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日比谷図書文化館
レポート
2012.05.31
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日比谷図書文化館

図書館・博物館・市民カレッジの機能が融合した“知の拠点”

図書フロアは2Fと3F。ビジネス/キャリアデザイン、新聞・雑誌、ライフスタイルと科学技術、アート/文学/カルチャーの4カテゴリーに分類して配架。旬の話題に合わせたコーナーを設置している
蔵書は約15万冊。通路を幅広く取り、書架も目的の書籍を見つけやすくできるような工夫が盛り込まれている
図書フロアにはテーブル席や椅子席など約300席を設置。全席で無線LANが利用できるのは嬉しい
4F特別研究室では内田嘉吉文庫や江戸・東京の地域資料、和本など約2万冊を所蔵。貴重な古書を直接手にとって閲覧できる
内田嘉吉文庫は明治〜大正時代の逓信官僚/政治家・内田嘉吉が蒐集した約1万6000冊の蔵書。写真は1675年に英国で刊行された『ドン・キホーテ』
日比谷図書館は1908年開館。現在の建物は1957年に落成したもので、螺旋状の階段室や広い窓など随所に当時の記憶を留めている
1Fエントランス奥に設置されたフレスコ壁画。1957年の都立日比谷図書館建設時に色彩計画を担当した柳享氏を中心とする芸術家集団JAN(Jeunes Artist Noubeaux)が制作したもの
都立日比谷図書館として親しまれてきた建物が千代田区に移管され、区立の総合文化施設「図書文化館」として2011年11月にオープン。「図書館機能」「ミュージアム機能」「カレッジ機能」に加え、有料の貸しホールと会議室など、多彩な機能を持つ施設として生まれ変わった。

施設規模は地上4階・地下1階、延床面積は約9665.09平方メートル。 三角形の印象的なフォルムはそのままに、2008年の休館後約2年半をかけて設備を全面的に改修。運営は株式会社小学館集英社プロダクションを指定管理者の代表に、株式会社シェアード・ビジョン、株式会社図書館流通センター、大日本印刷株式会社、大星ビル管理株式会社による《日比谷ルネッサンスグループ》が担当する。

日比谷図書館の蔵書は約15万冊。2F・3Fの図書フロアは開架部分をオレンジ(ビジネス、キャリアデザイン)、パープル(新聞、雑誌、地域資料)、グリーン(ライフスタイル、科学技術)、ブルー(アート、文学、カルチャー)という4つのカテゴリー別でゾーン分けをしている。

各ゾーンには企画展示のコーナーを設置し、千代田区らしい江戸・東京に関する地域資料やタイムリーで企画性の強いテーマの展示、周辺の美術館や博物館と連動したアート情報のコーナーなど、オリジナルな本の提案を行っている。閲覧席はテーブル席、椅子席など約300席を設置。全席で無線LANが利用できるほか、18の有線LAN席を用意している。

4Fの特別研究室は、内田嘉吉文庫や江戸・東京の地域資料や和本など、貴重な古書約2万冊を
直接手に取って閲覧できるという、本好き垂涎のセクションだ。 内田嘉吉文庫は明治、大正時代に逓信官僚、台湾民政長官などを歴任した内田嘉吉氏が収集した約1万6000冊の蔵書で、シーボルト著『日本』の原書やナポレオンの伝記など、なかなかお目にかかれない稀觀本も数多く含まれる。専門のスタッフが常駐しているので、詳しい説明を受けることもできるのに加え、夜間にはセミナーも開催している。

特別研究室は有料で、2時間枠ごとに300円、終日利用1200円の利用料金が必要。全席に有線LANと電源を備えた 32席の閲覧ブースが用意されており、窓から日比谷公園を一望できる静かな環境の中で読書や仕事に集中できそう。手軽なワーキングスペースとしても利用できる。

