conceal.cafe HARAJUKU

conceal.cafe HARAJUKU

レポート
2003.10.30

柱や窓、扉などいたる所に
民家だった頃の面影が残る。
キッチンもほぼそのまま利用。
アットホームな雰囲気を
醸しだしている。
2階シネマピエス。
レトロモダンなソファが
並ぶ落ち着いた店内。
10月1日、キャットストリート沿いに期間限定のカフェ「conceal.cafe HARAJUKU」がオープンした。運営するのは(有)キッチンカンパニー(代表・菊池克朗氏)。同社は02年3月から渋谷区桜ヶ丘で「conceal.cafe」を運営しており、原宿店はその2号店となる。

同店は、築25年の2階建ての1軒家2棟を改装した店舗である。老朽化に伴い、約半年後には取り壊しが決まっているという。この物件のオーナーから「取り壊しまでの期間を有効活用して欲しい」と申し出があったことから、今回、期間限定のカフェとしてオープンすることになったのだそうだ。

企画とデザインを担当したのはリノベーション(蘇生事業)の第一人者、辻氏の所属する(株)リノベーションプランニング。外観にはほとんど手を加えず、内装もキッチンや柱、玄関をほぼそのまま利用しているが、2棟の1階部分を繋ぐことで約25坪、席数は50席を確保した。

また、10月25日には道路に面した棟の2階にはカフェシアター「シネマピエス」がオープン。これは、同社と(株)カフェグルーヴとの共同プロジェクトで、ミニシアターとカフェを融合した新業態である。(有)イーストミーツウエスト代表取締役であり同社取締役の武田康伸さんが総合プロデュースを務める。ニドカフェやヌフカフェを経営するカフェブームの仕掛人のひとりでもある。

「リビングでビデオを観るようにリラックスしながら、本格的な設備で映画を楽しみたいという思いを形にした業態です。ここ数年のショートフィルムブームで優れたショートフィルムがたくさん作られるようになりました。しかし、作品の供給量に対して上映する場が不足しているのが現状。今後はそんな作品をカフェシアターで紹介していきたいと考えています」(武田さん)。

約15坪の店内にスクリーンとプロジェクター、6台のサラウンドスピーカーを設置し、1日3回映画の上映を行っている。入場料は1ドリンク付き1,000円で、約26人が収容可能。1階のメニューは一部、2階で映画を鑑賞しながら頂くことができる。現在は旧作を上映しているが、今後はショートムービーを中心に上映し、イベントやパーティーなども行っていく予定だそうだ。

「同店をテストケースに、このパッケージで都内主要エリアへの出店から全国主要都市へのプロデュース事業も考えています。このカフェシアターで映画製作から上映までできるシステムを作りたいですね」(武田さん)。

異なる業態を1つにした複合型ショップは、00年以降急増。今ではすっかり定着した。当時は、「衣料・雑貨+カフェ」や「ヘアサロン+カフェ」など、カフェが「+α」的な要素が強かったが、一連のカフェブームや外食産業のブームを経た今、カフェを基盤とした、「ポスト・カフェ」としての新業態を模索する段階に入ったといえるだろう。

その要素として最近もっとも注目されているのが「映画」である。90年代半ばにシネコンが日本に上陸して以来、座席や音響などの施設面の改善や、マイナーな作品を上映するミニシアターの増加、ドリンク付きのプレミアムシートの導入など、映画を観る環境は、ユーザーがその時々の気分で選択する時代になっている。

実は、02年8月には大阪・心斎橋に「カフェシアター・ミーン」が、03年7月には映画配給会社の(有)シネカノンが渋谷にカフェ&バーと映画館を融合した「シネ・ラ・セット」をオープン。いずれも好評を博しているという。どうやら「シネマ・カフェ」は、この先ちょっとしたブームになりそうだ。

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