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Q-AXシネマ

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レポート
カルチャー
2006.06.27
この記事のカテゴリー |  カルチャー |   飲食・フーディング | 

日本初のミニシアターシネコンが
ランブリングストリートにオープン

地下1階のQ-AXシネマ1では劇場用
音響・映像の品質規格で最高水準
といわれるTHXシステムを導入。
スペインのアーヴィン社製のシートを採用。
座席の横幅、前後ともに広く、ゆったりと
映画を鑑賞できる。
1階「Theater 6 Cafe」。エントランス
から続くレッドカーペットが印象的。
カフェのコンセプトは「映画の余韻に
浸れるような空間」。上映作品と
連動した特別メニューも提供している。
1階入口の物販スペースでは上映作品に
関連するグッズを販売。
渋谷区円山町、東急本店裏と道玄坂を繋ぐランブリングストリート。古くから続くラブホテル街の中心に位置するこの通りは、90年代にクラブやライブハウスが急増。03年12月には大型ライブハウス「オンエアイースト」がリニューアルオープンし、若者が集まるエリアとしてすっかり定着している。さらに昨年あたりからはアパレルのショップや立ち飲み屋、渋谷初のメイド喫茶など、より幅広い層をターゲットにした店がオープンし改編が進んでいる。そんなこの通りに、06年1月28日、シネマコンプレックスビル「Q-AXビル」がオープンした。同ビルは「Q-AX シネマ」のほか、渋谷区桜丘町から移転した「ユーロスペース」、名画座「シネマヴェーラ渋谷」の3つの映画館で構成。合計5スクリーンを有する日本初のミニシアターシネコンである。

運営元はキューアックス(株)。映像コンテンツの制作や、映画・音楽ソフトの流通などを手がける(株)レントラックジャパンの子会社である。

「弊社では映画配給やソフトの流通を手がけており、コンテンツ発表の場として、以前から映画館を作りたいと考えていました。01年からミニシアターを含めた商業施設の開発に着手。その第1弾として、20〜30代をターゲットに、流行に敏感な人々が集まる渋谷に映画館をオープンすることに決めました」(同社取締役社長・丸山泰之さん)。

渋谷近辺でテナントを探し始めたが、映画館という独特のスペースを確保するには既成の建物では条件が合わず、物件探しは難航。そのまま約2年間足踏み状態が続いたのだそうだ。そんな時、ユーロスペースの堀越謙三社長と弁護士の内藤篤氏から共同経営の話を持ちかけられ、3社共同で改めて物件探しをスタート。タイミングよく現在の土地が見つかり、ビルの建設が決まったというわけだ。

「当時、ここは渋谷区が管財人になっていた土地でした。区としても文化的な施設として利用されることを望んでいたようで、3社の提案が受け入れられ、出店が決まったんです。ビルを建設するということで事業規模は大きくなりましたが、占有面積ごとの分割率で共同所有しているので、結果的にリスクの分散も図れました」(丸山さん)。

ビル全体の総合プロデュースには、東急ハンズや渋谷Q-FRONTなどの商業施設を手がける浜野安弘氏、設計に建築家の北山恒氏を起用。4階建てのビルは、コンクリート打ちっ放しの斬新なデザインになっている。地下1階が「Q-AX シネマ1」、1階が「Theater 6 Cafe」、2階が「Q-AX CHINEMA2」、3階は「ユーロスペース」2スクリーン、4階は名画座スタイルの劇場「シネマヴェーラ渋谷」で構成されている。

直営の「Q-AX シネマ1」は264席、「Q-AX シネマ2」は172席。スペインのアーウィン社製の椅子を導入し、座席幅、前後幅ともにゆったりしたスペースを確保した。また、劇場用音響・映像の品質規格で最高水準といわれているTHXシステムを導入。作品本来の音・映像を忠実に再現する事にこだわった。

1階の「Theater 6 Cafe」は、IDEE会長の黒崎輝男氏が代表を務める流石創造集団(株)がプロデュースと開発を行い、運営も委託している。内装は赤と白を基調に落ち着いたトーンで統一。床にレッドカーペットが敷かれ、正面にスクリーンとプロジェクターが完備されているなど、名前のとおり第6の劇場をイメージした空間となっている。椅子やテーブルはすべて可動式で、通常のカフェ営業の他、映画の上映や、イベントなどにも対応可能だ。カフェのメニューの一部はテイクアウトが可能で、劇場への持ち込みが可能。さらに上映作品に関連したオリジナルメニューも随時提供している。

「コンセプトは『ライフスタイル提案型シネコン』。カフェスペースは映画を観たあとに感想を語ったり、余韻に浸れるような空間作りを目指しました。おかげさまで、10代〜60代までと、予想していたよりもかなり幅広い年代に来場頂いています。複数の映画館が入居しているという特徴を活かし、時代やジャンル、テイストが異なる作品を同時上映することで、新たな作品に触れるきっかけを提供できればと思います」(丸山さん)。

複数のスクリーンを運営するシネコンは、93年に登場して以来急速に増加。05年末の時点で、全国のスクリーン数は2,926、うちシネコンは1,956(社団法人日本映画製作者連盟調べ)と、シネコンは全スクリーンの6割を占めるまでに普及している。興行収入の増加や、一部日本映画のメガヒットにより日本映画バブルといわれる一方で、シネコンの形態は興行収入の格差拡大を助長。洋画配給のコスト高騰なども手伝って、ミニシアター市場は縮小傾向が強まっている。そんななか登場した「Q-AX」は、シネコンの利便性+ミニシアターならではの個性的な上映作品を提案。ミニシアターの“聖地”とよばれた渋谷だからこそうまれた、新しい形の映画館といえるだろう。

[取材・文/本田亜友子+『WEBアクロス』編集室]

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