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マルイチベーグル

マルイチベーグル

レポート
フード
2005.02.07
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11時〜14時頃が最も種類が揃う
時間帯。とあるベーグルサイト
では人気投票第2位に輝いた、
ベーグル好きが認めるべーグル
だ。
上段はサーモン、下段は3種の
クリームチーズ(左から、サン
ドライトマト、プレーン、
レーズンウォールナッツ)。
厳選された素材によるサンド
イッチもまた格別。こちらは
サンドライトマトクリーム
チーズ、奥久慈印100%タマゴ
サラダ、野菜のサンドイッチ。
一般的なパン屋で見かける
ものの1.5倍はあろうかという
ボリューム。店名は“マルイチ”
の数字がベーグルに似ている
ことから命名した。
昼前後になると客足が絶えない。
リピーターが多いのは稲木さん
のにこやかな笑顔と人柄にも
あるのだろう。
お気に入りの食べ物や店を見つけたとき、このおいしさを他の人にも教えてあげたい!という衝動に駆られた経験は、誰にでもあるだろう。食べ物が持つそんな不思議なパワーを情熱に変え、28歳の女の子が小さなお店をオープンさせた。04年8月1日、渋谷区代々木上原の商店街にオープンしたベーグル専門店、“ニューヨーク仕込みの日本育ち”「マルイチベーグル」である。

店内には、ひとつひとつ表情の違う焼きたてのベーグルが並ぶ。バターや卵を使わないヘルシーさや、噛み応えのある独特の食感が特徴のベーグルだが、同店ではさらに添加物や牛乳、砂糖も不使用。素材もできる限り日本のものにこだわった。価格はひとつ160円〜240円。プレーン、セサミ、エブリシング、シナモンレーズン、7種の穀物とはちみつが入った7グレインハニーなど、常時9種類ほどを用意。また、クリームチーズやサーモン、ピーナッツバターなど日替わりのフィリングで、その場でサンドウィッチにもしてくれる。ハードな皮と、中身がぎゅっと詰まったボリュームのあるベーグルは、噛むごとに粉のおいしさが味わえる本格派だ。

オーナーの稲木美穂さんが初めてベーグルに出会ったのは99年、卒業旅行で訪れたニューヨーク。“たまたまガイドブックに載っていた”ニューヨーカーお墨付きの名店「Ess-a-Bagel」で食べたベーグルが夢の始まりなのだそう。「こんなにみずみずしいパンがあるんだ!なんておいしいんだろう!と感激してしまって。でもその時はただ、おいしい食べ物を見つけた、というぐらいだったんです」(稲木さん)。

帰国後はプログラマーとして就職。ところが、日本でベーグルを買い回ってもあの味には出会えない。「どうして日本にはないんだろう…」という思いはやがて、「おいしいベーグル屋を知ってるなら、教えて貰って私が作ればいいんだ!」という使命感と共に、自らの夢へと変わっていたのだと言う。想像はどんどん膨らみ、その夢を友人に話すうちに自然と涙がこぼれたのだとか。「きっと“未来のベーグル屋をやっている自分”に恋していたんだと思います」と稲木さんは振り返る。

「実績があった方が説得力がある、行くしかない」。会社を辞めて「Ess-a-Bagel」で修行すべく単身ニューヨークに飛んだのが01年。1ヶ月間毎日店に通い詰めてオーナーに頼み込むも、良い返事はもらえなかった。それでも諦めず、すぐに再渡米。そしてとうとうその熱意が認められたのである。
「それからは楽しいことばかりでした。でも、何十年作り続けている熟練のベーグル職人でも日々新しい発見をする。こうやったらもっとおいしくなるんだよ!っていうんです。職人の数だけそれぞれのベーグルがある、ここにいたらきりがないんだ、と思ったとき、日本で自分のベーグルを作るべく帰国する決意をしました」。

帰国後は、アルバイトをしながら休みの日にベーグルを焼き、知り合いを中心に小規模な通販を開始。日本の素材での研究を重ね、1年が過ぎた頃には多くのお客さんから“おいしい!”という言葉を貰えるようになった。そして通販を始めて2年が過ぎた04年8月、多くの友人や家族に支えられながら、とうとうオープンにこぎつけたのである。

「ベーグルを追求する過程でのいろんな人との出会いが、今私の人生として繋がっています。ベーグルは“私の生きる方向性”。でも本当は、こんなにおいしいものがあるんだよ!って、私が感動したベーグルをみんなにも食べてもらいたかっただけかもしれません。実は、ベーグル以外のパンは焼けないんですよ」と笑う稲木さん。

今後は理想のベーグルの研究はもちろん、輸入業にも興味を持っているのだそうだ。「海外で出会ったおいしいものでも、日本に入ってきていないものがけっこうあって。それを紹介していきながら、いろんな人と繋がっていければうれしいですね」(稲木さん)。

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