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&Bridge(アンドブリッジ)
レポート
2019.10.25
この記事のカテゴリー |  ファッション |   カルチャー | 

&Bridge(アンドブリッジ)

大手アパレルと、動産活用のプロフェッショナルがタッグを組んだ、“オフプライスストア”の誕生

 埼玉県さいたま市。西大宮バイパスと上尾道路が交差する、宮前インターチェンジのほど近くに、9 月14 日に「&Bridge(アンドブリッジ)」という店がオープンした。付近には「しまむら」や「ダイソー」があり、道路を挟んで向かい側には「ヤマダ電機」や「ニトリ」の看板が見える、典型的なロードサイドエリアだ。
しかし、この店だけちょっと雰囲気が違う。スケルトン天井に、落ち着いた照度の明かり、壁には絵が掛かり、BGM はモダンジャズ。奥にはコーヒーを自由に楽しめるスペースも。「Women’s」「Men’s」「Kids」「Import Select」等のシンプルな看板のもとに並ぶ商品は、どれもファッション雑誌やネット、CM等で見たり聞いたりしたことのあるブランドばかりだ。
商品の値札をよく見てみると、安い。どの商品も定価の50~70%off。ここは、大手アパレルメーカーの株式会社ワールドが、株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパンと組んで手掛けた、“オフプライスストア”なのだ。
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(左)入ってすぐのビジュアルプレゼンテーションコーナー。 (右)店内奥のコーヒーコーナー。誰でも無料で自由に飲むことができる

& Bridgeが目指すのは、一企業の枠にとらわれず、余剰在庫を解消し、ロスなくお客様に届けるファッションエコシステム

「アウトレットショップとオフプライストアは似ていますが、アウトレットが自社の商品や専売品を作って売っている、いわばSPA型なのに対し、オフプライスストアは他社の商品をバイイングして、MD を組んでお客様に提供する形です。欧米では増えていますが、まだ日本では見慣れない業態です」と語るのは、株式会社アンドブリッジの松下剛社⾧。株式会社ワールドで、直前までアウトレット業態を20 年以上担当していた人物だ。 ⾧らく自社のブランドのみのアウトレット店舗を運営するうち、「他社のものもバイイングしたいな」と思ったのが、立ち上げのきっかけという。
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株式会社アンドブリッジの松下社長。長らくアウトレット業態を担当してきた経験を生かして、新たな事業に挑む。
株式会社アンドブリッジを設立するにあたり、ワールド社がパートナーに選んだのは、株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパン(以下「GBJ」)。GBJ 社は、様々な店舗やメーカーを顧客に持ち、在庫計画の立案・実施および流通販路の最適化や、在庫の評価を行う企業だ。在庫処分が必要となった顧客に対しては、在庫を預かり、百貨店の催事や国内外のEC サイト等、様々な独自ルートを使って、多数さばいてきた実績の持ち主だ。

GBJ 社の広報担当、中澤有記さんは、「当社は、二次流通は多数手がけていますが、これまでに特定の実店舗は持っていませんでした。様々な企業の在庫を取り扱う中で、これらの在庫の価値を最大化したい、お客様にリーズナブルに違った価値観でお届けしたいという想いの中で、ワールドさんとの思惑が一致しました」と語る。

今回の1 号店は、300 坪の売場に40 社63 ブランドを集めた。このうちワールド社の商品が3 割くらい、他社商材が7 割くらい。アイテム構成比は、アパレル65%(うちレディス45%、メンズ15%、キッズ5%)、ファッション雑貨15%、生活・キッチン雑貨15%、コスメ・フレグランス3%、ジュエリー2%とした。
MD は6 週間で組んでおり、その間に売価変更をかけて2 か月以内に売り切っていく
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業務用カートがずらっと並んだ圧巻のシューズコーナー。搬入用にしか使われない什器が、ここでは壁一面に並べられて、“仕入れたて”感満載。客も躊躇なく商品を取り出していく。
そこで、少し意地悪な質問をしてみた。「売れ筋があっても、どこにも追加の在庫が無ければ、それ以上積むことは出来ないわけですよね?在庫バランスに支障が出たりしませんか?」。すると松下社からは、「GBJ さんはこれまでに450 社とのお取引があるので、品揃えには困りませんよ()」との返答が返ってきた。先週来た時にあった商品が、次来た時には無くなっていて、全く新しい商品が置いてある。お客様はそれを楽しんでくれるはず、との自信が感じられた。
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店内奥の壁面には、片側に「Nothing ventured Nothing gained」(挑戦しないと新しいものは見つからない)、もう片側には「Treasure seekers Find gems」(宝物は見つかりましたか?)と、書かれてている。 ちなみに吊り下がっている「Fitting Room」の看板は、ワールド他店で使わなくなったものをあえて再利用。

