comma tea(コンマティー) 恵比寿店
レポート
2018.08.14
フード|FOOD

comma tea(コンマティー) 恵比寿店

多忙な日々にコンマを付けるひとときを
話題の「チーズティー」も揃える東京発のティースタンド

JR恵比寿駅からほど近く東口交差点のそばに今春、大きな「,(コンマ)」のマークが目を引く、白い小さなショップがオープンした。一瞬何の店なのか不思議な印象だが、よく見ると「comma tea」の表記がありお茶を提供する店だとわかる。路上の立て看板はカップ形のデザインで片面には黒い粒状のものも描かれている。タピオカミルクティーを表現しているらしい。店内はカウンターのみのシンプルなつくり。シックだがカジュアルなティースタンドらしきこの店について、店長の阿久津拓也さんに話をうかがった。

「日本にはコーヒーの個人店やチェーン店、スタンドはたくさんあっても、お茶のスタンドは少ないんです。最近、タピオカミルクティーを提供するところは増えていますが主流はティーンズ向けで」と阿久津さん。
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人気メニューは、タピオカミルクティー(左)とチーズティー(右)。奇遇にもドリンクのタピオカとコンマの形状がそっくり(!)

同店は働く大人がターゲット
“忙しい日常のなかで一息つこう”という意味を込め、センテンスを区切る「,(コンマ)」を店名にしたのだそうだ。確かに紅茶や中国茶専門店となると伝統や形式に則したオーセンティック路線を目指していたり、ハーブの効能や種類を啓蒙してくれていたりと、それはそれで大きな魅力はあるのだが、気軽に楽しむにはやや敷居が高い店が主流だった。そこに目をつけていたのが代表取締役の菊池尚さん。IT系企業に勤めた後、上海に渡り現在は貿易等のビジネスも手掛けている人物である。

IT企業時代の同僚だった阿久津さんに声をかけ、この店の母体となる㈱ティーカンパニーを共同経営するに至る。阿久津さんはIT企業を退社後、スープ専門店「SoupStockTokyo(スープストックトーキョー)」やセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON(パスザバトン)」など幅広い新業態の事業で知られるスマイルズに入社ネクタイブランド「giraffe(ジラフ)」にたずさわり、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」の立ち上げからを担当した経験の持ち主だ。
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店内にはいたるところに「,」のマークが
菊池さんは今年の初め、阿久津さんを中国・上海視察に誘った。中国や台湾でよく見られるティースタンドのような、気軽に茶を楽しむ文化を日本にも展開したいと考えており、飲食店業界のノウハウを持つ阿久津さんに一緒にやってみないかと声をかけたのである。阿久津さんにしてみれば突然だったが、そもそもスマイルズに入社したのも「生活に馴染む文化・カルチャーを作ることに興味があったから」と話す。

今回も、“日本にない新しい文化を作る”ことに惹かれて、視察後すぐに会社を辞めることを決心。同社の取締役としてティースタンド事業のプロデュースを任されることに。

「紅茶が引き立つように店舗デザインはあえてシンプルに。“茶=植物”を表現したくて随所にグリーンを取り入れました。空間とスタッフの実務的なワークスタイルも実は花屋をイメージしています」(阿久津さん)

店はバックヤード含めて9坪ほどの小さなスペースで、店内はカウンターのみ。立ち飲みは可能だが、殆どの客はテイクアウトでそれぞれの場所に持ち帰ってゆっくり楽しむという。
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チーズティーは今、アメリカでもブームになっている話題のドリンク。チーズクリームには岩塩が入っていてまろやかさを引き立てる
メニュー構成は現在のところ大きく分けて5アイテム。「チーズティー(お茶にクリームチーズ+岩塩のクリームを浮かべたもの。台湾発で中国、米国でも大人気のメニュー)」、日本でもおなじみとなった「タピオカミルクティー」、ほか「ティーフロート」「ハーブソーダ」「ストレートティー」。価格は350~600円で、「comma teaブレンド」「アッサム」「烏龍」などそれぞれ設定された茶葉を選べる。ティーフロートとハーブソーダはアイスのみ、それ以外はホット(95℃)またはマイルドホット(55~65℃)も用意。ティーンズ向けのタピオカミルクティーとは違い甘さはひかえめで、大人が楽しむのにちょうどよい味わいとなっている。
 
“無いように見せている”が、茶葉へのこだわりは持つ。ストレートティーで使用する紅茶(アッサム、ダージリン)は紅茶専門店の老舗・銀座リーフルの厳選茶葉を仕入れ、コーディネートはルピシア出身の特任スタッフが担当。「comma teaブレンド」は複数の茶葉を性質によって時間差で煮出し・蒸らしを行うなど、きめ細かい調合を行っている。阿久津さんによると「いろいろ試しましたが茶葉は最高級のものより少々雑味がある方がミルクティーにはしっくりくるんです。ジャスミンは本場中国産。タピオカは国産で保存料は使っていませんが、あえてヘルシー、オーガニックとは謳わず“実は自然志向”くらいの方が気軽に楽しむには好いのかなと」。店の立ち位置を踏まえた上での味覚の方向性がしっかり定められている。
 
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茶葉や温度、甘さや氷の量まで自分好みにカスタムができるのもうれしい
コーヒーでは当たり前となっているスタンド形式の店。最近では日本茶に特化した店が都内に次々と登場し話題だが、紅茶および中国茶を中心とした広義でのティースタンドはまだ少ない

改めてお茶の魅力を考えると、インド(紅茶)や中国などアジア発祥の食文化であり、異国のものではあるが日常的な親しみはある。それでもまだ日本人が知らないこともあり奥が深い。中華街などに行けば観光気分を満喫できるティーサロンは容易に見つかるが、より日常的に利用するのには余計なものを削ぎ落としたこの店のスタイルがなるほどフィットするように感じられた。新メニューも開発中で、今後も地域を限定せずモロッコのミントティーやお茶とフルーツを合わせたティースムージーなど、さまざまな茶の文化・飲み方を提案していきたいという。アイデアは豊富に温めている様子だ。
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壁面やカウンターはモルタルでシンプルに。「紅茶も元は植物」と、花屋をイメージした店内にはグリーンを配置した
そもそもティースタンドはパッケージングしやすく、キッチンカーでの移動販売も容易。今後、同社では多店舗展開を目指しており、2020年までに都内20店を目標にする。最近ではUber Eats(ウーバーイーツ)に委託して配達も行い、近隣の企業などから大口注文が入るようにもなった。
 
「以前の会社での業務と違って少数スタッフではすべてが手作り感覚。決して楽ではないが、思い立ったら即実行できるのも強み。小回りの利く経営を活かしていきたい」と、阿久津さんは語る。
お客さんの反応をじかに見られるのも好い点。実は、開店当初は、恵比寿で働く女性をターゲットに想定していたが、見た目のおしゃれさ、インパクト大の「,」マークが狙い通り「インスタ映え」にもマッチしたようで、学生~20代の来店が目立つという。わざわざ遠方から訪れる人も珍しくないそうだ。

「女性向けにし過ぎず、男性も入りやすい雰囲気を作りたいですね」と言う阿久津さん。髭をたくわえたやさしい笑顔で迎えてくれるだろう。
 
【取材・文/柳原由加子】

 


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