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Think of Fashion(ファッションを考える)
レポート
2012.10.29
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

Think of Fashion(ファッションを考える)

参加型トークイベントの深化系

ここ数年、ファッションについて議論する場が増えている。アクロス編集部も企画協力し2010年4月から約1年間開催された「ドリフのファッション研究室」(以下、ドリフ)、ドリフ最終回をきっかけとして2011年8月に出版された西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』。さらにKCIの蘆田裕史氏と慶應義塾大学の水野大二郎氏が責任編集を務めるファッション批評誌『fashionista』が2012年3月に創刊された。

この流れに続くように、10月からThink of Fashion ファッションを考えるというトークイベントが月1ペースで開催される。運営しているのは某アパレル企業に勤めつつ、2005年からファッション、アート、デザイン、劇などの勉強会を定期的に企画している篠崎友亮氏。前述したドリフの最終回「総集編的・長編シンポジウム!(完全参加型)〜−ファッションの批評を考える−」は篠崎氏の企画でもある。

本格始動に先立って、プレ企画が
8月5日に原宿のカフェ&ギャラリー「BLOCKHOUSE(ブロックハウス)」で開かれた。当日は7月28日より東京都現代美術館で開催中であった「Future Beauty 日本ファッションの未来性」展(以下、東京展)について、同展のアソシエイトキュレーターである蘆田氏を迎え、ロンドン(2010年)やミュンヘン(2011年)でなされた「Future Beauty: 30 Years of Japanese Fashion」展との違いに焦点を当てながら、東京展の概要が説明された。

議論をすることの拡がり

来場者の一人も指摘していたものだが、ほぼ満員の会場で特徴的であったのは、ここ数年で開かれたファッションのトークイベントとは参加者の顔ぶれが異なっていたという点だ。これまではファッション系の学生や会社員が知り合いとともに複数で来場していることが多かったが、今回は一人での参加者も比較的多く見られた。

この変化は、一方では友人などのネットワークを基礎とせずにも、トピックへの関心のみを理由とする参加が増えていると考えられ、その点では参加型イベントの広がりの影響を感じさせるものだが、他方では、これまで開催されたイベントの効果として特定のトピックについて他人と議論を行うという振る舞いが広く共有され始め、自分たちで議論の場を設ける人達が増えているために、このようなイベントに足が向かなくなりつつあるとも考えられる。

講演会という形式の可能性

もう一つの特徴として、登壇者が2人だけという点が挙げられる。ドリフなどでは司会以外の登壇者が3人以上ということが多いため、意見が多様化するという利点があるものの、一人当たりの発言時間が少なく、議論が深まる前に時間切れというケースも見られた。

今回は、司会を『ファッションは語りはじめた』でmatohu論を書いている高城梨理世氏が務め、話題提供者である蘆田氏との対話形式で進められたため、論点が拡散せず来場者にとっては理解しやすいものとなっていた。

形式的には講演会に近いものとなっているが、篠崎氏は企画の意図について次のように説明している。

「ファッションについて、ファッションデザイナー本人が語るのでなく、第3者であるファッションの研究者やキュレーターがファッションデザイナーのことや人々の装いについての文化現象などを語るということをキーコンセプトにしています。また、彼らが来場者とともに、ファッションについて議論を深めていく会を考えています。」(篠崎氏)
 

「打ち上げ」でファッションを考える

USTやTwitterなどを使って議論をオーディエンスにも出来るだけ開こうとしてきたここ数年の流れとは大きく異なり、参加者は最後のQ&A以外は登壇者の話を一方向的に聞くだけとなってしまうが、この欠点はイベント直後に同じ会場で講師を交えて行われる交流会によって補われている

会場となったBLOCK HOUSE(ブロックハウス)は7月にオープンしたばかりの4階建ての施設で、3階がカフェ、4階はギャラリーとなっている。運営するのはオーナーの小野寺宏至氏、建築家の上領大祐氏、ハンドメイド・カンパニー株式会社の早川辰悟氏の3人だ。

「この場所は元々小野寺の祖父が所有していたもので、学生時代に「将来この場所で何かやろう」と話していたことが始めるきっかけになっていて、建物の設計は上領がやりました。カフェには刺繍ミシンを常備しているので来店者に自由に使っていただけるようになっています。私もここで開いたワークショップで刺繍を教えたりしています。今後は若手クリエーターを支援する場にしていきたいと思っています今回のようなトークイベント以外に、PVの撮影を行うスタジオとしても利用していただいています。」(早川氏)

