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ao daikanyama(アオ代官山)

ao daikanyama(アオ代官山)

レポート
ファッション
2005.08.01
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確かな技術と自由な表現力であたらしいガーゼの
魅力を引き出すファクトリーブランド

黒やこげ茶などのカラーバリエーションや、
保温性のあるダブルガーゼの使用により
オールシーズン対応できるアイテムを揃える。
編集者だった吉成さんの手腕と感性が
詰まったカタログ。同店の世界観が広がる、
見ごたえのある仕上がり。
手前はpolka dotとのコラボアイテム。葉脈
を思わせる刺繍の配色が、ガーゼの柔らかな
雰囲気を引き立てる。
什器は少々傷がついていたり錆びていたり
する日本の古家具を集めた。
バッグやコサージュなどの小物も展開。
2mm山の繊細なピンタッグや布端の始末を
折り伏せ縫いで仕上げるなど、手間を惜し
まない丁寧な作業が随所に施されている。
05年4月、代官山に“ガーゼ”という素材をテーマにしたアパレルブランドao(アオ)がオープンした。路地裏に佇む白い一軒家で、味わい深い和の古家具と共に、ナチュラルで素朴なガーゼアイテムがゆったりと並ぶスローな空間だ。

同店を運営するのは、実は新潟のブラウス縫製工場。大手メーカーの商品をOEM生産することで積み重ねた独自の技術をオリジナル性の高い商品作りに生かし、今後の展開を広げていくことが必要である---と将来を見据え、ブランドの立ち上げと共に、ショールームを兼ね添えた直営店の出店に至ったのだそうだ。

「ガーゼをメインに選んだのは、繊細な中にも独特の存在感があるからです。出店にあたり何かに特化した要素を考えていたとき、そういえばガーゼの洋服ってあまりないな、という漠然とした考えがきっかけになりました。ガーゼの洋服といえばそのリラックス感ばかりが重視され、どこか外出には向かないデザインのものばかり。それをシルエットにもこだわって展開しようと思ったんです」というのは、ディレクターの吉成正子さん。ガーゼというと、脆い素材と思われがちだが、空気をまとうような軽やかさがありながら実は、「何度も洗っては使うという“働きもの”の顔をした素材」(吉成さん)だという。

そんな同店のもうひとつ特徴が、デザイナーやアーティストとのコラボレーションアイテムを多く展開していること。ガーゼという素材を軸に、自由な発想でデザインを提案してもらい、共同で作りあげていく。デザイナーはアデッションアデライデでオリジナルブランドを展開していたキタイユミコさんや、バッグ作家の田嶋ようこさん、ランプ原宿で人気のpolka dot、ジャーナルスタンダードで扱われるgasa*など、錚々たるデザイナー陣が揃う。

実は吉成さんは以前、某出版社で料理や手芸といった日常を豊かに過ごすためのライフスタイル本を手掛ける編集者だった。もともと友人だった同社の部長から出店に関する相談を受けているうちに、ごく自然にディレクターとして携わることになったのだそうだ。

「紙から布へと素材が変わっただけで、実際の作業はあまり変わらないかもしれません」というように、吉成さんが“編集”した同店は、ガーゼが持つロハスな雰囲気を十分に引き出し、さらにファッション性を高めたものとなっている。確かな技術に裏打ちされた同店の客層は、ティーンズ〜年配の方にまでと幅広い。取材時には、初老の女性が商品をじっくりと試着し購入する姿も見られた。

「2mm山という繊細なピンタックや布の絶妙な縫い合わせの美しさは、新潟の熟練の職人さんだからこそできる技術。オートメーション化された機械作業では不可能です。コストを抑え、トレンドのものをいち早く展開しようとするOEM生産では、このような技を生かすのは難しいんですよ」(プレス鈴木清之さん)

また、店内のディスプレイやスタイリング提案は、ファッション誌や広告など幅広く活躍する人気スタイリスト、タンナイミサさんが担当。さまざまな個性をエレガントにもアバンギャルドにも魅せるミックス感を披露している。

「目まぐるしく変化し続けるファッション業界のなかで、当店では永く愛して頂けるようなものを提案していきたいと思っています。丁寧な作業によって仕上げたアイテムを、2年でも3年でも愛着を持って着倒してもらいたいですね」(吉成さん)。

今後はベビーアイテムやメンズの他、部屋着といった生活用品など、精力的に商品を展開していく予定。また、9月にはネット販売のスタートを予定し、早々の全国展開を視野に入れている。

技術の先細りを防ぎ、新しい需要や試みに繋げる場としてのショップ。ファクトリーブランドとしての高い技術とこだわりに、時代の感覚を見事に“編集”した同店は、ごく自然に今の時流に乗ったショップといえるだろう。

取材・文/永溝はるか+編集室

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