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Across the Book Review Vol.04
レポート
2007.11.01
この記事のカテゴリー |  カルチャー | 

Across the Book Review Vol.04

「今」しかしらない若者たちのための読書案内。
続々リリースされる新刊本をきっかけに、時間や空間を越えて(=across)読みたくなった本や思い出した本をピックアップし、紹介する「つながり読書」企画です。

ブログ・オタク・女子

ブログやネット連載の単行本化、というのも食傷気味。だが、ブログやネットでおかしなことをしてる人たちは、確実にいる。ネットがないときには発表されることはなかっただろうなあ、というようなものが世に出てきて、ネットのヘビーユーザーではない、普通の人々が享受できるというのは、それはそれでいい時代だと思う。 『今日の早川さん』は、著者が自ブログの中で発表していた4コマ漫画を書籍化した本。重度な本好きの女子5人が登場人物だ。彼女たちが好きなジャンルは、すべてバラバラ。主人公の早川量子さんは、当然SF好き。ホラーマニアは帆掛舟さん、ライトノベルファンは富士見述流さん、純文学読みは岩波文子さん、レア本好きは国生寛子さん、と、それぞれにおなじみの出版社が連想される名前がつけられている。ネタ元わかりますか? ちなみにひとつだけ謎だった、帆掛舟の由来は、創元推理文庫のホラー&ファンタジージャンルのマーク、だそうだ。 この本に出てくるのは、「読書が趣味」「小説が好き」の範囲を超えた、いわゆる本オタク。好きなジャンルの本を何よりも愛し、徹底的に集め、日常の中心が、本である人種だ。本、というと教養、文化であって、それが好きでオタクといえるのか? という疑問もあろう。だが、一口に「本」とはいっても、SF、ホラー、のようにジャンルが狭くなれば、漫画やアニメやゲームのようなサブカルチャーと特に変わることもない。 著者はブログで、漫画の『早川さん』以外にも、本や映画のレビューを書いているのだが、登場するのはもちろんSF、そしてホラー。好きだから書いている、といった感じですがすがしい。そんな、“好き過ぎる”という実感から生まれたものは、同じ趣味を持つ同士には強い結束が生まれるだろうし(早川さんと友だちのように)、私のような門外漢で、出てくる本のほとんど知らない、という読者が読んでもなぜか楽しめる。 それにしても、ディープな世界を持っている女の子は面白い。私の周りにも3人ほど「本タク女子」が思い浮かぶが、彼女たちの底知れない情報量には、尊敬する。仕事でも何度か助けられた。見た目がごく普通な人が多いだけに、驚きも倍増だ。 この本でも、「女子オタ」ならではの自虐ネタが満載だ。デート中にマニアックな本を薦めてフラれる、とか、電車の中で好きな本(マニアックな)を読んでいるかっこいい男子と偶然遭遇できないのはなぜ? など、女子的な生活に少々支障をきたす様子が描かれている。このところ、『メガネ男子』以降だと思われるが、オタク女子の“萌え自虐”モノのような本が増えている気がするが、『早川さん』もこの流れか。 さて、主人公(つまり著者)が好きなSFだが、書店でもあまりSFの棚は見かけないように、さほど読まれているとはいえないジャンルだろう。本の中でも「SFなんて子どもが読むものでしょ」とさんざん揶揄されていた。ただ、「日本SF大会」のような数千人規模のイベントが毎年行われていてコアなファンが確実にいるそうだし、SF色の強いライトノベルやアニメが人気で若者には違和感なく受け入れられているし、実は日本に結構根付いている分野なのかもしれない。 特に今年は、世界SF大会が「Nippon2007」として日本で開かれたり、「時をかける少女」のアニメが話題になったり、星新一氏の評伝が出たり、SFという言葉を見かける気がするなー、と思っていたところで『早川さん』。しかも、“SF好きの早川さん”を描いたブログコミックが、SFの老舗、早川書房から出た、というのも、なにか楽しい。 なんとなくそんな空気に呼ばれて読んでみる、そんな読書体験も、意外と当たりが多い。 []

読みたくなった本




・『夏への扉』ロバート・A・ハインライン(早川書房)
・『ソラリス』スタニスワフレム(国書刊行会)
・『涼宮ハルヒの憂鬱』谷川流(角川スニーカー文庫)
・『星新一 一〇〇一話をつくった人』最相葉月(新潮社)

思い出した本




・『となりの801ちゃん』小島アジコ(宙出版)
・『きょうの猫村さん』ほしよりこ(マガジンハウス)
・『メガネ男子』(アスペクト)

■おまけ
・『トーキョーリラルライフ〜42人の消費生活』WEBアクロス編集室(日本実業出版社)


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