SHIBUYA TSUTAYA

SHIBUYA TSUTAYA

レポート
2004.01.19
カルチャー|CULTURE

毎日夕方になると中高生で賑わう
CDレンタルのフロア。新作・旧作
邦版のすべてを取り揃えている。
渋谷ならではの売れ筋商品のひとつ、
お笑いのDVD。話題のTV番組はDVDで
観るのが今どきの若者のスタイル。
今回増設した中古ゲームコーナー。
売って買って、また売る、のがゲーマ−
的消費スタイル。
ブックストアに併設して「WIRED CAFE」
が出店。インターネットカフェ機能は
連日大人気。
1800万人のカード会員の消費動向と
約441万人のオンライン会員へのアン
ケートを駆使し、さまざまなトレンド
分析を実施。それらをまとめた『DATA
WATCH』はCCC社が社内外に示すマーケ
ティング・スタンスともいえる。
「どんな店業態であっても、オープンして3年が過ぎたら、年に1回は手を入れ、新鮮さを保つことが必要だと思います。SHIBUYA TSUTAYAは03年11月で丸4年。毎年細かい売場変更はしてきましたが、そういう意味では、ちょっと遅れてのリニューアルになりました」(カルチュア・コンビニエンスクラブ(株)(以下CCC社)社長室広報担当小堀綾子さん。

SHIBUYA TSUTAYAがオープンしたのは99年冬のこと。JR渋谷駅前の一等地にオープンした商業施設「Qフロント」のB2Fから4Fを占めるメインテナントとしての出店だったのは記憶に新しい。ビルのコンセプトは「メディアコンプレックス」。ビデオ・CDショップから飲食店、学校、映画館、そしてインタラクティブの設備を備えたイベントスペースなどで構成されていたが、イベントスペースだった5Fと6Fの学校(デジタルハリウッド)が9月30日で退店。10月末に、CCC社の運営によるコミック本の売場+CD・DVDリサイクル(5F)と本・雑誌とカフェ『WIRED CAFE』(6F)へと生まれ変わった。

今回のリニューアルのポイントは4つ。
(1)DVDの売場面積と在庫をおよそ2倍に拡大し、
(2)ゲームソフトやCDなどの買取り・販売コーナーの拡充。
(3)コミックの売場面積と在庫もこれまでの2倍に拡大。
そして、今ではすっかり大手飲食企業として成長した「WIRED CAFE」とのコラボレーションにより、
(4)本や雑誌が読めてインターネットもできるカフェの新設、だという。

「オープンする前に通行量調査を行ったところ、ハチ公前の交差点の通行量は1日平均約24万人。平日でも約20万人にも及びます。そのなかで、SHIBUYA TSUTAYAがターゲットとしているのは、(1)仕事上も含み、渋谷的な流行りものをフォローしたい、という人と、(2)全国レベルの話題の商品をふつうに買いたい、という渋谷通勤の方、もしくは沿線在住の方の大きく2種類。各商品、その点を意識した細かなマーチャンダイジングを行っています」(小堀さん)。

同店ならではの売れ筋としては、若手お笑い芸人や単館系の映画館の上映作品のDVD。しかも、レンタル以上にセルが人気なのだとか。DVDの普及によりセルマーケットは確実に拡大しているようだ。

「最近は、かつてJ-POPを聴いていた若者たちが洋楽、ロックやポップスなどを聴くようになってきていますね」と言うのは、CCC社販促マーケティンググループ・販促メディアチームの丸山泉さん。
「昨年大ヒットした女子十二楽坊のCDを買っている人は実は40代〜50代の男性。ファッションへの関心度は低く、話題のスポットなどにもあまり興味のない、音楽は主にカー・オーディオで聴くというアンケート結果が出ています」。

ここでいうデータとは、TSUTAYA全国約1800万人にも及ぶ会員の消費動向のこと。そこに、パソコンや携帯電話によるオンライン会員約441万人へのアンケートなどをクロスするなど、さまざまなトレンド分析を実施。03年春より『DATA WATCH』という雑誌で発表している。

「直接役に立つデータではなく、今までに見たことのないようなデータを断片的に紹介することで、総合的に時代のムードを浮き彫りにしようというのが目的です」と実際にデータ分析に携わった販促マーケティンググループマーケティングチームの小西利幸さんは言う。

基本となるのはランキング。データの解説などは一切なく、グラフやイラストなどが淡々と並んでいる。仮説ありき、という従来の半ば強引なアンケート分析のスタンスとは異なり、属性や消費動向、アンケートの質問項目をとにかくクロスしまくり、面白かった結果をピックアップ。単純なルールに従ってストーリーなく整然と並ぶさまは、まさに「スーパーフラット」以降の雑誌のスタイル。漠然と感じていた断片的な事象がデータで裏付けられることでリアルになる楽しみは「ヘ−」的でもある。

「これまで消費動向の分析は、弊社の一部門であるTSUTAYA綜研などが行ってきましたが、どちらかというと、その目的はMD戦略や出店戦略に限られていました。しかし、本来弊社は「コンテンツ産業」ではなく、コンテンツを提供するためのサービスや場、流通を提供する企画会社。生活を提案するためのプラットフォームのようなものなのです。そのためにも、人々の欲求がより自分らしく生きたいという自己実現欲求の最高段階に到達している現代社会において、人々のライフスタイルの動向を俯瞰的に捕らえることはとても大切なことだと考えています」(小堀さん)。

CCC社は03年3月に株式上場市場を東証マザーズから東京証券取引所市場第1部に変更。同時に、株式会社ローソン及び新日本石油株式会社との間でポイントに関する提携業務もスタート。これも、全国約1,100店舗中8割がロードサイド店であることを踏まえての戦略だ。さらに4月にはメンバースカードが全国共通になる予定だそうだ。

何が売れた。どれだけ売れた。いつ何処で売れた。それは昨年と比較すると多いのか、それとも少ないのか。もちろん、そういった基礎データは重要だ。しかし、そんな日々のデータをちょっと別の角度から、断片的に、そして俯瞰的に見ることが、実は「時代を詠むヒント」になるんだよ、とCCC社本部は提案しているようでもある。

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