ACROSS Street Fashion Marketing

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commune(コミューン)
レポート
2012.12.26
この記事のカテゴリー |  カルチャー |   飲食・フーディング | 

commune(コミューン)

ジャンルレスなクリエイティブを発信する
新代田のギャラリー/カフェ/ショップ

ポストカードなどの雑貨やアクセサリー、ZINE、書籍、CDなどジャンルレスなショップスペース
カフェのメニューは現在のところドリンク中心。いずれはフードのメニューも充実させたいとのこと
イラストレーターやアーティストのTシャツも扱っている。アーティスト同士のコラボアイテムなどcommuneのオリジナル商品も展開している
アクセサリーは来店客にも人気のある商品カテゴリー。「H/A/R/V/E/S/T」など数ブランドを取り扱っている
ZINEは国内クリエイターのものだけではなく、アジアやヨーロッパ、アメリカなどwebを通じて世界中から集まってくる
2012年10月に開催されたグループショウ「KID TUNG」の会場風景。写真、イラストレーション、ファッション、雑貨、音楽と多様な作品が集まった
インディペンデントなショップやスペースが日々生まれる下北沢エリア。下北沢駅から井の頭線で1駅隣、新代田駅そばのcommune(コミューン)は、音楽や絵画、イラスト、写真、洋服や雑貨など、多彩なジャンルのアートを発信するスペースだ。

ロケーションは環状7号線沿いのビル1F。約50平方メートルの店内のうち1/4を壁で区切ってギャラリースペースとしている。通りに面した壁面は全面ガラス窓で採光がよく、テーブル席のある居心地がいいカフェスペース。ショップスペースには、ZINEやポストカードなどの紙ものや雑貨、海外で買い付けた雑貨やアクセサリーなどクラフト系作家の作品などが並んでいる。

commune」がギャラリースペースで取り扱うジャンルは、イラストレーションや写真の展覧会、さらにファッションや雑貨、音楽など幅広いジャンルのクリエイティブだ。ギャラリーの展示企画は場所貸しが中心で、そこに月に1本程度のペースで企画展を開催している。展覧会と連動する形で、パーティやトーク、ワークショップなどのイベントを開催したり、展示のイメージに近いアーティストのライブを行うなど、積極的に情報を発信している。

ライブなどの音楽イベントが充実している点が「
commune」の特徴。ライブやDJイベントには定期的に開催しているレギュラー企画があり、特に奇妙礼太郎さんのライブは毎回完売になる人気だという。

この独特のバランスで
communeを運営するのは川邉美幸さん(31歳)。大学卒業後にNYに留学し、帰国後出版社や広告制作会社への勤務の傍らバンド「THE SUZAN」のベーシスト兼マネージャーとして活動していた。

2009年に下北沢一番街でスタートした
communeは、ミュージシャンの曽我部恵一さんが携わっていたことで、下北沢の音楽ファンの間では注目を集めていたスペースだった。2011年の4月にお店の運営を引き継いだ川邉さんは、当初カフェに形態を変えることも検討していたが、3.11後に食への不安が広がっていたこともあり、ひとまずギャラリーとしてそのまま運営を継続することにしたそうだ。

「ニューヨークに1年ほど留学していた時に美大の夜間に通っていましたが、 私自身“何がアートなのか”もよく分かっていませんでした。なので『こだわりすぎても面白くない!』と、むしろいろいろ知りたいという気持ちから企画の幅を広げて運営してみたら、これがとても面白かったんです。ギャラリーにもっと気軽に遊びに来てほしいと考えて、展示に合わせてライブやパーティーなどのイベントをするようにしました。下北沢のお店ではスペースが足りなくなってきて、ゆっくり座って話すカフェスペースも欲しくなってきたので、契約の切替を機に広い場所に移転することにしたんです」(川邉さん)

予算の範囲内で希望する広さのスペースを探していたところ、隣駅の新代田で見つけたのが現在の物件だった。2009年にライブハウス「FEVER」(取材記事はこちらが新代田駅そばにオープンしたことをきっかけに音楽好きの人がこのエリアに集まるようになっていたのにも魅力を感じたという。そして2011年10月に移転オープンとなった。

