帽子屋OVERRIDE9999

帽子屋OVERRIDE9999

レポート
2003.06.30
ファッション|FASHION

4月25日、明治通り沿いに帽子専門店「帽子屋OVERRIDE9999(ナインバイフォー)」がオープンした。

経営するのは、創業80年の老舗帽子メーカー(株)栗原。同社は99年11月、キャットストリートに「帽子屋OVERRIDE9999」の1号店をオープン。その後代官山や大阪・南堀江など全国に店舗を増やし、今回の出店は9店舗目となる。

「渋谷と原宿は世界的なファッションの発信地。以前から、それらを繋ぐ明治通りに出店したいと思っていたんです。全国の主要都市にひととおり出店した今、集大成である旗艦店の出店に踏み切りました」とプレスの朝田さん。

内装のテーマはズバリ“和”。黄土色の土壁と木材で統一された店内はまるで古い蔵のような雰囲気だ。1階の中央には大きな木が設置されており、春は桜の花、梅雨はてるてる坊主というように、四季折々のディスプレイが施されている。

店舗面積は1階2階合わせて約38坪で、1階がレディース、2階がメンズというフロア構成。商品数は約4,500と豊富で、8割が「OVERRIDE9999」などの自社ブランド、2割がインポート商品で構成されている。ベーシックなアイテムはもちろん、ターバンやメッシュキャップといったトレンドの商品からイタリアの高級ブランドの商品まで揃う幅広い品揃えが特徴だ。

また同店では、帽子のセミオーダーメイドも行っている。サファリ、ハンチング、キャスケットの3種類の形と様々な生地や付属パーツからそれぞれ1種類を選んで組み合わせるシステムで、サイズは54センチから64センチまで幅広く対応している。

10〜20代の若い層をターゲットに、トレンドを重視した品揃えで成功を収めている同店だが、明治通り店はターゲットを限定せず、幅広い層にむけた店作りを意識しているのだそうだ。

「99年に1号店をオープンして以来、売上は年々上昇しています。しかし、マーケット自体が拡大しているというわけではなく、帽子を被る若者が増えたため、帽子が注目されているのだと思います。30代以上の方は帽子をファッションに取り入れるという感覚があまりないので、いかに高年齢者層を顧客として取り込んでいくかが今後の課題ですね」(朝田さん)。

ここ数年で帽子は若者のファッションとしてすっかり定着した。定点観測を振り返ってみても、ニットキャップや中折れ帽、メッシュキャップなど、01年あたりからずっとアタマまわりのアイテムがトレンドであることがわかる。

こうした帽子ブームを背景に、原宿〜渋谷エリアには帽子専門店が相次いでオープン。帽子専門店CA4 LAを展開する(有)ウィーブトシは、裏原宿に一点ものやデッドストック、新進アーティストの作品などを扱う「test.」をオープン。また呉服専門店の(株)さが美がオープンした「シャズボット」は、竹やボクシングのヘッドギアなど変わった素材を用いた帽子など、ユニークな品揃えが特徴だ。

個性的な帽子専門店が続々と登場し、人気を集めている現在の帽子マーケット。こうした現状は、かつての脇役的な位置づけから、着こなしの主役になるアイテムへと消費者の帽子に対する認識が変わってきていることを表しているようで興味深い。

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