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CaNARi yoyogi(カナリヨヨギ)
レポート
2012.09.10
この記事のカテゴリー |  ファッション |    | 

CaNARi yoyogi(カナリヨヨギ)

ターゲットはファッションリテラシーの高い消費者と近所の人。
ストーリーのある古着を現代風に提案する古着店

アメリカ買い付けの古着を中心に、デザイナーズブランドのウェアやアクセサリー、ブーツなど珍しい一点ものを中心にセレクト。
周辺にアパレルのオフィスが多いエリアのため、ファッション関係の来店客も多い。
古着のサイズやシルエットを修正し、現代風にアレンジ。トータルでは年代の文化的背景やルーツを感じられるような店作りを心がけている。
 都心でありながら、どこかローカルな雰囲気が漂う東京・代々木八幡。駅から徒歩1分の高架沿いに、レディス古着とオリジナルアイテムを扱う「CaNARi yoyogi(カナリヨヨギ)」がある。オープンは2011年2月。運営元は(株)メローカナリア。
 
 「僕はもともとハードコア音楽やスケボーが好きで、アメリカのストリートカルチャーに影響を受けているんです。代々木八幡はスケーターも見かけるけど、近所のおばちゃんも歩いている。近所に住んでいたり、仕事で来ている人など、街にゆかりのある人以外にはほとんど話題にも上らないのに意外とオシャレな人や店が集まってる街」(齊藤さん)というのは、オーナーの齊藤秀行さん(38歳)。
 
 齊藤さんは、国内の某アパレルメーカーでパタンナーを努めていたが、2000年前後にアパレルメーカー各社が続々とOEM/ODM生産を導入するとともに独立。2003年に都内に古着屋をオープンした。当初はメンズ古着を中心にハードコア系バンドグッズ、7インチのレコードなどを販売していたが、市場の動向やニーズに合わせてレディスに移行。アメリカのレギュラー古着を中心に扱っていた。
 
 2009年、営業体制の見直しから、旧店舗を閉店。同年会社を設立し、渋谷区笹塚に「CaNARi sasazuka(カナリササズカ)」をオープンした。そして今回、2店舗めとなる「CaNARi yoyogi(カナリヨヨギ)」を代々木八幡にオープン。同エリアを選んだ理由は、メジャーではないが街全体に根付いたセンスの良さと程よいストリート感、飲食先行でファッション系の店の少ないこと。
 
 品揃えはすべてレディスで、古着が7割、オリジナルが2割。インポート&ドメスティックブランドが1割。古着は年数回アメリカで買い付けを行っている。70〜80年代の古着に加え、プラダやマークジェイコブスなどのハイブランドの古着や靴、USEDのアクセサリーなどが並ぶ。オリジナルは、ミリタリーアイテムなどのベーシックな古着をイメージソースに、齋藤さんがパターンを引き現代的にアレンジ。生地や縫製にこだわった上質なアイテムを提供している。
 
 「たとえば百貨店で上代5万円で販売している品質のものでも、うちでは3万円で販売します。この5万円と3万円の商品が同じ品質だと認識できる、ファッション・リテラシーの高い人たちがコアターゲットです」(齊藤さん)
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代々木八幡駅から徒歩1分の立地。代々木八幡は近所に住んでいたり、仕事で来ている人など、街にゆかりのある人以外にはほとんど話題にも上らないのに意外とオシャレな人や店が集まってる街」(齋藤さん)

 

