■都市のコード論:NYC編  vol.06
テーマ:HOTEL
レポート
2018.03.08
カルチャー|CULTURE

■都市のコード論:NYC編 vol.06
テーマ:HOTEL

在NYC17年の日本人ビジネスコンサルタント、Yoshiさんによるまち・ひと・ものとビジネスの考察を「都市のコード論:NYC編」と題し、不定期連載しています。

1年半ぶりの起稿。テーマは“HOTELと都市“です。日本でも異業種からの参入が増え、新しい展開をみせていますが、NYでは? データとともに解析します。


ニューヨーク市内で新しいホテルのオープンが相次いでいる。


2015年時点で市内には696件のホテル (107,000室) が営業していたとされているが、その後新規オープンが続き、2017年10月時点では、ホテル数はおよそ785件、 部屋数は115,000室に達したと考えられている。

ニューヨーク市のマーケティングを担うニューヨーク・シティ・アンド・カンパニーが2017年に発表したレポートによると、2017年末から2019年までに、おおよそ40-50件の新しいホテルのオープンがさらに予定されていて、27,000室が追加されることになり、その結果2019年末には900件近くのホテルが市内に存在することになる。

新しいホテルの業態はさまざまで、部屋数をみても14室のみの小規模なものから600室を超える大型のものまでそのバラエティは幅広く、ターゲットとする市場のセグメントもさまざまだ。とはいうものの、そこには共通する傾向もあり、そして新しい試みも散見される。

ということで、今回はNYマンハッタンのホテルの変化についてデータとともに解析してみることにした。



2015年以降オープンした (そして今後予定されている) ホテルの数を、ボロウ (区) ごとにみてみよう。

ニューヨーク市の中心であるマンハッタンでは、1年に20−30件のホテルが継続してオープンしていることがわかる。少し前に話題になったブルックリンも毎年5-10件ほどオープンしているもののすでにピークアウトしている。

一方、クイーンズでは2017年と2018年にそれぞれ10件前後、2019年には15件のホテルのオープンが予定されており、そのペースはブルックリンを上回っている。


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ボロウ別でなにより注目すべきことは、2017年からブロンクスにもホテルがオープンしていることだ

1980年代の犯罪のイメージから観光とは縁遠かったブロンクスが、いよいよ市内のホテル戦線に参入したことになる。確かに地下鉄に乗ればブロンクスからマンハッタンの中心部まで30分ほどで着くことができるし、近年はブロンクスの南端に位置するサウス・ブロンクスの開発も進んでいて、2017年に市内で家賃の大きな上昇率を示した地区の上位はブロンクスが占めていると報告されている。

ビジネスやエンターテイメントが圧倒的にマンハッタンに集中していた状態から、近年その重心は少しずつ隣接する他のボロウへと分散傾向にある。ブルックリンからクイーンズ、さらにはブロンクスへと、オープンするホテルのロケーションの移動は、人々の注目の移り変わりをも反映しているといえる。

ホテルの新規オープン (2015-2019年)を、マップにしたのが下のリンクである。
バブルの大きさはそれぞれのホテルの部屋数を示し、それぞれのホテル名と部屋数をインタラクティヴにみることができる。

fafsp.carto.com/viz/4a4b3f4f-2011-4e7f-8e51-46956fcf2581/public_map


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2017年11月に東京は錦糸町、大阪は本町にオープンしたマリオット・インターナショナルが20〜30代のミレニアル世代を対象とした家具や内装にこだわったデザイナーズホテルブランド「モクシー・ホテル」。ウエブサイトもポップで従来のホテルのイメージとは異なる。

マンハッタンをみてみると、伝統的に観光客とホテルが多いミッドタウンにひき続き新しいホテルが多くオープンしていることがわかる。

たとえば、マリオットが手がける、612室のモキシーNYCタイムズ・スクエア (http://moxy-hotels.marriott.com/en) が2017年にオープンした。

