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アポ・ロケ(ROCKET by Appointment)

アポ・ロケ(ROCKET by Appointment)

レポート
カルチャー
2006.04.26
この記事のカテゴリー |  カルチャー | 

あのギャラリー「ROCKET」が
アポイントメント制になって帰って来た!

アートディレクターの藤本さん
無造作に置かれた作品の数々。
すべて藤本さんがセレクトしたものだ。
絵画や写真の作品だけでなく、Tシャツや
アート関連の書籍、雑誌なども。
4月末には、作品や作家を紹介した
フリーペーパー『月刊ROCKET』を創刊。
06年2月15日、アートディレクターの藤本やすし氏が主宰するROCKETが、予約制のスペース「アポ・ロケ(ROCKET by Appointment)」をスタートした。

代表の藤本やすしさんは、平凡社で『アニマ』や『太陽』の編集部を経て1983年に有限会社キャップを設立。『マリ・クレール』や『流行通信』『olive』を手がけるなど、日本のファッション・カルチャー誌の歴史において、エディトリアルデザインというものを確立した重要人物のひとりである。アートディレクターとして関わった雑誌は100誌を越え、現在も、『VOGUE NIPPON』『GQ JAPAN』『GINZA』『BRUTUS』『CASA BRUTUS』『REAL SIMPLE』を手がけている他、ルイ・ヴィトンの広告制作のADも務めている。

そんな藤本さんが、原宿にギャラリースペース「gallery ROCKET」をオープンしたのは1996年のことである。

「当時は映画、音楽、絵画などジャンルを越えて活動するマルチクリエイターが増えてきたこともあり、空間全体を使って表現できる柔軟な場所が必要だと思っていました。そんな頃に、タイミング良く同潤会青山アパートの一室を借りる事ができたので、若者と文化の集う場所にしようと始めました。」(藤本さん)。

「gallery ROCKET」は、原宿という街の変化のスピードに合わせて、週替わりで世界中の若手アーティストの作品を紹介する展覧会を開催。その後、00年9月に近くの一軒家に移転し、02年9月には表参道の裏手に移転するなど、原宿界隈で計343回もの展示会を行ってきたが、05年5月に閉廊する。

「9年間続けてきたんですが、その間、時代が大きく変わり、先が見えにくくなってきたというのが正直なところですね」と言う藤本さん。

「NIGOさんをはじめ、裏原宿というカルチャーがメジャー化し、中目黒界隈が落ち着いていったのと同時に、グラフィティアートやストリートアートは廃れていきました。海外からの展示会のオファーはたくさんあったのですが、本来のギャラリーの役割であるアートビジネスにはなかなか繋がらず、運営資金も嵩むこともあり、ギャラリーの運営そのものを再考しようと、いったん閉廊することにしたんです」(藤本さん)。

ウェブサイトでの販売は継続しているものの、今度は「実物が見たい」という人からの問いあわせが増えたことから、事務所でもあり、作品の倉庫でもあり、アーティストとの打ち合わせ場所でもあるマンションの一室を、アポイント制のスペースとして開放することになったのだそうだ。

「日本のアート・マーケットはまだまだ小さく、一部の特別な人たちによって成り立っているところがとても大きいんです。“アポ・ロケ”では、もっと気軽にアート作品を売り買いできる場にしたい、という設立当初の目的のひとつを今改めてチャレンジしようと思っています」(藤本さん)。4月末には、若手作家と作品を紹介するインディペンデント・フリーマガジン『ROCKET』(A4サイズ/16ページ)を創刊する予定だそうだ。

時代とともに若者のカルチャーが変遷する中で、ショップやギャラリーといった店舗のあり方もずいぶんと変わってきている。以前本誌で紹介した「Manual of Errors Presents SONOTA」のように、一般的に価格が測りにくいヴィンテージ商品を、およそショップらしからぬマンションの一室で販売するというビジネス構図が成り立つのは、ウェブサイト上に商品情報を網羅したメディアを設け、それを通して消費者とのコミュニケーションが成り立っているからに他ならない。

「最近のカルチャーシーンは平均化しているような気がします。メディアや街、生活環境の変化の影響も大きいのかもしれません。原宿もずいぶんと変わりましたしね。それでも、若者の新しいカルチャーが生まれるのはここ表参道だと信じていますので、ROCKETとしてはこの街にこだわって活動を続けていきたいと思っています」(藤本さん)。

さらに、藤本さんは、京都の黒染め技術を持ったアパレル会社「TEMAS」のブランドロゴをデザインしたことをきっかけに、今春より服のデザインを始めることに。ブランド名はイニシャルの「YF(ワイエフ)」。扱う商品は全て同社の黒染めの技術を取り入れた真っ黒なアイテムばかりだとか。

「この会社の黒染めの技術がものすごくて、色名を“深黒”というそうですが、洗っても絶対に色落ちしないんだそうです。アイテムは、自分が好きなキャップ、ジャージ、ポロシャツなど、オリジナルと一部は黒く染め直したリメイクで展開する予定です」(藤本さん)。

同ブランドは、4月28日から5月30日の間、南青山にて「TEMAS AOYAMA」内にお目見えする予定。詳細はこちらまで。


[取材・文/古屋荘太(フリーライター)+『WEBアクロス』編集室]

■アポ・ロケ(ROCKET by Appointment)
http://www.rocket-jp.com
info@rocket-jp.com

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