ファッションを考えることの難しさ

ファッション関連のイベントとしては、「ファッションは更新できるのか?」会議の第一回が9月9日、渋谷パルコにて『キックオフ/前提の確認/“パクり”の文化史』をテーマに開催された。
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研究者、弁護士、編集者、バイヤーなど登壇者の立場は多様。それぞれの立場からファッションの問題点や可能性が議論されていた。
同会議では、「データベース消費」などの社会批評の用語を使いながらファッションの現状の説明や可能性が提起されたが、オーディエンスとして参加した記者やデザイナーからは、「実際のファッションを考えるには抽象度が高すぎるのではないか」や「ファッションに当てはめるべき議論なのか」という疑問がよせられ、結果的には議論の前提となるはずのファッションの捉え方が参加者の立場によってかなり異なっているということが強調される形となっていた。

イベントを「見に」来た参加者にとっては煮え切らないイベントに見えたかもしれないが、参加者とのやり取りで問題点が明確になったという点は、他者と議論をするという振る舞いがある程度定着しつつあることを伺わせるものだった。議論がイベントの中に閉じられる必要は全くない。イベントの話題をネタに参加者がそれぞれで語り合うことこそ、議論の深まりを生むものだ。
  
その意味で、講演会形式で登壇者が新たな議題やトピックの提供に焦点化するThink of Fashion ファッションを考えるは、参加型トークイベントの進化(深化)系と言えるのではないだろうか



【取材・文 『ACROSS』編集部】

 

Think of Fashion 開催概要

【今後の予定】


002 11月25日(日)18時〜 
「keisuke kanda−−「ガーリー」の突然変異」
【概要】
日本のサブカルチャーの特徴とされる、「kawaii」という形容。
ファッションにおいても、この国では「ガーリー」であることが価値を持ち続けてきた。
その系譜の中でも異彩を放つのが近年若い女性たちの間で
カルト的な人気を誇るデザイナー「keisuke kanda」である。
このトークでは、主に1970年代以降のいわゆる「ガーリーファッション」の
流れを踏まえつつ、keisuke kandaの何が「新しい」のか、
「特別」なのかを取り上げたい。


そのキーワードは、「記号的なもののパロディとしてのリボン」、
「着られる保健室」、 「マンガチックなアヴァンギャルド」等である。
keisuke kandaという「特殊な例」について語ることを通して、
「ガーリーであること」が日本のサブカルチャーの中で
持ってきた意味もまた、浮かび上がってくるだろう。

小澤京子氏
埼玉大学非常勤講師 
建築・都市のイメージ分析と並行して、衣服と身体の関わり合いについて考えたり、
ファッション批評も手掛けている。



003 12月9日(日)18時〜 
工藤雅人氏(文化ファッション研究機構共同研究員)
コム・デ・ギャルソンについて考えていきます。

004 2013年1月27日(日)18時〜 
星野太氏(東京大学特任助教) 
ハトラについて考えていきます。

005 2013年2月日時未定
依田健吾氏(批評家・研究者)
ア・ベイシング・エイプについて


会費 2,000円 ワンドリンク付 

勉強会後 懇親会を予定しております。
ワンドリンク、フードつきで、1,500円です。
(フードはブロックハウスの人気メニューをお出しします。)

お申し込み先 
palette.produce@gmail.com
懇親会参加希望の方はあわせてお知らせ下さい。


Think of Fashion(ファッションを考える)実行委員会 篠崎友亮




【終了したもの】

001ヴィヴィアン・ウエストウッドとその受容

日時:10月28日(日)18時00分〜19時30分
会費 2,000円 ワンドリンク付 


【概要】
パンク・ムーヴメントの象徴として、
あるいは英国を代表するデザイナーとして
知られるヴィヴィアン・ウエストウッド。
挑発的でありつつもエレガントな服作りは、1970年代以降、
路上からランウェイまで、 多くの人たちに影響を与えてきました。
今回は、そうした1人のデザイナーの足跡を辿るとともに、
彼女が残したアイテムの数々が、日本の女の子たちにどのように
受容されていったのかについて探ることで、
ファッションの「着る」という側面について考えていきたいです。


【講師プロフィール】
菊田 琢也
1979年山形生まれ。
文化女子大学大学院博士後期課程修了(被服環境学博士)
現在、文化学園大学非常勤講師、女子美術大学ライティング・アドバイザー。
近著に「アンダーカバーとノイズの美学」
(西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』フィルムアート社2011)、
「やくしまるえつこの輪郭 素描される少女像」(青土社『ユリイカ』第43巻第13号2011)など。

【モデレータープロフィール】
高城梨理世
1984年鹿児島生まれ。
東京大学大学院表象文化論コース修士課程修了。
興味の対象はファッションをオリエンタリズムや前衛性、身体性の問題など。
近著に「完全なる「日本」——matohuの表現」
(西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』フィルムアート社2011)

カフェ&ギャラリー「ブロックハウス」(blockhouse)

住所:東京都渋谷区神宮前6-12ー9
連絡先:03-6427-9687 
http://blockhouse.jp/


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