「私は本格的に美術を学んできたわけではないですし、銀座にあるような敷居の高い画廊を目指しているわけではありません。ジャンルを問わず面白いこと、新しいことを発信したい若い人たちに発表の場所を提供していきたいと思っています」(川邉さん)
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壁一面の窓から自然光が射し込む明るい店内。入口から正面奥のカウンターの様子が分かるので入りやすい
店のすぐ目の前を環状7号線が通っているが、二重のサッシの効果もあって店内は静かで居心地がいい
アートブックや写真集、書籍の販売コーナー。植本一子さんの写真展も数回開催されている
2012年10月、移転1周年のアニバーサリーにcommuneに関わってきたクリエイターたちを集めたZINE「FAVES」を制作。グループ展も開催した
井の頭線・新代田駅近く、環7沿いに商店が並ぶ。09年にライブハウス「FEVER」がオープンしてから音楽好きの間で名前が出るようになったエリアだ
オーナーの川邉美幸さん。バンド「THE SUZAN」のベーシスト兼マネージャー・Michelle (ミシェル)として活動していた
ウェブサイトで常に展示企画の募集もしているが、ギャラリースペースの利用者には学生も多く、ジャンルは写真やイラストに加えて、アクセサリーなどのクラフト系カテゴリーも多いのがcommuneの特徴だ。現時点での来店客は男性/女性がほぼ同じくらいだが、売上を構成する客層としては女性が中心。来店客の年齢層は企画によって変動はあるものの、おおむね10代から30代半ばだという。この場所に移転してからは、散歩中の近くの住人が気軽に立ち寄ってくれることも増え、間口が広がったそうだ。

「アメリカではもっと気軽にギャラリーへ行くし、お土産感覚で絵を買う人が多いのですが、日本ではまだ作品を買うまでのハードルが高い気がします。服に2万円かける人は普通にいるけれど、同じくらいの値段の絵をその場ですぐ買う人はまだまだ少ない。衣食住と同じとまではいかなくても、もっと日常的に絵や写真を見てもらったり、買ってもらえるような場所を作っていきたいですね」

という川邉さんは、音楽との連動など、他のジャンルとの出会いやつながりをこの
communeで提供している。

「あるバンドのボーカルにアコースティックライブを定期的にやってもらっているんですが、それが定着してこの場所がファンの間で特別な場所になっているようなんです。普段のライブハウスよりも距離感が近いのが新鮮でいいのかもしれませんね。そうしたきっかけで10代の女性客が増えたのですが、彼女たちはアート作品も思い切りよく買ってくれたりもするんです」(川邉さん)

役者やミュージシャンが集まるアンダーグラウンド感に、普通の商店街が持つ親密感がほどよく混じりあっているのが下北沢エリアの魅力だが、近年は、街に集まる客層も拡がりを見せているようだ。

川邉さんによれば、下北沢に集まる人たちには“遊牧民的”な印象があるという。例えば中央線カルチャーのようにエリアの中にどっぷり浸かるのではなく、他のエリアとも行き来し、使い分けをしているのが下北沢マーケットの特徴といえるのかもしれない。渋谷や新宿、吉祥寺などと微妙な距離感でつながっている下北沢の地理的要因もあるのだろう。

acrossではこの数年、ギャラリー、ライブスペース、ショップ、スタジオなど多様な機能を持つオルタナティブスペースの誕生を紹介してきた。例えば2【Ni】(千駄ヶ谷)はちどり(北烏山)ウェイティングルーム(恵比寿)フォレストリミット(幡ヶ谷)など、これらのスペースに共通しているのは、その場所をベースとして異なるジャンルのクリエイターやそのファンなどが集まり“ゆるいコミュニティ”を形成していることだ。

クラフトとアートの中間的な領域が拡大し、作品の発表の場を求める人々が増えている。だからこそ、スペースそのものはジャンルを問わず、多彩な表現を扱うことが必要になるのだろう。こうしたニーズを背景に生まれてきたコミュニティスペースの1つとして
communeにも注目しておきたい。

「この場所を持つことで、今までないぐらいいろいろな人に出会えて、とても刺激的! お客さんや作家さん同士が繋がって次のアクションに繋がるのがすごく面白いし、うれしいんです」
と川邉さんは言う。多彩なジャンルのクリエイターたちが作リだす“ゆるコミュニティ”感に、下北沢ならではの親しみやすいストリート感が加わった、独特のグルーヴを感じさせるスペースである。



【取材・文: 本橋康治(フリーライター)across編集部 】
 

commune(コミューン)

住所:東京都世田谷区代田 5-28-3 SIビル1F
営業時間:
平日 14:00-20:00
土日祝 12:00-20:00
(木曜定休)

TEL:03-3412-2533
HP:http://www.ccommunee.com
Twitter:http://twitter.com/ccommunee



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