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RADD LOUNGE(ラドラウンジ)
レポート
2012.06.12
この記事のカテゴリー |  ファッション |    | 

RADD LOUNGE(ラドラウンジ)

90年代の原宿ストリートをルーツに持つ
20代若手オーナーが発信する裏原宿の人気セレクトショップ

黒を基調に存在感のある柄もののアイテムが豊富。女性でも取り入れられるユニセックス商品のほか、シューズ類にはありそうでなかった個性的な一品を揃える。
“音楽を感じさせるファッション”をテーマに持つ「ラドラウンジ」だけに、店内にはDJブースが設置されている。
顧客のみが入れるという地階のフロア。らせん階段で下る雰囲気といい、まるで秘密基地のよう。
オーストラリアのブランド「OKAY!」と「ラドラウンジ」のコラボバッグ(1万2,600円)。
今季のテーマをNY発の「SeaPunk(シーパンク)」になぞらえたこともあり、アーティストを使ったオリジナルのバッジを制作。こちらもIRIKIさんがデザインを担当した。
ファストファッションや大量消費と真逆のことがしたいとスタートした、オリジナルの「ANTITHESIS. (アンチテーゼ)」のサルエルパンツ。
オーナーであり、オリジナルブランド「ANTITHESIS. (アンチテーゼ)」のデザインも手掛けるIRIKIさん。
昨年6月6日の定点観測でもひと際目立っていた18歳の大学生が通い詰め、ほぼ全身のコーディネートを揃えるなど多大な影響を受けていた原宿のセレクトショップRADD LOUNGE(ラドラウンジ)」2009年あたりから定点観測でもその名が挙がるようになっていたそのカリスマショップが、2012年2月4日、同じ裏原宿の前店舗そばに移転リニューアルオープンし再始動した

2007年の立上げから移転前の2012年1月まで、同店はメンズアパレル卸の有限会社ブルースが運営していたが、新店舗では、 「RADD LOUNGE」 で約3年にわたり店長を務めたIRIKI(イリキ)さん(29歳)がオーナーを務める。IRIKIさんは、ストリート系メンズ雑誌『WARP Magazine』や『SAMURAI Magazine』等でもそのファッションが注目されるなど、一部の若者にはカリスマ的な存在だ。

新店舗は、1階と地下で構成される路面の物件。1階はストリートブランドなどをメインに展開し、地下はハイブランドやコレクションブランドなどを展開するスペースとなっている。広さは、2フロア合わせて約40平米。1階は、レコードやポスター、カラフルなスケボー板などが壁面に飾られDJブースが設置されるなど、ストリート感を感じさせる雰囲気だ。地階は、シンプルながらも顧客が椅子に座りながらゆっくり商品を選べる空間になっている。

鹿児島出身のIRIKIさんは、高校卒業後にデザイナーを目指して上京すると、ファッション専門学校でデザイン等を4年間学んだ。その後、22歳のときに前述のブルースに新卒入社。ブランド企画を務めた後、24歳だった2009年に同店の店長に抜擢された。そして2011年、「30歳までに自分の店を持ちたい」という夢に向けて独立を決意。思い入れが強い同店を引継ぎたいというIRIKIさんに対して、同社社長のDJ HAZIMEさんは独立心ある若者を応援したいと、希望を受入れてくれたそうだ。そして、物件の契約満期も重なり、新たな場所でスタートを切ることになった。

前店舗も現在と同じ神宮前4丁目のいわゆる裏原で、セレクトショップ「Kinetics(キネティクス)」などが並ぶプロペラ通りにあった。しかし「一等地で良い意味でも悪い意味でも観光スポットのような通りだった」(IRIKIさん)ということから、今回は青山側に一本ずらした比較的落ち着いた通りに出店。物件は原宿に限定して探したというが、原宿にこだわる理由をIRIKIさんはこう話す。

「僕が中学〜高校生だった90年代は原宿のストリートが最もパワーを持っていた時代。雑誌『FRUiTS(フルーツ)』のストリートスナップを見た時に衝撃を受け、当時からそんな原宿の姿に強く憧れていました。原宿にはいい意味で“イカれた”ファッションをする人が多く、地元では白い目で見られるような格好でも受け入れられる雰囲気がある。こんな風にファッションで自己表現ができる街は他にはないと思うんです」(IRIKIさん)

中学時代からファッションにはまったというIRIKIさん。デザイナーを目指したのも、90年代に異彩を放った「W&LT(ダブリューアンドエルティー)」等のブランドに影響を受けたからという。さらに高校からは音楽にも目覚め、90年代に起こったDJブームの流れを受けて、自身もDJを目指し本格的に修行した経験もあるそうだ。収集したレコードは2,000枚にも及び、現在は不定期で「RADD LOUNGE」主催のDJイベント等も行っている。

