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「渋谷で朝市」アースデイマーケット

「渋谷で朝市」アースデイマーケット

レポート
その他
2006.06.16
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ハーブはもちろんのこと、トマトやナス
などの野菜の苗も販売。意外と若い男性
客も多かった。
米の農家からは玄米や五穀米のおにぎり
の試食も。
中央に設けられたテーブルと椅子では、
オーガニックのパンやサンドイッチ、
おにぎりなどでくつろぐ人も。
会場に設置された「アースデーマネー」
の発券機。ガチャガチャ形式で難しい
地域通貨も楽しく学べる。
「都会の真ん中に海外にあるような朝市があったらいいよね」。

そんな思いから企画された「アースデイマーケット」の第1回めが、4月29日に開催され、約4,500人もの人たちで賑わった。場所は代々木公園けやき並木隣の広場。有機野菜や果物をはじめ、玄米や五穀米、天然酵母のパンやオーガニックのジャム、ジュース、味噌、フェアトレードコーヒー、ヘンプを使ったスウィーツ、花やハーブの苗など、全部で23店舗が出店した。

「2年ほど前からでしょうか。クリエーター系の人たちの間で、海外のマルシェみたいなのってなんで東京にないのかなあ、という話をよくするようになったんです。ノボリとか立ててハッピを着た販売員がいる産地直送ショップとかはあるけど、そういうお土産的なものではなく、毎週末の朝、新鮮な野菜や果物、パンなんかがふつうに買えるマルシェがない。ないんだったら自分たちで企画をしよう、というのがきっかけです」と言うのは、アースデイマーケット実行委員会の神澤則生さん(37)。神澤さんはフリーのグラフィックデザイナーで、ご自身も「都市と農村をつなぐ」というキーワードのもと、さまざまな活動を行うNPO法人のトージバの理事も務めている。今回の企画では、会場の選定から出展者のオーガナイズまでを担当。なかでも会場を決めるのがたいへんだったとか。

「いろいろ可能性を当たった結果、代々木公園になったんです。本当は表参道とか明治神宮前とか外苑周辺でやりたいという声もありました。でも、いろいろと難しくて実現しませんでした。でも、今回のこの朝市は、もともと自然食品に関心がある人ではなく、都会に暮らす人たちにふつうに利用してもらいというのがありました。代々木公園は、土日になると思っていたよりも通行量も多く、通りがかりにふらっと立ち寄ってくださる方も少なくなかったので、かえってよかったかもしれません」(神澤さん)。

曇りときどき雨というあいにくの天候にも関わらず、朝10時の開店時にはおおぜいの人で賑わっていた。見るからオーガニックライフが好きそうな民俗調のスタイルのカップルをはじめ、近隣のセレクトショップにお買い物に行きそうなオシャレな若ファミリー、神南界隈の古着屋にいそうな女の子、宇田川町のレコードショップにいそうな男の子、そして近隣のお年寄りなど客層は幅広い。

「先日のアースデイの会場でチラシを見て面白そうだと思って川越から来ました。いつもはお店で買っているだけですが、実際につくっている人の顔が見られるのは嬉しいですね」という大学生の女性。物心がついたころから母親が有機野菜やオーガニックな米や味噌を使っていたので、1人暮らしをするようになっても、新鮮な野菜やお米にこだわった食事を取るのは当たり前だと話してくれた。近所には有機野菜を扱うスーパーがないので、志木の丸井にあるナチュラルハウスまで出かけて行くそうだ。

「少しくらい高くても新鮮な野菜を買います。お取り寄せもよくしています。実はいい野菜は長持ちするんですよね。今日はたまたま近くの用事があって見つけたので立ち寄りました。こんなに新鮮な野菜を安く買えてラッキーです」(目黒区在住の主婦)。

