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NOZY COFFEE 三宿店(ノージーコーヒー)
レポート
2012.02.14
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NOZY COFFEE 三宿店(ノージーコーヒー)

豆の個性を楽しめる、ブレンドしない「シングルオリジン」にこだわったコーヒー専門店

ファクトリーのような無骨さがありながらも温かみを感じる店内。「敷居を高くしたくない」という能城さんらスタッフの丁寧な接客も魅力だ。
産地だけでなく作られた農園まで明確なのが「シングルオリジン」の特徴。
「NOZY COFFEE」が推奨するフレンチプレスにより抽出したコーヒー。豆の個性を最大限に引き出せるだけでなく、誰でも手軽においしいコーヒーを入れることができるというメリットもある。
フレンチプレスの他に、エスプレッソマシンによる抽出も行っている。
メゾネット式の店内は1階がカフェコーナー、地階がカウンター&焙煎スペースとなっている。
東急田園都市線の池尻大橋駅または三軒茶屋駅から徒歩約15分。世田谷公園の反対側、国道420号線から路地を少し入った場所に「NOZY COFFEE(ノージーコーヒー)三宿店」がある。同店は、「シングルオリジン」の提供にこだわった、自家焙煎のコーヒー専門店「シングルオリジン」とは、生産された国・地域と生産処理方法が明確で、一切ブレンドされていないコーヒー豆のことをいう。2010年8月のオープン以降、弊サイトで紹介した「TOLO COFFEE & BAKERY(トロコーヒーアンドベーカリー)」など飲食店への卸しや、「伊勢丹メンズ館」「東急ハンズ」「ARTS&SCIENCE(アーツ&サイエンス)」へのイベント出店と着実に存在感を表していることから、早速取材した。

コーヒーが最大限楽しめるよう配慮された店舗は、コーヒーとそこで働く人が主役になれるよう、無駄な装飾を排除したシンプルな内装。地下のカウンターから大きな釜での焙煎作業が間近に見られる様子はまさにコーヒーファクトリーといった雰囲気だが、そんな中にも温かみが感じられる空間となっている。広さは10坪、席数は4席。内装デザインは「パシフィックファニチャーサービス」が手掛けた。

運営元は株式会社NOZY珈琲で、オーナーは能城(のうじょう)政隆さん(24歳)。能城さんとコーヒーの出会いは慶応大学環境情報学部(SFC)在籍中に、大手コーヒーチェーン店でバイトをしたことから。バイトを通じてコーヒーの奥深さやお客様に伝える楽しさを知った能城さんは、豆やフェアトレードなどについて研究し知識を深めていった。また、エチオピアのコーヒー生産者の生活を取り上げたドキュメンタリー映画『おいしいコーヒーの真実』を観たことをきっかけに、大学3年時にはエチオピアを訪問。

「エチオピアは、貧しさはある反面、同時に雄大な自然、家族全員でコーヒーを飲む習慣といった内面の豊かさがありました。カフェで現地の人に『エチオピアのコーヒーはおいしいだろう?』と言われたので『おいしい!』と伝えたら、とても喜んでくれたんです。ですが、日本で飲めるコーヒーはブレンドが主流。飲んでおいしいと思っても、そこに生産者への思いはなかなか起きません。消費者が『エチオピアのコーヒーはおいしい』と言えるようになれば生産者もすごく喜ぶんじゃないか、そのような思いがあった学生時代に国内の珈琲店やカフェをさまざま回ったことで辿り着いたのが、シングルオリジンです」(代表取締役/能城政隆さん)。

“自分にしかできない仕事”を模索していた能城さんは、大学4年生のときに、大学の側の湘南台で前身となるコーヒースタンド「のーじー珈琲」を開店。学業やバイトと並行して卒業までの半年間営業するなかで、クオリティや販売方法を試行錯誤して学んだそうだ。その後、2010年3月に大学を卒業すると、自分の好きなコーヒーでたくさんの人を笑顔にしたいという思いから、バイト仲間だった菊池伴武さん(27歳)、富宿(ふうしゅく)のぞみさん(26歳)の他、佐藤公倫さん(30歳)を誘い、同年5月に会社を設立。8月に現店舗をオープンした

「ブレンドが主流のなか、シングルオリジンというイノベーションでコーヒーカルチャーを変えられる!と思いました。自分にしかできない、やりたい夢を描くことができたのにやらないのはもったいない、10年後では遅いと、起業を決意しました」(能城さん)。

