ACROSS Street Fashion Marketing

コンテンツメニュー
東北コットンプロジェクト パート4
レポート
2012.07.04
この記事のカテゴリー |  ファッション |   その他 | 

東北コットンプロジェクト パート4

初めて収穫したコットンによる製品発表会が開催。

津波被害にあった農地で綿を栽培、紡績から商品化・販売を参加各社が共同で展開する「東北コットンプロジェクト」。当サイトでは活動の立ち上がりから、畑の草取り、収穫イベントと、継続して注目してきた。その後、収穫した綿は参加企業の紡績会社で紡績され、アパレル企業が製品化し、商品として販売されることになった。種蒔きから約1年、初めて目に見えるかたちになったのである。


東京ミッドタウンで行われた製品発表イベントでは、生産農家や、地元農業高校の高校生がモデルとなって製品を身にまとい、スタイリングしたアパレルチームメンバーとともに登場するという「東北コットンランウェイ」が行われた。生産者と製造、小売りが共に取り組む当プロジェクトを表すイベントだった。

筆者は初期から継続的に取材を続けているので、製品化に至るまでの経緯をレポートしたい。

ミッドタウンのアトリウムには同プロジェクトの関係者だけでなく、一般の人も混ざり、賑わった。

前回のレポートでも触れたが、9月に大型の台風で仙台市の荒浜圃場が冠水し綿の成長に大きなダメージを受けた。本来なら自然と開くコットンボールがなかなか開かず、実を付けた木を抜いて、ビニールハウス内で乾燥させ、それを手で開いて中から綿を取り出す、という作業も行った。収穫量は予定を大幅に下回り、名取地区、荒浜地区合わせて80kg。1年目は試験栽培という位置付けではあったが、この綿をどのように使うか、プロジェクト内で年明けから活発な議論が繰り広げられた。


その結果、収穫した綿を使った全製品を「東北コットン」ブランドで販売、アパレル製品群と雑貨製品群での展開、紡績時に東北コットンと他のコットンを混紡して糸を製造する、という方針を決定した。

 

製品は、アパレルがポロシャツとデニムで、それぞれアーバンリサーチリー・ジャパンが担当。雑貨はタオル類とストールで、天衣無縫ブランドを展開する新藤が企画製作した。東北コットンの混率は、アパレルが5%、雑貨は約2%。混率は、イベントとインターネット販売に集約するアパレル、参加企業などの各店舗にも多く置いて販売していく雑貨、というそれぞれの販売方針と関連している。

耕谷アグリサービスの佐藤さんもモデルとして登場。

今回各製品は、大阪府阪南市で紡績し、ポロシャツは和歌山タオルは今治デニムは宮城県栗原市と、日本国内で製造された。栗原市は先の震災で日本最大の震度7を計測し、工場も建物の一部が崩れる被害を受けた。宮城県で穫れた綿を、同じ県内で縫製、新しい産業が生まれている。

 

製品化と同時に、6月の製品発表イベントや販売計画も、プロジェクト参加メンバーの手で作り上げられていった。23日東京ミッドタウン、24日仙台エスパルでの会場手配、ランウェイの企画、設営や物販、webでのプロモーションや販売サイトの構築など、多くのメンバーが関わり大盛況となった。

東北コットンプロジェクト,アクロス,ストリートファッション,レポート,津波,kurukku,綿,仙台,荒浜,宮城,震災,復興,農業,tohoku,cotton,Lee,UA,Tabio,農家,デニム,タオル
東京ミッドタウンのガレリア B1アトリウムに設けられた東北コットンプロジェクトのポップアップショップ。いちばんの人気商品はタオル。ミニタオルで682円、ウォッシュタオルで945円、フェイスタオルで1,800円、ボディバスタオルで7,350円とお手頃だ。

一方現地では今年度の種蒔きも5月中に行った。今年は作付け面積を大幅に増やし、名取は約2倍の1ha荒浜は約7倍の7ha。種蒔きには県内外からボランティア、関係者など300人以上が参加した。播種後1ヶ月が過ぎ、台風や大雨、雑草の繁殖などにみまわれながらも、栽培に取り組んでいる。綿作りをきっかけに農地を整備し、農業に戻る道筋をつけ、産地化、産業化に向けての2年目が始まっている。

 

参加企業団体は、5月末時点で58。最近は地元企業や学校、アパレル以外の業種の参加も増えている。モデルで登場した宮城県農業高校は、クラスで綿を育て収穫した綿をプロジェクトに還元する、生産者の立場での参加である。学校も被害を受け、別の地域の仮校舎に通うというが「収穫した綿を使って、苦しんでいる人達を幸せにしたい」という言葉が印象的だった。荒浜近隣の小学校でも、綿を育てる活動が広がっている。

東北コットンプロジェクトは、復興支援にとどまらず、確実に、さまざまな人たちが混ざり、さまざまな分野へと波及しているプロジェクトである。今後も引き続き取材・掲載していく予定だ。

[取材/文:神谷巻尾(フリーエディター)、撮影:「アクロス」編集部、中野幸英(フォトグラファー)]

東北コットンプロジェクト,アクロス,ストリートファッション,レポート,津波,kurukku,綿,仙台,荒浜,宮城,震災,復興,農業,tohoku,cotton,Lee,UA,Tabio,農家,デニム,タオル
「5月のコットンサミットに参加して以来、すっかりハマってしまって卒論はこのプロジェクトにする予定です」と言うお茶の水女子大学の学生さん(右)。今回は先輩(左)を誘って会場に。ハンディタオルをお母さんにお土産に、と2枚購入したそう。
東北コットンプロジェクト,アクロス,ストリートファッション,レポート,津波,kurukku,綿,仙台,荒浜,宮城,震災,復興,農業,tohoku,cotton,Lee,UA,Tabio,農家,デニム,タオル
今回のファッションショーの企画から運営までをすべて仕切っていた山本彩さん。ユニフォームで働くモチベーションをアップしようというソーシャルビジネスを行うため、フォーワーカーズデザインカンパニーという会社を立ち上げて活躍中。前職はカフェカンパニー。
翌24日は仙台エスパルにてトークショー&販売イベントを開催。仙台放送の人気番組「あらあらかしこ」の司会者である牧野隆志さんと仙台東部地域綿の花生産組合副会長で農家を営む渡邊静男氏が登壇。荒浜がどう立ち上がったのか、農家、そしてアパレをはじめ、どんなふうに広がっているのかを公開インタビュー形式でお話いただきました。
東北コットンプロジェクト,アクロス,ストリートファッション,レポート,津波,kurukku,綿,仙台,荒浜,宮城,震災,復興,農業,tohoku,cotton,Lee,UA,Tabio,農家,デニム,タオル
本プロジェクトを知り、ぜひ自分のクラスでも参画したいと申し出て実現した宮城県立農業高校国際理解教育担当の阿部由先生(右奥)。綿花の苗を1人2鉢担当し、現在育成中だそう。今回は男子だけ(残念!)ファッションショーにもモデルとして参加した。
東北コットンプロジェクト,アクロス,ストリートファッション,レポート,津波,kurukku,綿,仙台,荒浜,宮城,震災,復興,農業,tohoku,cotton,Lee,UA,Tabio,農家,デニム,タオル
まだ始まったばかりの「東北コットンプロジェクト」。今年度も種まきが行われた。


同じカテゴリの記事
同じキーワードの記事