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レポート
2007.04.16
フード|FOOD

原宿の人気カフェ「ロイヤル」が
代々木八幡に移転リニューアルオープン

照明や家具は原宿で営業していたものを
そのまま利用。アメリカンダイナー風の
ソファが印象的。
近隣の住民が犬連れで訪れることが
多いため、店内も犬同伴OK。
同店オリジナルの紅茶「hi-life」。
こちらからインターネット通販も可能。
店内奥には、同店のグラフィックデザインを
担当するデザイン事務所「アームチェア
トラベル」を併設。
2007年1月22日、渋谷区元代々木町にカフェ「mid.(ミッド)」がオープンした。同店は、2001年からキャットストリートの1本裏の通りで営業していたカフェ「ROYAL(ロイヤル)」が移転リニューアルオープンしたもので、オーナーの溝田徹朗さんはコピーライターから飲食業に転身し、1977年に原宿に喫茶店「ラハイナ」をオープン。以来ずっと原宿で飲食店を営んできた経験の持ち主である。テナントビルの老朽化に伴う解体をきっかけに、今回移転することになったというわけだ。

「当初は原宿で物件を探していましたが、表参道ヒルズや高級ブランドショップの出店による地価の高騰で家賃相場が5〜6倍に跳ね上がり、まったく手が出なくなってしまいました。さらに、原宿〜表参道エリアが観光地化し客層も変化したことで、このエリアで営業を続けることに疑問を感じるようになり、少し離れた場所への移転を決めました」(溝田さん)。

青山や学芸大学、代々木上原などで物件を探した結果、溝田さんが選んだのは山手通沿いの初台坂下交差点近くにある築28年の物件。周囲は住宅街で、ところどころにアパレルの事務所が点在する静かなエリアである。

「今は、周辺に何もないエリアだけれど、将来的におもしろくなるエリアだと見越して代々木八幡を選びました。ファッション関係の人が多く住んでいることもあり、『生活に密着した普段使いのカフェ』という当店のコンセプトにもピッタリだと思って」(溝田さん)。

以前は帽子メーカーの倉庫だった店内は約45坪・14席。内装はツモリチサトの店舗などを手掛けるインテリアデザイナーの五十嵐久枝氏に依頼。オフホワイトを基調に、家具はモカブラウンで統一し、シンプルで暖かみのある雰囲気を演出した。ソファと椅子、照明は、座面の高さや座り心地にこだわってオーダーしたもので「ROYAL」時代に使っていたものをそのまま使用している。

メニューは、ハンバーグステーキやドライカレー、パスタ、オムライスなどいわゆる定番のものが中心。ボリュームがあって飽きがこない、昔ながらの食堂のような品揃えを意識したという。ドリンクはコーヒー310円、紅茶やフレーバーティー各種480円〜とリーズナブルで、毎日でも利用できるような価格に設定している。

ターゲットは20代〜30代前半の1人暮らしの男女で、女性が1人でも入りやすい店作りを目指したという。原宿で営業していた頃は、ショッピング目的で来街する10〜20代の若者がメインの客層だったのに対し、現在は周辺に住む30代〜の大人が中心。夕方以降に来店し、アルコールを飲みながら食事をするというレストラン的な利用が多いという。深夜2時まで営業しているため、23時以降になると青山や渋谷、代官山に自転車やバイクで勤務する仕事帰りの美容師やショップスタッフが立ち寄るケースも多いそうだ。

「カフェブームの頃はみんなファッションでカフェに行っていたけれど、今は利用価値のある店でないとお客さんが呼べない時代。日常から離れた特別なサービスを提供するよりも、住民や在勤者が1日に何度でも気軽に利用できる店として、生活に溶け込むサービスを提供したいですね」(溝田さん)。

07年末には、山手通り地下に建設中の首都高中央環状線が開通し、1km程先の富ヶ谷交差点付近に出入口が完成する予定。並行して山手通りの拡幅工事も行われており、アクセスがよくなることで代々木八幡への来街者や住民が増加すれば、商業エリアとしての発展も予想される。大規模な道路開発の影響で、代々木八幡周辺エリアの勢いはどう変わるのか、今後の動向に注目したい。

[取材・文/今あすか(フリーライター)+『WEBアクロス』編集室]

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