blancrea代々木公園

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レポート
2004.07.24
ライフスタイル|LIFESTYLE

プランは大きく2つ。家のいちばん
いい場所にキッチンを設ける「キッ
チン主義」とバスルームを設ける
「バスルーム主義」
アイアンの天蓋付きベッドは
もちろんF.O.B. COOPのもの。
寝室からキッチンへの裏の導
線があるのも魅力
奥行きほんの20センチの空間にも
収納の工夫が
「もっと気持ちのいい家をつくる
努力をしようよ」とF.O.B.COOPの
オーナー益永みつ枝さん。
真っ白な外観に縦長の窓枠はシンプル
&モダンな外国のマンションのような
印象
初の自叙伝「VIVA! LIVE!
よくぞ女に生まれけり」
新潮社から9月に刊行
東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩6分、小田急線代々木八幡駅へは徒歩7分という都心部に、8階建て・全31戸の集合分譲住宅「ブランクレア代々木公園」が誕生した。

コンセプトは「家で過ごす時間を最大限に楽しむ」こと。外壁は、ふつうだと汚れが目立たないようにとグレーやベージュ、茶系のレンガタイルを用いてしまいそうなところ、光や風と一体となるほど真っ白でシンプルに。家のいちばん気持ちのいい場所にキッチンあるいはバスルームを設けるなど、これまで暮らしを窮屈にしていた(と思われる)既成概念を一切取り払い、とにかく心地いい空間をつくることにこだわって設計された「超・都市型アパートメント」である。

同物件の売り主は伊藤忠都市開発。設計はF.O.B. HOMESという共同プロジェクトだ。F.O.B. HOMEは、99年に雑貨ショップF.O.B.COOPの代表、益永みつ枝さんと建築家の梅林克さん、藤脇慎吾さんの計3人で設立した設計企画会社である。コンセプトは、売る方の商売感覚ではなく、住む人の住まい方、住スタイルから導き出される居住空間の開発と、雑貨ショップという販売網を活用した新しい住宅の流通経路を開拓で、東京圏を中心に、約5年間で合計30軒もの独創性溢れる心地よい住処を創出している。

「きっかけは今年30歳になる息子のマンション探し。久しぶりに見に行ったら、上の階の人の足音はドンドンと響くわ、壁は薄いわ、余計なものが装備されているわりには収納は少ないなど、とにかくひどい。これじゃあ10年前の住宅事情とちっとも変わってないじゃない!という怒りから家づくりのプロデュースをはじめたんです。」(F.O.B. COOP代表取締役 益永みつ枝さん)。

02年には東急設計コンサルタントと共同設計で、横浜市青葉区藤が丘に、コンクリート壁のシンプルでモダンな集合住宅(賃貸)+店舗を手がけたところ入居希望者が殺到。たった5分で契約が完了したのだそうだ。

今回は初めての分譲物件。同じ集合住宅でも賃貸住宅とは異なり、かなり設計の既成が厳しく、たとえばモルタルの床や塗装の壁は断念せざるをえなかったのだとか。とはいえ、F.O.B.HOMEが考える住まいへのこだわりはあちらこちらに反映されている。モデルルームに入ってまず驚いたのは、玄関というものへの考え方の違いだ。

「どんな小さなマンションでも、玄関という小さな四角いスペースがあるじゃないですか。そこで過ごす時間などほとんどないのにムダですよね。欧米の家のように、ドアを開けたらすぐリビングでもいいと思ったんです」(益永さん)。
丸見えがイヤなら低めの家具やパーテーションで仕切ればいいし、逆にいえば見せてもいいようなスタイリッシュなキッチンにすればいい、というわけだ。

「フルタイムで働いている女性はバスルーム主義を好まれますね」と言うのは広報担当の小島由香さん。「家のいちばん気持ちのいい場所」に設置されたバスルームは、南向きの採光溢れるバルコニーそのもの! 
「今回は都心で働く独身の男女がターゲット。明確に想定することで、寝室は寝るだけだからいちばん奥。もっとも過ごすことの多いと思われるリビングダイニングは、少し大きめでちょっと低めのダイニングテーブルを置くことで兼用の空間にしています」(小島さん)。

他にも、梁の高さを揃えて空間をより広く見せるようにしていたり、ほんの数センチの空間もちょっとした収納スペースにしたりと見えないところにも細かな工夫が施されている。

「ひとつひとつ粘り強くディベロッパーサイドと協力し折衝した結果、設計・内装費は通常のマンション坪単価に近付けることができました」(同社の設計士、井上良祐さん)。

「思いは基本的には初めてデュラレックスをグラスを輸入したときと同じ。なんで身の回りにシンプルで気持ちのいいものがないんだろう?っていうごくごくシンプルなことなんです。それが、何年たっても売り手の都合、商売感覚ですべてが決まってしまう。たとえばキッチンの天板に大理石風なものを貼ってみたり、ドアノブが金色の妙な装飾ものだったり、など、妙にお金がかかっているように見えて、実際はこまごまとした部屋が詰め込まれた同じような家ばかり建る。でも、そんなのはぜんぜん楽しくない!それよりもみんなもっとのびやかで気持ちのいい家に住もうよ!って私がこうやって言い続けていくことで少しずつ変わっていくといいなあと思っています。だって今どこのカフェに行ってもデュラレッスのグラスじゃない?」。

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