 
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時期により異なるが8種類程度の豆を用意。それぞれ異なる豆の個性を飲み比べてみるのも楽しい。
1階のカフェスペース。解放感があるガラス張りの空間でゆっくりとコーヒーを楽しむことができる。
地階のカウンター脇にある焙煎スペース。こちらの焙煎機では、一度に5キロの豆を焙煎できるそう。
「心地よい口当たりと甘さ、さわやかな後味、オレンジや赤いリンゴを思わせる風味。これらは全てこのコーヒーの上質な酸がもたらしてくれます」とは、コスタリカ産のマチョ アルセ農園に添えられた一言。繊細な表現に味わいのイメージが膨らむ。
オリジナルのギフトセットも用意。
世田谷公園の前から一本入った路地にある「NOZY COFFEE」。向かいは有名ブーランジェリー「シニフィアンシニフィエ」だ。
オーナーの能城さん。今後はさらに地域活性にも力を入れていきたいという。
取り扱う豆は、時期にもよるがニカラグアのブエノスアイレス農園、コスタリカのトーレス農園など8種類。焙煎は個々の豆の個性を引き出すように心がけているそうだ。豆の価格は100g700円〜、200g1,200円〜、300g1,400円〜で、量を買うほどお得になるといううれしい設定。また総重量で価格を決定するため、複数種類を自由に組み合わせて購入することができる。店頭ではドリンクも提供。 「NOZY COFFEE」 が推奨している、豆の個性を全て引き出せるというフレンチプレスの器具を用いて抽出するコーヒードリンクは、1杯400円。そのコーヒーを飲んでみると、なるほど。苦みが際立つ通常のコーヒーとは異なる、豊かな風味、上質な酸味や甘さ、滑らかな口当たりなど、それぞれの豆の個性が楽しめる。その他、エスプレッソマシーンで抽出した「エスプレッソ」は200円、「アメリカーノ」は300円、「ラテ」350円など。エスプレッソにも日替わりで2種類のシングルオリジンを使用しているため、エスプレッソ・アメリカーノ・ラテでも豆を選ぶことができる。豆を購入すると、1杯100円〜で飲めるサービスもある。

「お客様からは当店のコーヒーを飲んでコーヒーの概念が変わったと言われます。生産者にもお客様の声を届けることができる喜びがありますね」(能城さん)。

また、2010年10月からは随時コーヒーに関するセミナーを開催豆の販売だけでは伝えきれない魅力を伝えたかったことと、「コーヒーを知りたい」という客の声が多かったことから始めたそうだ。内容はフレンチプレスを使って5種類のシングルオリジンコーヒーを飲み比べできる「フレンチプレスセミナー」(60分、受講料1,000円)や、「ラテアートセミナー」(90分、5,000円)など多彩だが、2月に実施される7回のセミナーはほぼ満席というから、その需要が伺える。また、卸先のカフェ等を対象とした豆や器具の選定アドバイスや、抽出、ラテアート指導等も行っている。

来客層は20代〜40代が中心で、男女比は半々。豆を買いに来る人が圧倒的に多いそうだ。オープン当初は地元の人をターゲットに想定していたが、『Casa BRUTUS』(マガジンハウス刊)などのメディアに取り上げられたこともあり、都内各所からの来店も多いほか、北海道や名古屋、さらには海外から訪れる客も少なくないという。また、セミナー参加は20代〜30代の女性が中心で、コーヒー好きだけでなく知的好奇心旺盛な人が多いとか。

学生時代に「まちづくり」について学んだという能城さん。近隣店舗と挨拶を交わしたり、地域清掃や祭りといった地域に密着した活動が、地域活性に繋がるという考えを持っている。友人に「この界隈は店舗同士の横の繋がりが強い」と聞いたこともあり、紹介された物件への出店を決めたという。

現在は、能城さんが思い描いていたように、地元の商店会「三宿四二〇(みしゅくよんにーまる)商店会」の一員として、「パン祭り」「スタンプラリー」などのイベントにも参画。また、向かいにある有名ベーカリーショップ「Signifiant Signifie(シニフィアン シニフィエ)」とのコラボレーションイベント「コーヒーとパンのマリアージュを楽しむ会」を開催するなど意欲的だ。

以前はコーヒーというとカフェと付随するのが当たりでしたが、最近はカフェの箱から飛び出したことで、可能性が広がっていると思います。こだわりのあるコーヒーはどなたにも楽しんでもらえる素材ですし、イベント出張や他業種とのコラボレーションなど、実は様々な提案ができるのがコーヒーだと思うんです」(能城さん)。

幣サイトでも紹介した、「Little Nap COFFEE STAND(リトルナップコーヒースタンド)」でも触れたように、こういったこだわりのコーヒーショップの台頭は、「ここにしかないもの」を求める傾向や、効率化・ファスト化された仕組みが蔓延したことによる反動で「丁寧に淹れられたコーヒーをゆっくりと楽しみたい」という消費者心理が浮上した結果といえる。さらには、コーヒーが持つ、どこにも付随できる柔軟なコラボレーション力や、深い味わいと共に知的好奇心をも満足させる奥深い魅力にあるといえるだろう。

1年後をメドに、早くも2店舗目の出店を視野に入れているという能城さん。時代の潮流を掴んだ「NOZY COFFEE」が、今後さらにコーヒーの可能性を広げることに期待したい。


【取材・文 緒方麻希子+ACROSS編集部 】


NOZY COFFEE 三宿店

〒154-0002 東京都世田谷区下馬2-29-7
Tel/Fax: 03-5787-8748 
営業時間:11:00 〜19:00



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