NIKEHERITAGE by BERBERJIN R

NIKEHERITAGE by BERBERJIN R

レポート
2006.12.15
ファッション|FASHION

ナイキとベルベルジンのオフィシャルコラボショップが
トンちゃん通りに期間限定オープン

1970年代のデッドストックのスニーカー。
青:5万2,290円/緑:13万4,400円
スウォッシュを組み合わせた風車ロゴ。
ナイキのルーツを印象づける演出が
至る所になされている。
いちばんの売れ筋は古着のTシャツ。
比較的手頃な値段で20代の若者に人気。
廃墟をテーマに、USEDのインテリアで
統一した店内。ヴィンテージ風で味のある
雰囲気。
古着は70〜80年代のものが中心。
年代によって変化する商品タグのロゴを
見るのも興味深い。
フェイクやゴリーズ、ドッグ、ロストヒルズやボイスなどの有名古着店が立ち並ぶ「原宿トンちゃん通り」に、「NIKEHERITAGE by BERBERJIN R」(ナイキヘリテイジ・バイ・ベルベルジンアール)がオープンした。同店は、人気古着店「BERBERJIN R(ベルベルジンアール)」とナイキのコラボショップで、9月下旬〜07年1月末までの期間限定で運営する。

ナイキは06年6月に、「NikeHeritage(ナイキヘリテイジ)」と題した同社の原点回帰ともいえるプロジェクトをスタート。これは、設立者であるフィリップ・ナイト氏を始め、創立初期を支えてきたランナーやコーチなど4人にスポットを当て、ナイキのクラフトマンシップが築かれていく過程を、当時のプロダクトの復刻及び現代のテクノロジーを加えた新商品などで表現するというもので、その一環として同店をオープンした。同社が古着も併売するオフィシャルのコラボレートショップを手がけるのは世界初である。

運営元は(株)フレッグインターナショナル。不動産の企画・プロデュースを中心に、都内で飲食やアパレルの店舗を経営する会社である。同社は99年、トンちゃん通りにメンズのアメカジ古着を中心に扱う「BerBerJin(ベルベルジン)」をオープン。04年には同じ通りに、トレンド重視の古着を扱う2号店の「BERBERJIN R(ベルベルジンアール)」をオープンし、さらに今回、3号店をオープン。その1階部分を期間限定で「NIKEHERITAGE by BERBERJIN R」として営業している。

「もともとナイキのプロジェクト担当者と、弊社の代表が旧友だったことから実現した企画です。ナイキ=スポーツというイメージが強いですが、気軽に着られるファッションブランドとしてのイメージをアピールするため、今回の企画を行うことになりました」(店長・前田さん)。

店舗面積は約15坪。内装のコンセプトは、かつて有名だったロックミュージシャンが、お金や名声に疲れて行き着いた田舎町の廃墟。フリマで買った物や拾ってきたものを独自のセンスで組み合わせて作り上げたという設定だけに、白い壁にあえて汚れたようなペイントを施したり、ヴィンテージ風の什器を用いるなどして、古びた味のある雰囲気を醸し出している。また、壁には世界で初めてナイキを履いたランナー、スティーヴ・プリフォンティーンのグラフィティが描かれており、ナイキのルーツを印象づける演出が施されている。

商品はすべてメンズ。ナイキブランドのみで構成されており、新品と古着が約半分ずつ。新品は創業当初に発表されたプロダクトの復刻版など、ヘリテイジラインの現行商品が主で、古着は70〜80年代のものがメイン。月に一度の買い付けで常に補充しており、希少価値の高いヴィンテージ商品も少なくない。そのため価格も、1,000円代の古着のTシャツから13万円の70年代のデッドストックのスニーカーまで様々だ。

20代の若者には、手頃な値段の古着のTシャツが人気。特にシンプルなデザインのものが売れ筋だという。一方、90年代前半のヴィンテージブームの頃に20〜30万円にまで値段が高騰したスニーカーを、30代〜の大人たちが「リベンジ買い」する姿が見られたりと、客層はかなり幅広いそうだ。

「ナイキの過去と現在の全てを体感できる空間です。今までのファンはもちろん、20歳前後の若い人たちにもナイキの魅力を知ってもらいたいですね」(前田さん)。

ネットショッピングが一般に普及するなか、あえてこうした場を作り、ナイキの歴史と奥深さを商品を通して伝えるという意味では、同店は販促というより「ブランディング」としての意味合いが強い店舗といえるだろう。07年1月までの企画が終わると同時に同店は「BERBERJIN R」としての通常営業に戻るが、今後も何らかの形でコラボ展開を積極的に検討していくという。ショップ自体をコラボレートしようという意欲を持つ同店と、若者にとって身近なファッションブランドのイメージを付けたいナイキの戦略によって実現したこの実験店舗。マスマーケティングから離れたユニークなブランド戦略の一例として注目したい。

[取材・文/田中みゆき(フリーライター)+『WEBアクロス』編集室]

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