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レポート
2012.11.07
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"the across" vol.3

アニメ&マンガカルチャーの30年史

※「PDF版アクロス」第3号は、右上からダウンロードできます。A3両面コピーして頂くと、リーフレットのような形状になります。

 ここ数年、アニメやコミックのキャラクターが、『pen』『BRUTUS』『装苑』SPURといった雑誌の表紙を飾る機会が増えている。2009年の「機動戦士ガンダム30周年」を皮切りに、2012年は「サイボーグ009」「宇宙戦艦ヤマト2199などの名作のリメイクが続いているのに加え、「タツノコプロ50周年」「マクロス30周年」などのアニバーサリーイヤーが重なっているだけでなく、ファッション系のコンテンツとも結びついて消費されるケースも目立つ。

 かつては子供やオタク向けのコンテンツとして、あくまで限定されたターゲットに向けられていたアニメや特撮だが、全国各地の美術館や百貨店でここまで頻繁にイベントが催されているのは、これまでにない現象といっていいだろう。

 さらに、動員イベントや装置という一過性の動きから進化し、2012年9月には渋谷パルコが1フロアをアニメやマンガを含む“サブカルフロア”を編集。「シプヤポップマーケット」としてオープンした。

 なぜ、今アニメ&マンガなのか。ということで、アニメを軸として世代やメディア、カルチャーなどの視点を3つのディケイドに渡ってチャート年表化した(PDF版にてご覧ください)。では順番にみてみよう。

 80年代はアニメに耽溺する大人はオタクというレッテルを貼られ、偏った趣味の一団として分類されていた(オタク第一世代)。少年/少女向けに作られたアニメ作品をマニアックに読み込むことがオタクの楽しみ方の一つであった。

 これが90年代に入ると、宮崎駿/スタジオジブリが大人の鑑賞にも耐えうる作品を相次いで世に出したことで、親子で楽しめるカルチャー・コンテンツとしてのアニメ作品が増えはじめる。名作「ルパン三世」のアニメーション監督としてであった頃の宮崎作品とともに成長してきた60〜70年代生まれの世代が子供を持つようになると、アニメはかつてのような“子供につき合って観る”ものから“子供とともに楽しむ”ものが増えてくる。

 海外からは、ピクサー社のアニメが同じような楽しみ方ができる作品として上陸。国内では、若手俳優を拝することでママ世代と子供を同時に取り込んだ一連の平成仮面ライダーシリーズも、“親子同時鑑賞対応”を進めたことで支持層の拡大に成功した事例だ。

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☆エポックはスーパー・フラット現象だった☆

  もう1つの大きな流れが、00年のアニメとファッション、音楽、アートなど周辺ジャンルとのミクスチャー化である。アニメやマンガを、世界に類のない“日本独自のカルチャー”として見直すきっかけとなったのが、美術家・村上隆が提唱した「スーパーフラット」という概念だ。浮世絵から現代日本のアニメやデザインに至る表現を村上がキュレーションした展覧会が、世界的に評価され、その後、「ルイ・ヴィトン・ミーツ ネオ・ジャポニズム」と題したコラボレーションラインを手がけたのは記憶に新しい。

 インターネットの普及やコンシューマーゲーム機の高性能化など、90年代後半に大きく変化したメディア環境は、確実に、アニメの楽しみ方に大きな変化をもたらした。特に高校生の時代にインターネットの洗礼を浴びた80年代生まれがアニメマーケットを支える中心層になったゼロ年代前半あたりから、アニメはオタク層という限定された“族”のためのものではなく、誰もが愛好するコンテンツの一つとしてフラットに受け止められるようになっていく。

 かつてはコアなアニメファンの楽しみ方の1つであった「コスプレ」が、大きく裾野を拡げたのも同じ時期といえる。90年代半ばあたりまでは、まだ男性目線のマニア向けだったコスプレだが、ゼロ年代になると女性コスプレイヤーの参入が進み、バンド系のコスプレゴスロリファッションなどへと広がっていった。