「コンセプトは“音楽を感じさせる服”。僕自身が90年代のストリートカルチャーに大きく影響を受けたこともあり、当店では音楽を中心としたカルチャーを意識した展開をしています」(IRIKIさん)

というように、カルチャーの要素は 「RADD LOUNGE」 のコンセプトや商品セレクトに繋がっており、IRIKIさんが提案したいシーズンテーマを、最先端の音楽ジャンルにたとえて発信している。例えば、2012年春夏シーズンは、エナメルやシースルー素材などがカギになることから、テーマに選んだ音楽ジャンルはNY発の「SeaPunk(シーパンク)」。髪の色をエメラルドグリーンにしたアーティストらによる、その名の通り海を連想させるような水の音が漂うエレクトロのいちジャンルだ。昨年IRIKIさんが立ち上げ自身でデザインする同店のオリジナルブランド「ANTITHESIS(アンチテーゼ)」では、それらのビジュアルにインスパイアされたアイテムも揃う。
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夏の定番、ストローハットも「ラドラウンジ」で扱うものはひと味違う。Henrik Vibskov (ヘンリックビブスコフ)のハット(2万4,150円)
シッポ付の斬新さで話題になったアディダス オリジナルス バイ ジェレミー・スコットのスニーカー(2万6,250円)。
壁面にはIRIKIさんが収集してきたレコードや、ストリート・アートの先駆者ともいうべき、キース・へリングのポスターが。
原宿のスナップスポットでもある表参道沿いのローソンを入った通り沿いに位置する「ラドラウンジ」。
商品構成は、メンズとユニセックスが8:2。セレクトはすべて海外ブランドで、オーストラリアやイギリス、アメリカ、オランダ(アムステルダム)など世界各国からラインナップしている。扱うブランド数は約30で、国内では同店のみが扱う「OKAY!(オーケー)」(豪)をはじめ、「STOLEN GIRLFRIENDS CLUB(ストールンガールフレンズクラブ)」(豪)、「TUESDAY NIGHT BAND PRACTICE(チューズデーナイトバンドプラクティス)」(英)、「ROCKWELL CLOTHING(ロックウェルクロージング)」(蘭)、「T by ALEXANDER WANG(ティーバイアレキサンダーワン)」(米)など。また、海外ブランドとのコラボレーション商品も展開。中心価格帯は1万〜1万5,000円程度で、セレクトのTシャツが6,090〜2万5,000円、オリジナルのパンツは1万〜2万円。決して高価すぎる価格帯ではないものの、平均客単価は約4万円というから、顧客からの支持が厚いことを伺わせる。

主な来客層は16〜30歳までの男性で、特に多いのは20歳前後。高校生や大学生、服飾系専門学生はもちろん、平日はスーツというファッション好きの一般の社会人や、地方から同店を目指してやってくる客もいるという。オーストラリアやアメリカなどの外国人が、同店のFacebookやTumblrなどを見て来店することもあるそうだ。また、オンラインショップや通販での購入は全国に及び、なかでも大阪や静岡、広島、宮崎、鹿児島からのオーダーが特に多いという。日本でも人気が高い韓国のアイドルグループのメンバーらが同店で扱う服を好んで着用していることも多いためか、韓国や台湾からの問い合わせも多いそうだ。

また同店は、客の滞在時間が長く、顧客が集い情報交換をするサロンのようでもあるそうだが、決して敷居が高い店にはしたくないという。

自分が学生の頃の裏原では業界人的なノリが強く、一見の客が入りにくいショップも多かったんです。だからこそ、自分のショップではあえて敷居を感じさせないよう、一見さんも顧客も変わりなく接客をするように心掛けています。また、お客様に似合わない商品は絶対に勧めないようスタッフにも徹底し、信頼関係が作れるようにしています。お客様の方が音楽や洋服に詳しい場合もありますから、勉強させてもらうことも多いですね」(IRIKIさん)

記事冒頭にも登場したIRIKIさんに憧れる 18歳の大学生 (92年生まれ)は「もっとストリートカルチャーに染まりたい!」という名言を放ったが、90年代のストリートカルチャーのパワーを背景にIRIKIさんが提案する 「RADD LOUNGE」 は、90年代を体感していない若者には特に新鮮に映り、画一的なMDや大量生産・大量消費に辟易した彼らの共感を得ているようだ

将来的には、海外にも出店したいと意欲をみせるIRIKIさん。90年代の原宿を経て生まれたテン年代の原宿から、アジア〜世界に向けてストリートカルチャーとしてのファッションが発信されることに期待したい。

【取材・文:緒方麻希子+『ACROSS』編集部】
 
 

RADD LOUNGE(ラドラウンジ)

東京都渋谷区神宮前4-28-7 RDMビル1階&地下1階
TEL : 03-3478-9110
HP:http://www.raddlounge.com



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