やはりミッドタウンのハドソン川近く、ハイラインの北端に位置するハドソン・ヤーズでは大規模な開発が進んでいる。最新のインフラを備えた大型オフィス・スペースが建設中で、完成と共に多くの企業がミッドタウンからハドソン・ヤーズへと移転することが予想されている。企業が移転する先にホテルができるのは当然なのだろう。ハドソン・ヤーズの隣には巨大なコンヴェンション・センターであるジャヴィッツ・センターもある。部屋数の多い大型ホテルが多いのもミッドタウンの特徴といえる。

マンハッタンの南端に近いファイナンシャル・ディストリクト (旧金融街) からバッテリー・パークにかけても新しいホテルが増えている。グラウンド・ゼロ1ワールド・トレード・センターが完成したことで、コンデナストやデイリー・ニュースなど、多くのメデイア企業がタイムズ・スクエアからダウンタウンへと移転している。そうしたビジネス向けの需要はもちろんのこと、ロウワー・マンハッタンはかつての金融街から比較的若年層の人たちが住む地区へと急速に変化している。伝統的な観光地のミッドタウンを敬遠してロウワー・マンハッタンに宿泊することを選ぶ観光客も増えているということなのだろう。


 
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ハドソンヤードの開発のようす(2018年1月撮影)


ブルックリン
はというと、ダウンタウンウィリアムズバーグからグリーンポイントにかけて、そしてクイーンズではロング・アイランド・シティのほかにジャマイカでもホテルがオープンしている。

ロング・アイランド・シティは、マンハッタンのミッドタウンまでイースト・リバーを超えてすぐの場所にあり、マンハッタンよりも手頃な宿泊料金に設定されている。さらには部屋から川の向こうにマンハッタンの眺めを楽しむことができる。マンハッタンに滞在していたら目にすることができない贅沢だ。JFK空港行きのエアトレインが発着するジャマイカは、空港と市街地との両方へのアクセスの良さからホテルができているようだ。

ホテル数が急速に増えていることから、ニューヨークのホテル需給は緩和すると予想されている。激化する競争に生き残るためのカギは、差別化にあるようだ。

ニューヨーク市シティ・プランニングのレポート
によると、市内のホテルの部屋数のおよそ38%は独立系のホテルだという。チェルシーにあるハイライン・ホテル (http://thehighlinehotel.com/)、ミッドタウンのルーズヴェルト・ホテ (http://www.theroosevelthotel.com/)ロジャー・スミ (https://www.rogersmith.com)、ブルックリンのウィリアムズバーグのウィリアム・ヴェイル (https://www.thewilliamvale.com/) などが独立系に相当する。

これらのホテルは全国展開する大手ブランドとは提携していない。戦略的な選択だ。

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市内に43,600室あるとされる独立系ホテルの部屋のうち、49%は広義のハイエンドに属し、エコノミーのセグメントに相当する部屋数はその28%にすぎない。独立系のホテルがハイエンドをターゲットとしていて、独立系
であること (大手ブランドの一部ではないこと) を高付加価値化に利用していることがわかる。実際に、大手を避けて、独立系のホテルでの宿泊を選ぶ人は増えている。


独立系のホテルは、マンハッタンではダウンタウンブルックリンの一部クイーンズのロング・アイランド・シティなどでオープンしている。典型的な観光地ではない場所の選定がその価値の欠かせない一部であり、ハイエンドのイメージとロケーションが分かちがたく結びついていることがわかる。ロケーションはそのブランドの一部といってもいい。

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トリップ・アドバイザーが買収した現地ツアーの予約ができるプラットフォーム「ヴィアター(www.viator.com)」。

興味深いのは、大手ブランドもニューヨークでは独立系のアプローチを模索していることだ。

テキサスを拠点とするあるデベロッパーは、通常マリオットやヒルトンと提携してホテルを展開するものの、ニューヨーク市内では大手ブランドと提携せずに運営している。

なかには大手ブランドの傘下であることを隠して、独立系にみせて運営する覆面独立系ホテルもあるという。そのため、市内のホテルを独立系と非独立系にホテルに分けることは容易ではない。少なくともニューヨークに関する限り、ハイエンド市場は、独立系としての独自性を提供することが条件となっているようだ。