同館が主催、共催で開催するセミナー、イベントが「日比谷カレッジ」。「江戸・東京」 「本」「スキルアップ」「芸術」「センスアップ」の5つのカテゴリーに渡り、座学だけでなく音楽ライブまでも網羅した企画が充実している。料金も1000〜2000円(さらに一部は千代田区民半額・無料)とリーズナブルだ。
特別研究室には全席に電源コンセントと有線LANを備えるブース32席を用意。図書フロアと特別研究室の蔵書を持ち込んで閲覧できる。窓からは日比谷公園を一望できる快適な環境
同館の主催・共催でセミナーや各種イベントを行う「日比谷カレッジ」。ワークショップや音楽・映画の鑑賞などプログラムは多彩
常設展示室では「環境・人間・都市」をテーマに千代田区の歴史と文化を紹介。最新のデジタル技術を駆使した展示も見どころ
貴重な文化財や資料も多数展示される常設展示室。特別展示室では学術や芸術などをテーマとする企画展を年間4〜5回のペースで開催する
B1Fの洋食レストラン 「Library Dining HIBIYA」と1Fのカフェ「Library Shop & Cafe Hibiya」にも図書フロアの蔵書が持ち込み可能なのも嬉しいポイント
1Fカフェに併設されたショップでは展覧会関連商品や雑貨のほか書籍や雑誌も販売。公共図書館に書店があるという新しい試みだが、これは結構便利
エントランスそばにはコンシェルジュ・カウンターを設置。館内情報に留まらず区内の美術館・博物館や周辺エリアの情報を提供してくれる
日比谷カレッジの会場は基本的に大小2つのホールと2つの会議室(セミナールーム。セミナールームA・B(定員24名)、小ホールStudio+(スタジオプラス 定員60名)、定員207名の大ホール(日比谷コンベンションホール)は、千代田区外の利用者でも有料で利用できる。

「霞ヶ関のオフィス街が近く、平日はビジネスマンの利用が多いので、土日の来館者を増やすために、週末にもセミナーやイベントを開催しています。プレスセンターと弁護士会館も近いので、弁護士の方々の会合や記者会見などで利用されることも多いですね」
と同館の広報担当者は語る。


1Fには常設/企画と2つの展示スペースがある。常設展示室は四番町にあった「歴史民俗資料館」を機能移転したもので、古代から近代に至る千代田区の歴史を貴重な文化財の展示や映像で紹介している。特別展示室では芸術/学術的なテーマの展示企画を年間4回の予定で開催。会期外には一般にも貸し出すという。

館内にはカフェ「Library Shop & Cafe Hibiya」(1F)と洋食レストラン 「Library Dining HIBIYA」(B1F)という2つの飲食スペースを備える。ともに図書フロアの書籍を持ち込んで閲覧できる。カフェ内のショップでは特別展の関連商品だけでなく、書籍や雑誌も販売する。いずれも公共図書館としては画期的なサービスだといえる。

同館では広報誌「ポモーヌ」の発行やコンシェルジュの常駐など来館者への情報提供に力を入れている。
「図書館フロアやカフェ、カレッジ参加など、来館者の目的はさまざまです。当館が網羅している本とその周辺のさまざまな機能を生かして、全館を1日中利用していただけるような仕掛けづくりを考えています」(広報担当)

同じ千代田区が2007年にリニューアルオープンした区立中央図書館は、指定管理者制度を導入、22:00までという開館時間の長さ、電源と有線LANを完備したブース席の設置など、従来の公共図書館の枠を越えたサービスを提供して話題になった。この日比谷図書文化館では、ハードとサービスの両面でそれをさらに推し進め、外部に開かれた施設運営が行われている点に注目したい。

周辺に博物館や美術館、史跡などが数多くあるのも、千代田区ならではの魅力。施設内部に留まらず、周辺の施設との連携やコミュニティに向けた文化発信など、公共文化施設のモデルケースのひとつになっていきそうな
“知の拠点”だ


取材・文/本橋康治(ACROSSコントリビューティングエディター/フリーライター)

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●住所: 千代田区日比谷公園1−4 (日比谷公園南側)
       都営地下鉄三田線「内幸町駅」から徒歩3分
       東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」から徒歩5分
●開館時間:10:00〜22:00(土曜 10:00〜19:00、日曜・祝日 10:00〜17:00)
      Library Shop & Cafe Hibiya 11:00〜19:00(土曜・日曜・祝日 11:00〜17:00)
      Library Dining HIBIYA 11:00〜21:00(土曜 11:00〜19:00、日曜・祝日 11:00〜17:00) 
       その他施設により閉館時間が異なる
●休館日:毎月第3月曜日・12月29日〜1月3日・特別整理期間
●施設規模 地上4階・地下1階/延床面積 約9665.09平方メートル


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