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2003.07.24
この記事のカテゴリー |  イベント | 

「宣伝はブランドや商品の認知度を上げるものだと考えています。商品の売上に効果が見えるまでには時間が掛かる。宣伝したからといって、それが直接売り上げに繋がるなんて思っていません」と言うのは、ニコンカメラ販売株式会社販売戦略部広報宣伝グループ副主幹の関山昌宏さん。

規制緩和の波は広告業界にも訪れており、ここ数年、渋谷の街でもハイテクを駆使した目先の新しい広告媒体が続々と登場。(一部で)話題を呼んでいる。そんななか、今夏のボーナス商戦を目論み、一見地味なようで、消費者にはじわじわと伝達され、効果「大」という広告を発見した。場所は東急東横線渋谷駅の降車ホームの壁。発砲ウレタン製のデジカメがタテ8コ、ヨコ6コの合計48コが貼付けられた、アナログな「立体駅貼り広告」である。

これは、今春に新発売したデジカメ「クールピクス」の宣伝の一環。ぶら下がっている商品の模型は、流行りのペールピンクにパールブルー、シルバーと商品同様3種類。メイド・イン・チャイナとはいえ、20以上もの行程を経て生成された模型は、遠目にはホンモノのように見えなくもない。思わず手を伸ばす人、人、人でポスターの前は大賑わい。しかも、ひとつひとつがマジックテープで貼付けてあるだけなので、ベリッ、バリッとあっという間に1つ残らず剥がされてしまった。

「活況を呈しているデジタルカメラ市場において、弊社はまだまだ上位集団にはいません。元来プロ向け・上級者向けのデジタルカメラは強かったのですが…。そこで、今年(2003)春、市場のボリュームゾーンである初級・中級者向けの“コンパクトで使いやすい”デジタルカメラを発売しました」(関山さん)。

高性能なのにかわいらしいデザイン。しかも、ちゃんと持ててしっかり撮れる、というこの新商品。実は、昨年ブランド・イメージ調査を実施したところ、同社のイメージは、品質は高いがおしゃれじゃない、マニアの男性には支持されているが、若い女性にはヤボったいという結果に。これではいけない、ということで、まずTVCFに幅広い層に人気の松嶋奈々子を起用したのだという。

ある意味、社運をかけて望んだ新商品。マニアックなイメージは「松嶋効果」で薄らいだが、商品の特徴でもある、グリップ感と丸みを帯びたかわいいデザイン、コンパクト感は、実はTVCFだけでは伝わらない。何かいい方法はないだろうか。そこで代理店から提案されたのが、このアナログな駅貼りだったというわけだ。

「ポスターなのにイベント性があるようなものにしたかったんです」(関山さん)。
最初の打ち合わせからなんと約1ヵ月で実現に漕ぎ着けたというから、並み大抵のスケジュールではない。

「設計と型までは台湾。製作行程は中国です」というのは、実際に製作を担当した(株)アサツーディー・ケー第2ADカンパニー第2営業局アカウントスーパーバイザーの上原圭介さん。当時はちょうどSARS問題が表面化していた時だったので、成田空港にモノが届いてからも消毒を行ったりなど、まさに時間との戦いだったそうだ。そんな苦労の甲斐あってか、キャンペーン開始後、デジカメの販売シェアも上がり、販売台数も極めて好調だとか。

「この後、福岡でも実施しますので、トータルで5万6000コの模型を配ったことになります。念のため、期間中毎日駅のゴミ箱などをチェックしたのですが、ひとつも捨てられていなかったのが嬉しいですね。実際に、お父さんが家に持ち帰り、翌日子どもが学校に持っていって遊んだり、というように、その場限りではなく、長い時間宣伝して歩いてくれているようで、キャンペーンとしては思っていた以上に効果的だったと思います」(関山さん)。

街頭に設置されたハイテクなモニターからの「情報発信」や割引がおいしいクーポン冊子よりも、消費者の興味を惹いた今回のアナログな広告。その背景には、「消費者なんてこの程度」といった消費者を見下した商品開発や広告・キャンペーンが目立つなか、たかだかポスターに貼り付けるオモチャであっても、精巧につくったことが共感を得たのだろう。しかもこの独特の触感。それが、街を歩いていて「受け取った」のではなく「自ら剥がし取る」という能動的な行為を促した。結果的にインタラクティブな広告になった、という分析はちょっといい過ぎ?

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