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NADAR(ナダール)

NADAR(ナダール)

レポート
カルチャー
2006.04.14
この記事のカテゴリー |  カルチャー | 

ブームから10余年が過ぎ、すっかり身近なものになった“写真”と
もっと親しくなるためのギャラリー

片隅には写真集やLOMOなどの雑貨も。
最近は働く女性にマンツーマンの
写真教室が人気だとか。
渋谷の最後の未開発エリアといわれている渋谷区渋谷、246沿いのビルの2Fに、知る人ぞ知る写真ギャラリー『NADAR(ナダール)』がある。

「コンセプトは、“写真に関するすべての事”です」と言うのはオーナーで写真家の林和美さん(38)。林さんは、1991年に大阪芸術大学芸術学部写真学科を卒業後、大手広告代理店の営業、フォトエージェンシーのコーディネーターとして勤務する傍ら、98年にエストグラフィックアート展への入選を皮切りに、ハービス大阪の「カフェハイデリ」での個展『Paris』、福島区バー「スーク」にてグループ展『写真をもっと楽しく76展』を主催・出展、ギャラリー「ブルーム」にて二人展、「SUMISO」にて『LETTEr』に参加するなど、ずっと自ら作品を撮り続けることにもこだわってきて、00年、大阪・南船場に写真専門ギャラリー『NADAR』をオープンした。

「僕が大学を卒業した後の95-96年頃に、 一大写真ブームが起こったんです。HIROMIXに憧れる女の子も急増し、プリクラやフィルム付きカメラの発展など、写真を取り巻く環境が大きく変わりました。しかし、そんな状況にありながら、大阪には作品を発表する場が少なく、たまたま物件が見つかったこともあって、写真専門のギャラリーをオープンすることになったんです」(林さん)。

“NADAR”とは、1800年代半ばに活躍した同名のフランスの作家であり素描家、写真家、飛行家という4つの顔をもつ多才な知識人から取ったもの。彼のパリのスタジオは、常に政治家や芸術家、文化人が集うサロンと化していただけでなく、マネ、モネ、ドガ、セザンヌ、ピサロらの展覧会「画家、彫刻家、版画家のための匿名作家協会展」なども企画・開催していたのだそうで、それに因んで、新しいことに挑戦していく姿勢を持ち続け、無名な作家の成長を応援していきたいと思っているそうだ。

その後、03年に青幻舎から自らの写真集『ゆびさき』を出版したのをきっかけに上京。中目黒のマンションの一室を、自宅兼ギャラリーとしてスタートした後、05年1月に現在の場所に移転オープンすることに。

「ギャラリーの運営に関しては、フォトエージェンシーに勤務した時の経験がとても役に立っています」と林さん。たくさんの作品を見てきたことで、時代、時代の作風の傾向や企業などのニーズの変化など、マーケティングのセンスも自然に身に付いたのだそうだ。

東西2つのギャラリースペースを設けた現在は、それぞれのハコの企画・運営をはじめ、装丁写真作家、撮影の手配、イベントやワークショップの開催、ショップ等のインテリア、デザイン、アート関係のプロデュース、ディレクションなど、“写真に関わるすべてのこと”という当初の枠を越えた業務内容になりつつあるという。

03年には、約2年分の写真のイロハを教えるワークショップ、「女性による女性のための写真教室」に参加した約120名の女性のなかから計16名の作品を集めたミニブック、『photographerユs life』をリリースしたが、06年現在写真家として活躍しているのはたった1名だとか。

「今でもフォトグラファーの人口は増え続け、いい作品を撮る人も増えています。でも、ずっと作品を撮り続けていくとか、写真を本気で生業にしようということではなく、生活の一部として写真を楽しむ人が増えたんだと思います。僕はそれは良いことだと思います」と林さん。

『NADAR』では、先に紹介した「女性による女性のための写真教室」の他、「実践写真教室」、日本フォトセラピー協会代表理事で写真家のなかにしあつこ氏による「フォトセラピー講座」、林さん自らが丁寧に教える「個人授業」なども行っている。

「受講者が撮りたいと思う被写体やテーマを見つけてもらうのが最初のステップです。そうやって地道に写真のファン層の裾野を拡げていくのも僕たちの役目なんだと思いますね」(林さん)。



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