同時にヒルトンマリオットも、別名を用いたソフト・ブランドのホテルをオープンし、より小規模で、標準化されていない部屋を提供しようとしている。

日本でも2018年の春に軽井沢にオープンする予定のキュリオ・コレクション・バイ・ヒルトン
(http://curiocollection3.hilton.com/en/index.html) や、タイムズ・スクエアとミッドタウンの2カ所にあるマリオットのオートグラフ・コレクション (https://autograph-hotels.marriott.com/) などがその例であり、既存のブランドとは距離を置く位置づけになっている。

ソフト・ブランドはブティック・ホテルとして運営しつつ、同時に大手ブランドの一部として、予約やリウォードのシステムにアクセスできる利点もある。

 
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2017年、マンハッタン31丁目にオープンしたライフ・ホテルは、かつて雑誌『ライフ・マガジン』の本社だった建物を改修したものだ。

ホスピタリティのビジネスにもテクノロジーとデータは欠かせない。
ニューヨークのホテルでは、自分でチェックインを済ませるところが増えているiPadに接続された端末を利用してチェックインする。わからなければ、必要に応じてスタッフが助けてくれる。テクノロジーの利用でコストを抑えるホテルは多い。


ホテル各社はゲストに関する大量の情報を有している。そのデータをもとに、それぞれのゲストにどんなサービスを提案するのかがビジネスを左右することから、ホテル・テクノロジーのスタートアップ企業の買収も活発になっている。

現地ツアーを予約するサイトのヴィアター (https://www.viator.com) を買収したことで、ホテルやレストランの予約サービスを提供するトリップ・アドバイザー (https://www.tripadvisor.com/) では、ホテル以外の売上が31%増加した。マリオットは、データに基づいて、それぞれのゲストが気に入りそうな体験を個別に提案している。


ローカルな体験を提案するホテルは多い。マリオットが最近買収したアロフト・ホテル (https://aloft-hotels.starwoodhotels.com/) は、ローカルのアーチストによる音楽の演奏をスポンサーしている。ホステル感覚のブティック・ホテルを謳うモキシーは、部屋は狭くそれ自体がニューヨークの経験だという。

こうした動向の背景には、ホテルの競合はairbnbだという認識がある。airbnbがマーケットする、これまでのような観光客ではないローカルとしての体験をとりこむべく、宿泊に付随するローカル性をホテルが重視し始めていることが、現地ツアーやアクティビティの予約サイトの買収を後押ししている。ホテル周りのビジネスをいかにして取り込むのかは、これからも大きな課題だ。

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アーチ状の構造を多く手がけた建築家、エーロ・サーリネンによって1962年にTWA航空のターミナル4をホテルに改修したTWAホテル。
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TWAホテルのHPより。独特のレトロモダンな内装はある層にとっては宿泊することが目的となりそう。


新しいホテルを見て回ることで気づくことのひとつは、かつてのように、入口を入ると目の前に巨大なレセプションが広がっているという光景を目にすることはないということだ。ハイエンドのホテルにその傾向が強く、大きなデスクの背後に何人ものスタッフが立って待ち構えているという光景は過去のものになりつつある。

自分でチェックインするためのiPadが並んでいる以外には、入口のフロアにはソファが並ぶくつろぐ場所があったり、レストランがあったりする。2017年にマンハッタンの31丁目にオープンしたライフ・ホテル (https://lifehotel.com/
) のように、入口を入ってもどこにレセプションがあるのかすぐにはわからない、むしろレセプションをできるだけ見せないようしているようにさえ思えるところもある。