出展者側の1日の売上は1店舗あたり約3-4万円と少額だったが、「予想以上に多くの方にいらしていただいてとても嬉しかったです」(つぶつぶ農園・和菜)、「売上以外でも、ほかのお店の方とコミュニケーションが取れたので有意義だったと思います」(豊穣屋)、「他のお店の方の農や食に対する姿勢は心打たれるものがありました。またお客さんとの交流も大変意義のあるものでした」(あゆみの会)、「とてもステキな“場”になっていくようこれからも、みんなでつくっていきたいです」(スローウォーターカフェ)など、「売上」ではなく、自分たちがつくった農産物を通して消費者と直接言葉を交わす「場」の生成に参画したというなんともいえない充実感が、ひとり1人の笑顔に溢れていた。

今回のイベント主催者であるNPO法人アースデイマネー・アソシエーションの代表理事、嵯峨生馬さんは、
「実は、都市部で朝市をやろうという構想は数年前にも持ち上がり、アースデイマネー事務局も応援していたのですが、実現までには至りませんでした。しかし、都市生活者の朝市へのニーズや志の高い農家の声を肌で感じていたので、なんとか方法はないかと模索していたところ、今年に入り、グリーンバード代表で渋谷区議会議員のハセベケンさんからスポンサーをご紹介していただいたのをきっかけに、今回実現することになったんです」と話してくれた。

嵯峨さんは、2001年10月に地域通貨「アースデイマネー(単位はr)」を共同で設立。これは、1983年にカナダのバンクーバー島でLETS(Local Exchange Trading Systems)という地域通貨を始めたマイケル・リントン氏が考案した「コミュニティウェイ」のモデルを基盤として構想されたもの。地球環境や社会に貢献するプロジェクト、個人と企業の三者をつなぎ、プロジェクトに対して寄付やボランティアが集まるような流れをつくることをミッションとしたNPOである。

「r」は加盟店で手に入れることができ、代金の10-30%まで使用できる、というルール。現在の加盟店は全部で約40店とまだ少ないが、今回のようにイベントを主催したり協賛することにより、よりたくさんの人に地域通貨というしくみを知ってもらおうという目論みもある。

取材当日、実際に200円を「寄付」して「200r」を手に入れてみた。400円のタケノコ(通常スーパーでは800円ぐらいしそうなボリューム)を買うのに「50r」使用し、350円現金で支払った。小さな紙でできている「r」を農家の人に渡し商品と引き換えるという感覚は、なんとなく子どもの頃の買い物ごっこのような物々交換に近い感覚を思い出した。

この他にも、「現金の寄付」以外に「r」を入手する方法としては、使用済み天ぷら油1リットルで250r、マイバッグ持参で50rなどもある。当日の会場では、実際に約1万rが流通したと推測される。

「残念ながら、地域通貨は割引券やクーポン券の域を越えていないのが現状だと思っています。今後も地道に加盟店を増やしていくことはもちろんですが、このマーケットのような、あまり他にはないイベントでの流通の機会を増やしたいですね」(嵯峨さん)。

興味深いのは、このような活動に関心を示し、スポンサードする企業が増えつつあることだろう。最近話題の、発展途上国にきちんとお金が入るシステムを構築したファッションブランド「EDUN(イードゥン)」のプロデューサーは、「必要なのはエイドではなくトレードなんだ!」と某雑誌のインタビューで言ったそうだが、「思い」や「高い志」がいくらあっても、実現性や継続性がなければ意味がない、というのが今の時代の価値観なのかもしれない。エコロジー活動は、確実に次の段階に来ているといえそうだ。

[取材・文/『WEBアクロス』編集室]



特定非営利活動法人 アースデイマネー・アソシエーション
http://www.earthdaymoney.org/
http://www.earthdaymoney.org/market/

■この後の今年の開催日   ※時間はいずれも11時〜17時ごろまで。
・6月25日(日)
・7月23日(日)
※8月はお休み
・9月17日(日)
・10月22日(日)

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