Amulet-d-ZENVI

Amulet-d-ZENVI

レポート
2003.04.03
フード|FOOD

1950年に東急本店通り周辺の屋台が集まってできたといわれている「のんべい横丁」。1杯飲み屋が長家のように30軒ほど建ち並ぶ、昭和初期にタイムスリップしたかのような空間に、数年前より、若手オーナーによる若者向けの店が次々とオープン。なかでも01年2月にオープンしたブックカフェ「Non」 は、今や新生のんべい横丁の代表格として連日たくさんの人で賑わっている。

そんな世代交代の進むなか、02年7月、真っ白い壁のダイニングバー『Amulet-d-ZENVI』 がオープンした。

「こんなところに全く違うものがひょっこりできたら目をひくだろうな、と思ったんです」というのは、同店を運営する(株)ZENVI代表取締役・長水惠子さん。

長水さんは、約12年前からフードコーディネーターとして活動を開始。飲食店舗の立ち上げや建て直しに携わる一方、ベネトンやマクラーレンといったF1チームのパーティ、ウォルトディズニーの新作映画プレスカンファレンス、大使館主催のレセプション、TV番組やCFなどのフードプロデュースも行う。また、10年ほど前には青山にフードコーディネーター養成スクールを開校。(株)ZENVIも設立した。

「ターゲットは20〜30代の女性。私が20代の頃通っていた、女性が安心して長居できるお店を再現したかったんです。当初は女性専用の完全予約制ダイニングとして男性だけの入店はお断りしていましたが、オペレーションの都合上、今年1月からダイニングバー仕様に変更しました」(長水さん)。

ドリンクメニューは英国のビール「バス ペールエール」をはじめ、飲みやすいカクテルが中心。フードメニューは、生クリーム仕立ての魚貝のスープやビーフシチュー、オムライスなど、一見ボリュームのありそうなものを小さな器で提供する。カボチャのプリンやチーズケーキ、木いちごのシャーベットなどスイーツも充実している。

同店は、2階建ての店が並ぶなか、他店より頭1つ高い3層構造。戸を開けると目の前は靴箱を兼ねた階段になっており、1Fは全て厨房。2Fは無理矢理気味の2層になっており、下段には4名、上段には5〜6名分のスペースが設けられている。店内のインテリアは小ぶりだがディテールが凝ったアジアンアンティークでまとめられ、必要最小限の明るさの照明とあいまって落ちついた雰囲気を演出していた。店舗面積は1〜2F合わせて6坪ほど。キャパシティは約10名だそうだ。

「利益を追求するというよりも、ある意味この店は弊社のPRの場。アンテナショップでもあるので」(長水さん)。

何回目かのフード業界バブルの時代を経て、フードコーディネーターという職業はすっかり認知されたといえるだろう。飲食店のメニュー開発〜プロデュースはもとより、雑誌や書籍、広告制作、企業主催のイベントや商品発表イベント、レセプションなどへのケイタリング、ブライダル、ダイエットコンサルティングなど、フードコーディネイティングのニーズはますます多岐に渡っており、今後ますます細分化が進みそうだ。

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