ライフ・ホテルはかつての雑誌の『ライフ・マガジン』本社だった建物をホテルに改修している。商品をマーケットする際に、それにまつわる物語を付加する物語マーケティングが一般化しつつあるが、ライフ・ホテルは既にそこにあるライフ・マガジンのレガシーの周りにホテルというビジネスを構築したのが興味深いところだ。

他の場所で再現不可能なプロジェクトには、他にはない固有性がある。オーセンティックなトーンを前面に出している内装にもそれは見てとれる。新しいコンセプトやデザインを考えたところで、ひとたび注目されたらそれはすぐに模倣され、あっという間に世界中でコピーされる。模倣されることを避けるためには、他にないユニークな場所を開発するしかないということなのかもしれない。

他にはないホテルといえば、JFK空港内で工事が進んでいるTWAホテル (https://www.twahotel.com) は、かつてのTWA航空のターミナル4をホテルに改修するものだ。 エーロ・サーリネンの手によって1962年にオープンしたターミナルで、トランス・ワールド航空 (TWA) はもちろんもう存在しないが、
その歴史とアイコニックなターミナルを利用したホテルとして復活する。
 
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1980年代にブティック・ホテルのコンセプトを導入したイアン・シュレージャーが手がけるPUBLIC HOTEL。冒頭のソファーの部屋の写真もここ。日本だと結婚式の会場としてのニーズは必須だが、NYの場合はアートイベントや音楽イベントが開催できるようなスペースを設けるところが多いよう。(https://www.publichotels.com/)
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日本における近年のデザインホテル、ブティックホテルのトレンドは、2012年にブルックリンに暮らす3人のオーナーの手によって開業したこのWHYTHE HOTELが有名だ。1901年に建てられた、精糖所に納める木樽を製造する工場をリノベートしたインダストリアルな意匠は、その後の日本における“ブルックリン・ブーム”や“ポートランド・ブーム”を後押ししたが、そういった表面的なことに留まらず、小資本(インディペンデント)であることをはじめ、レストランのメニュー、バー、パブリックスペース、ジムなど、従来の都市のホテルユーザーとは異なる“新しいラグジュアリー”なライフスタイルを提案していた点こそが新しい(写真は2013年8月に撮影したもの)。
 
ホテル・ビジネスの競争の中心は、部屋よりも宿泊の周辺へと移動している。

昨今の宿泊客の半分はレストランでホテルを選ぶというデータもある。ライフ・ホテルのロビーはレストランをフィーチャーしていて、近所の人たちが立ち寄るような場所を目指しているという。同レストランは、レストラン起業家のステファン・ハンソンが所有・経営している。

ホテルの中のレストランの多くは第三者の業者が経営し、ホテルとのシナジーが欠けていることが多い。ライフ・ホテルではハンソン自身が同ホテルに投資をしており、レストランの売上の一定の率を家賃としてホテルに払う仕組みになっている。

一般的に、レストランをオープンした後、その周辺が人気の地区になったら、家賃が上がり今度は追い出されることになりかねない。不動産価格の高騰に終わりの見えないニューヨークでは頻繁に耳にする話だ。ビジネス面での新しい取り組みは、その防止策でもある。

2017年にロウワー・イースト・サイドにオープンしたパブリック (https://www.publichotels.com/) は、1980年代にブティック・ホテルのコンセプトを導入したイアン・シュレージャーが手がけるホテルだ。

その名が示す通り、誰もが立ち寄ることができるように、コワーキング・スペースパブリックの場所があり、仕事をしたり、打ち合わせをしたりしている人たちが多い。上層階にはフード・ホールバーがあり、地下にはコンサート・ホールもある。エンターテイメントは利益が出せるものの、ホテル産業にノウハウがない部分でもある。その開発の意図がある。

こうしてみると、新しいホテルにはいくつかの傾向がある。宿泊周りの体験をとりこむこと。他にない固有性を求めるところもある。そしてテクノロジーとデータがホテル産業の未来に欠かせないコアであることも間違いのだろう。

[取材・データ/文:Yoshi(在NY・コンサルタント)]

