという。

 

 「個人による小規模なブランドは、地方のショップへの委託販売が主流ですが、バイヤーとブランドが最初だけやり取りして、あとはオーダーシートと請求書を送るだけという関係性は悲しいと思うんです。どうせブランドをやっているなら、デザイナー自らショップに行って、スタッフやお客さんとコミュニケーションを取りながら販売し、作ったものがどんな人の手に渡るのかを見届けたい。そういった人と人とのつながりが重要だと思うので」(山杢さん)。

 

 2010年頃から、小規模なトークショーやワークショップ、勉強会などの消費者参加型イベントがちょっとしたブームになっている。ファッション業界でも2009年あたりから、keisuke kanda(ケイスケカンダ)ANREALAGE(アンリアレイジ)Nyte(ナイト)などの若手デザイナーズブランドや、ミキリハッシンmacaronic(マカロニック)などの個人オーナー系セレクトショップが、地方のショップでオリジナル商品の受注会/即売会をイベント的に行うケースが増えている

 

 その背景には、昨今のマーケットイン発想の店作りによって、インディペンデントなデザイナーズブランドを扱うショップが極端に少なくなってしまったことがあるだろう。そして、単にものを所有・消費するだけでなく、実際に参加・体験することで、もの作りの過程や背景にあるストーリーをリアルに感じ、学びたいという消費者心理の変化も少なからずあると思われる。

 

 個人によるブランドならではの希少性や独自性を活かした、消費者参加型イベントである今回の合同即売会。全国各地のショップと若手デザイナーによるネットワークと、自由な発想によるユニ—クな仕掛けづくりが、混迷するファッション業界に風穴を開けるヒントに確実になっていくだろう。

 

[取材・文 アクロス編集部]

garden(ガーデン)

〒980-0021
宮城県仙台市青葉区中央2-9-7 アーバンブリッジビルディング2F
TEL & FAX : 022-221-9550
営業時間:11:00〜20:00


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