「一見、トレンド寄りな店作りに見えて、分かる人が見ればきちんと本物が揃っている店でありたい」(齋藤さん)
オリジナルブランドのCaNARIは国内のセレクトショップに卸で展開もしている。デッドストックのワークパンツをリメイクしたジョッパーズパンツ。1万6,905円。
靴やバッグも充実。状態のよいものを揃えている。
今シーズンの売れ筋はレザーボトムス。手頃な価格で本物を身につけられる、というのはファストファッションにはない魅力だ。
販売スタッフの小林さん。同店では時間をかけた丁寧な接客を心がけているそうだ。
 価格帯は、Tシャツ5,000円〜、トップスや靴が7,000円前後、ワンピースが7,000円〜1万5,000円。客単価は1万5,000円。客層は20代後半〜40代で、会社帰りに立ち寄る近隣在住の会社員が中心。また、近隣にアパレルの事務所が多いため、ファッション関係に従事する女性客も多いという。土日や休日はblogやtwitter等を見て遠方からの来店も多い。
 
 「最近は、洋服を買うためだけにわざわざ出かける人が少なくなってきていると思います。みんな一通りモノは持っているし。でもなんとなく何か欲しいけれど、それが何かは決まっていない。だから、ふらっと立ち寄った店で心惹かれるモノに出合って、なおかつその店の対応や居心地がよければ、1万円くらいポンと出して買ってしまう。そういう感覚を大事にしたいので、スタッフにはきちんと時間をかけた丁寧な接客をするよう指導しています」(齊藤さん)
 
 店舗面積は5坪。店内は、古着屋らしい雑多さを残しつつ、セレクトショップよりも品数が多めの、ほどよい密度で商品が置かれている。なにより、スタッフと来店客が1対1で対話するのに、ちょうどいい規模だと齊藤さんは言う。
 
 
 現在はいくら「古くて良いもの」でもそれだけでは受け入れてもらえない。だから徹底的にサイズやシルエットの修正を掛けて現代風に提案している。ただし現代的にアレンジはするが、ルーツを感じられる範囲で手を加える。音楽をはじめとする、その時代の文化的背景を理解したうえでの商品構成や店づくりを外さないことと現代のファッションとのバランスに非常に気を使っているそうだ。
 
 一見、トレンドよりな店作りに見えても、わかる人が見ればきちんと本物が揃っている店でありたいので年数回は海外に買い付けに出向き、1回の買い付けで数万枚の古着を見ているという。
 
 また、現在のファストファッションブームに対して「時代の流れであり否定はしないが、それがすべて全てだと思っている若者があまりにも多いことに危機感を覚える」と警鐘を鳴らす。さらに「好きなものにはお金を使って欲しい」とも。たとえば、アニメが好きでもそれをYoutubeで観ていたらアニメ業界は潤わないし、音楽もiTunesで1曲単位で買えるけれど、実はアルバムの7曲目がすごく重要だったりする。物の価値を知り対価を払って始めて、それが自分の中で消化されるのは、ファッションも同様だという。
 
 「僕たちの世代は安い服はダサいという感覚でしたが、今はトレンドの服が安く買える。それも、古着よりも新品の方が安い。今はまだ若くてお金がないから合皮で我慢しているけど、いつかは本革を手に入れようとか、そういう感覚がないのが少し残念ですね。そもそも今の若い世代は、本物に触れる機会がないのですから」(齋藤さん)
 
 
 かつて若者が入門編としてファッションを学ぶのは古着だったが、近年の相次ぐ大手外資系ファストファッションブランドの上陸で、安価なトレンドアイテムをどんどん消費する、という方向へと消費者意識が激変している。そんな時代だからこそ「じーっと本物をやっているのが一番」と話す齊藤さん。古着ならではのストーリーのある商品や上質なオリジナルアイテムを提案する同店のスタンスや商品構成が、ファッションリテラシーの高い消費者に支持されているのもうなづける。同時に、基本を踏まえつつトレンドを提案する同店は今後、「若い世代」と「本物」のつなぎ役にもなりうるだろう。
 
取材・文:皆川夕美(フリーライター)

CaNARi yoyogi(カナリヨヨギ)

東京都渋谷区上原1−47−4
金子ビル1F
TEL:03-3468-1374


営業時間
14:00〜22:00(平日、土曜)
12:00〜20:00(日曜、 祝日)
無休


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