 

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アストリアの植樹騒ぎ
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アストリアの植樹騒ぎ

年明けにかけてクイーンズのアストリアでちょっとした騒ぎがあった。 昨年末に—ニューヨーク市が後に明らかにしたところによると12月26日に—クイーンズ区のアストリア地区で三本の木が植樹された。 温暖化や大気汚染対策として、また住民の健康のために、ニューヨーク市は市内各所に街路樹を増やす計画を進めていて、昨年度には1万5千本の木が市の公園局によって植樹されている。​​ 市内の木はすべて管理されていて、一本一本の木にIDが与えられたうえで、その木の場所、木の種類、幹の大きさがデータ化され、すべての街路樹をオンライン上のマップで誰でも参照できるようになっている。その統計によると、このポストをしている時点 (2024年1月12日) で、市内に866,152本の街路樹が存在するという。 新たに予定されている植樹については、植樹予定場所がやはりオンラインで公開されていて、植樹された際には固有のQRコードがそれぞれの木に与えられることになる。そのQRコードをもとに、住民は新たな隣人に関する情報をみることができるという仕組みだ。 アストリアの29丁目に現れた三本もおそらくその植樹計画の一環のはずであり、街路樹が現れたことにおかしなことはないのだが、どういうわけかその三本は歩道の「真ん中」に植樹されたという。そして数日後には同じ歩道にさらに一本増えて、合計四本の木が歩道の真ん中に植えられたというのである。 歩道に木がある場合は通常、車道に面した歩道の端に立っているものだが、歩道の真ん中に突然木が現れたことで、近隣住民を中心に様々な憶測や行動をよび、またいくつもの理論と議論が展開されることになった。 クイーンズといえば移民と人種の坩堝。そう連想する人が多く、実際にその区内では165か国語もの異なる言語が話されていて、クイーンズを東西に横切る地下鉄の7番線は「国際急行」の異名をもつ。そのクイーンズの一角に注目が集まったわけだ。​​ ***** 街路樹をめぐっては特にRedditで熱心なやりとりが続き、多くの人たちが行き交いコメントを残していった。 忽然と現れたその木をいち早く見とめたのは、植樹場所の前にあるアパートの管理人である。ある日アパートにやってくると、歩道の真ん中に木が立っていて仰天したそうだ。事前通告は一切なかったらしく、ただクイーンズのサニーサイドに住む人によると、そこでもやはり市はある日突然やってきて木を植えていったということだから、どうやらそれが市のやり方らしい。 驚いたといいながらも、その管理人はとりあえず木に飾りつけをしてみたというから、新たな仲間を歓迎しようというわけなのだろう。クリスマスのものと思われるオーナメントを二つほどこした写真をアップした。 なかなか気の利いた管理人だと感心した人は少なくなかったとみえて、その管理人に続けというように、別の誰かがやはり同じ木に飾りを追加したことで、合計三つのオーナメントが木にとりつけられたようだ。 一方大方の人たちの関心は、その木が間違って植えられたものではないかという点にあるらしく、早速ある人が市の予定されている植樹データを見てみたところ、その木は確かに市のデータ上にあるもので、植樹作業を請け負うコントラクターの名前と連絡先も記載されているという。つまりその木は市の許可を得て植樹されたものらしい。間違いではないのである。 合法性が確認されたことで、今度はコントラクターが植樹場所を間違ったのではないかという憶測が広がった。市内の植樹にはルールがある。資格をもつエンジニアを自称する人が現れて、歩道の真ん中に植樹することはルール違反だと明言したことから、植樹場所に関するルールの確認を急ぐ人たちが出てきた。 意外にも続々と現れたのは、歩道の真ん中に木があることの利点を説く人たちである。木が歩道の真ん中にあると、歩くときに木をよけて通らなければならないから不便だという、いかにも真っ当な意見が当初あった。