 さらに90年代生まれがストリートの主役になった00年代後半からテン年代には、こうした複数の系統のコスプレ感覚を自由に行き来するような現象「定点観測」でも目につくようになってきた。“自己のキャラクター化”が一般化し、パッケージとして気軽に消費されるようになったのである。

 特定のフィールドに自分を埋没させるのではなく、複数の「クラスタ」のレイヤーを楽しむ態度は音楽でも同様に見られる現象だ。アニソンを一般のポピュラー・ミュージックと区別なく聴く視聴スタイルはゼロ年代後半、既に定着している。楽曲はYouTubeで検索し、ソフトは楽曲単位でダウンロード購入。mofukuちゃんが社長と務めるモエ・ジャパンが運営する秋葉原のアニソン系クラブ「MOGRA」では日々アニソンをダンスミュージックとして捉えプレイするDJやオーディエンスが集まるが、一見しただけではもはやアニメ好きという括りは通じない。

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90年代生まれの若者が入学ラッシュとなった09年。文化服装学院の入学式を取材。それ以前の世代とは異なり、古着やリメイク、自作で個性を披露していた(左)/11年になると、定点観測でもふつうにキャラ化したアイテムを着用する若者に遭遇。ジェレミースコット×アディダスのスニーカーを履くのは26歳の会社員(中)/缶バッチはセレクトショップ「WAGADO」が主宰するアニメカルチャー×ファッション×ストリートカルチャーのイベント「魔法祭」のもの。もともと「fantasia」という名称で大阪アメ村でスタートし、08年に渋谷に移転した(右上)

☆2.5D上でフラット化する時代☆

 オタクカルチャーのショップが集積した街から、メイドカフェのブームを経て、AKB48に象徴されるアイドルカルチャーが混じりあう街になったアキバ。そんなミクスチャーの仕方を象徴するのが、ゼロ年代からテン年代に渡りアニメの大きな流れとなっている「日常系」アニメだ。

 『新世紀エヴァンゲリオン』を源流とするいわゆる「セカイ系アニメ」は、主人公の動きが世界の行方を左右するような壮大なストーリーを特徴としている。これに対して、ドラマティックなストーリー展開がなく、淡々とした日々が続いていくのが日常系。しかし07年の『らき☆すた』、09年『けいおん!』はアニメの世界を飛び出すような人気を集め、社会現象ともいえるほどのファンを獲得。女子高生のバンドをめぐる日々を描いた『けいおん!』に登場したヴィンテージギターは20万円を越える高価なモデルであるにも関わらず楽器店で品薄となるほどのヒットとなったという。

 作品世界の中に主要キャラクターが複数登場し、まったり、延々と続いていくのが日常系アニメの心地よさでもある。ファンはストーリーや作品単位での鑑賞から「推しキャラ」への萌えを楽しむように楽しみ方も変化しているのである。

 その他のアニメジャンルや特撮ヒーローもの、さらに3D世界のアイドルの楽しみ方にも同じような現象を見ることができる。

 アイドルは現実世界にいながらも、ある意味では虚構の存在だ。初音ミクのように、ヴォーカロイドのキャラクターがコンビニチェーンのキャンペーンモデルを務めるという逆のベクトルも生まれている。そんな現実空間とメディアの世界の“2.5次元”の上にアニメキャラとアイドルとキャラ化した自分自身がフラットに並んでいる。それがテン年代の風景なのだ。(本橋康治:コントリビューティング・ライター)

 

 

"the across"

 "the across"は、 2011年末にゼロ号を作成・配布して以来、不定期刊にてリリースしている「PDF版アクロス」です。バックナンバーは無料でダウンロードしていただくことが可能です。取り上げて欲しいトピックやお問い合わせ等は下記までどうぞ。

☆「ACROSS」編集部
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株式会社パルコ「アクロス」編集部
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