つまりこれは何かの間違いに違いないというわけだ。 それに対して、いやたしかに車椅子やベビーカーの人たちは木を迂回しなくてはいけないかもしれないが、真ん中に木がある方がむしろ歩きやすいという主張が次々と出てきたのだ。 真ん中に木が立っていることで、反対の方向に行き交う人たちの間に自然な流れをつくることになるという説であり、それぞれが木をよけて片側通行することで、前方からやってくる人とおのずとよけ合うことになるという主張である。 観光客が多いところではよくあることだが、数人が横一列で歩いていたりすると、追い越すにも行き交うにも厄介でイライラさせられるものだが、それを防ぐことにもなる。なるほどそれは思いがけない名案かもしれない。間違いどころか、真ん中に木を据えることは大変な発案だというわけで、建築雑誌に投稿しようという人も出てきた。 そもそもアストリアのあたりでは、高密度のマンハッタンと比べて歩道がずっと広いため、歩行者が行き交うことに大きな問題が生じるとは思えない。それに最近ではスクーターや自転車で歩道を走る人がいて危険だが (*)、木が真ん中にあることで、そうした人たちが歩道を避けるようになるだろうから、歩道が再び歩行者専用になって安全だというなかなか有力な説も出てきた。 (*) ニューヨークでは自転車は車道を走らなければいけない。 なるほど歩道の真ん中に木があるのも悪くはない。それでもやはり間違った場所に植樹されたのではないかという疑念は根強く、歩道の地下にケーブルや下水が走っていて、そのために通常とは異なる場所に植樹したのではないか。あるいは今後道路の幅を拡張する予定があって歩道が狭くなることを見越したうえでの植樹ではないのか。はたまた駐車した自動車がドアを開けたときに木に当たらないようにとの配慮ではないか。いやこれは何かの実験ではないのか…。 植樹場所については諸説あるものの、木が増えたことはとにかく喜ばしいことである。街路樹の誕生を祝う人たちが続き、大きく育ってアストリアの宝になってほしいと願う人、記念にその木に名前をつけようという人たちの祝福ムードが広がった。なにしろもうすぐ新年である。ニューヨークでも大晦日から年越しにかけては一大イヴェントなのだ。例の管理人といえば、ほかにどんな飾りつけをしたらいいのか引き続き思案中というわけで、もっと多くのオーナメントをつけようと近隣の人たちに呼びかけ、それに反応したのか、ラリー・デイヴィッドとフラン・レボウィッツの飾りつけが追加されたという。ニューヨークらしい二人ということなのだろうが、クイーンズならシンディ・ローパーなどもよかったのではないか。 この植樹騒ぎをソーシャル・メディアが見逃すはずはなく、そのことを聞きつけた少なくない数の人たちが、わざわざマンハッタンからアストリアまで木を見に行ったようだ。年明けにはローカル・メディアはいうまでもなく、大手メディアもその木の話題を次々ととりあげて、アストリアの騒ぎはいよいよピークを迎えた。 ***** おかしなところに木が植えられたことで、あちこちから人が出てきて、あれこれ詮索や推測、議論が巻き起こる。そこにはどこか、長らく埃をかぶっていた都市のスイッチが入り、ネイバーフッドが蘇ってきたようなところがある。 スイッチが入ったのが「間違い」が起きたためであることに注目したい。「間違い」は今回の場合のように一風変わったところに木が植えられることもあるし、百年に一度の疫病だったり、旅客機が高層建築を直撃することであったりもする。そうした「間違い」があったときにこそ、不思議とネイバーフッドや都市的なものが戻ってくる。これまで何度もそうしたことを目にしてきた。 そうした「間違い」は、必ずしも負の間違いをもたらすわけではない。災害の場合にはそれは相互扶助や協同性として現れることが常だし、今回のような植樹場所をめぐるときには、多くの住民が木を囲んでああだこうだと多彩なやりとりをひき起こすことになる。​​ほかの場所と同じように路肩に植樹されていたら、誰もその新しい街路樹に気にとめることはなく、いつものように通りすぎて行ったことだろう。日常的には歩道は目的地へ向かうための通路に過ぎないが、そこに「間違い」がはさみこまれると、その存在すら意識しなかった場所が突然視界に入ってきて、普段考えが及びもしないようなことを住民があらためて問い直すことになる。 29丁目の歩道のことを誰よりもよく知っているのは、そこを毎日行き来している住民であるから、住民たちが意見し、検討することは当然のことであるし、望ましいことでもある。​​その歩道を最も気にかけているのは近くの住民なのだ。 住民参加を促そう、ネイバーフッドを活性化しよう。よく言われることだが、その掛け声とは裏腹に、実際には容易なことではない。近隣の人たちの交流を謳うコミュニティ・センターを構えたりすることもあるが、たいていはお仕着せのプログラムの空回りに終わる。 そして現実には、床屋のような場所の方が人が集まるハブになることが多い。ドミニカ系の住民が多いアップタウンを歩いてみれば目につくことだが、ノンストップの大音量の音楽に合わせて踊りながらバリカンを操る床屋が並び、いつも若い人たちで賑やかなのだ。髪を切りに来る人もいるが、ハングアウトするためにやってくる人たちも多い。 交流目的のためにあるわけではない床屋の方が、そう意図したわけでもないのに—あるいは意図したわけではないからこそ—事実上のコミュニティ・センターとして機能することになるのはなぜなのか。そうした「間違い」はどのように起きるのか。それは多くの人が半ば羨望をもって問い続けていることのひとつである。 おかしな植樹のおかげで、そうしろと言われたわけでもないのに住民が自分たちで考え始めた。少し大袈裟にいえば、事態を住民の手に委ねることになったともいえる。とはいえ、ほかの人たちと顔を合わせ、またオンラインで考えを交わすとき、そこに安直な同意は期待できない。聞こえのいい「多様性」とは異なり、共通するものが少ない人たちと共にやっていくことは簡単ではない。 口を開けば反対意見や別の考えが出てくるのは当たり前。しかしそれは歓迎すべきことでもある。新しい考えとは、孤高の天才がある朝目覚めて思いつくものではなく、いろいろな考えをそれこそ「接ぎ木」するようにして現れるものだし、新しいこととは、市が導入したものを市が想定していなかったことに使い始めたりするようなところから生まれるものだ。 ***** 専門家に言わせれば、それは住民の仕事ではなく、プランナーの役割だということになるのかもしれない。それに住民たちがいくら思案したところで、所詮は素人の浅知恵にすぎないと。 実際プランナーの仕事は「間違い」が起きないようにすることである。街路樹や歩道のことなど意識しないですむ方がいいし、住民が余計なことをしないですむようになる方がいい。 プランナーにとって、歩道は何より目的地に早く移動するための手段である。アパートとオフィスの往復を、いかに無駄なく繰り返すことができるのか。そこにあの管理人のような愉快な面白みは期待できない。歩道などはあたかも自明なスタスタと歩いてゆくところであることの方が好ましい。 後に出された市のコメントのためか、Redditでは削除されてしまったようだが、いかにもテクノクラートらしく市の規則を詳細に説明し、それにもとづいて、歩道の真ん中に植樹することはルール違反だと指摘した人がいた。 規則には理由がある。歩道の真ん中に植樹してはいけないという規則があるとすれば、そこには何らかの合理的な判断があるものだ。もちろんプランナーも都市のため、住民のために働いている。ただそこに異なる都市をみているのだろう。 ***** 年明けに市が正式に応答したところによると、29丁目の歩道の地下にはユーティリティーのルートが走っていて、それを避けて歩道の真ん中に植樹したものであり、市の公園局は、その植樹場所が市のルールを遵守したものであることを明らかにした。間違いではなかったというわけだ。しかしながら住民の苦情が寄せられたことで、市は近く四本の木を除去して、別の場所に移す予定だという。

yoshiさん


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