地元ファミリーがスマホ片手に宝物探し

 松下社「(人気商品のトピックスとしては)、“ハケットロンドン”の服は、幅広い年齢層の方に売れていますね。ブランドを知らなくても、質感の良さにひかれて買われている方も多い気がします。10 万前後のダウンをポンと買われていく方もいましたよ。服以外では、“アドミラル”や“ディアドラ”のシューズも人気ですね。あと思いのほか売れているのがフレグランス。今のお客様は、ネットでもSCでもこだわらずにお買い物なさいますが、近場にこういう宝物探しができるオフプライスストアがあれば、やっぱり試着してリアル店舗で買いたい、と思うんじゃないでしょうか」

以前、ここの場所は、ワールド社が運営するアウトレットショップ(NEXTDOOR)だったが、その頃よりも売上は150%のペースとのことファミリー客が多くなったのが特徴で、子供服が特に好調だそう。このあたりは新興住宅街で、特に西大宮から川越にかけては戸建てやマンションが増えているため、潜在顧客が来店するようになったということか。商圏は半径3 キロメートルと、地元密着で勝負する。

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ファミリー客が多く子供服が特に好調。七五三向きのジャケット&パンツ&シャツの3点セットや、エナメルシューズが3千円前後で購入できる。サイズの合うものが見つけられたらラッキーだ。
取材時、スマホ片手に撮影したり文字入力をしながら、売場を歩いている客があちこちにいた。ブランドの相場を確認したり、LINEやインスタグラムで「これがこの値段だった」「こんなのをゲットした」とアップしたりする客が多いのだそう。価格比較の末に購入してくれたり、口コミで来店が期待されるため、黙認しているとのこと(店側の『我々は、どこよりもお安く提供している』との自負があるのだろう)。

現在客単価は5,500 円。郊外型の“〇〇%OFF”を売りにしている店としては、高いのではないだろうか。 「キッチン雑貨はもう少し増やしていきたい。近所にニトリさんもあるので、一格質感の高いものを品揃えしていこうかなと思います」(松下社⾧)。
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キッチン雑貨コーナー。コーヒーメーカーやジューサー、外国家電っぽい調理器具などが並ぶ。近所のニトリとの買い回りも期待できる。
1 号店の年商目標は3 億円です。まずはここでMD を固めて、来年度に2店舗出店し、郊外でのフォーマットを作りたい。その後3 年目くらいから、少し都心の方にも出していきたいですね。あまりカテゴリーを狭めると楽しさがなくなるので、いまの300坪を標準とし、顧客の層に合わせてカテゴリーの幅は弾力性をつけていきたいです。」(松下社⾧)。

ワールドグループは昨年度、株式会社ティンパンアレイ(ユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」を運営)と、株式会社オムニス(サブスクリプション型ファッションレンタルサービス「SUSTINA(サスティナ)」を運営)をグループに迎え入れた。将来的には「&Bridge」の店内に、「ラグタグ」の扱うユーズドのラグジュアリーブランドコーナーがあったり、入卒時期には「サスティナ」のコーナーでレンタルドレスが借りられたり、なんてことも考えられるかもしれない。
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店内入ってすぐの柱にひっそりと書かれている「ストアポリシー」。スタッフ間では共有されているメッセージなのだそう。

「客よし」「店よし」「メーカーよし」の三方よしの、持続可能な店づくり

店内にもう一度、目を向けてみよう。エントランスを入ってすぐの柱、側面に英語で何やら『ストアポリシー』と書いてある。『新しい製品の価値を提供します』『豊かなライフスタイルを提案します』『製品と顧客とをつなぐ架け橋になります』などなど7項目。「英文だから、お客様が目にとめることは無いんですけどね。」と松下社は笑う。

内装は「サスティナブル」をテーマに、また少しでもお客様に還元ができるようローコストであることも重視し、過去にワールド社のどこかの店で使っていた陳列什器を再利用したり、工事部材、ストック什器等を多用しているそうだ。そう思って店内を見回してみると、実は什器らしい什器がほとんど無い。工事現場で良く見る単管パイプや、ストックルームで良く見るプラスティックコンテナ、ユーロパレットが、什器然として、積み上げられ・組み合わされて使われていることに気づく。

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物流資材のユーロパレットを互い違いに積み上げ、工事現場でよく見かける単管パイプと、倉庫で使われるプラスティックコンテナを、その上に固定して作り上げた“什器”。客には単純にワイルドで新鮮に映るのみだが、根底には「サスティナブル」のテーマがしっかりとある。
また、入口付近に掲出されたビジュアルボードは「E ペーパー」と呼ばれるもので、システムを組むとデジタルサイネージのような使い方ができる上、有害な電波が出ず、電力がほぼかからないそうだ。通常時はイメージビジュアルを流しているだけだが、蓄電機能があるため、災害時には近隣住民へ向けての情報ボードとして役立てることも可能だ。
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(左)大時計のかかる壁面に張られた黒いシートは、工事現場でよく使われるものを2枚重ねしたもの。モアレ柄が浮きあがってちょっと味のある雰囲気。手前の木製の什器は、ワールドの店舗で使わなくなったものを運び込んだ。 (右)ロゴ入りの写真ボードは「Eペーパー」。まだモノクロしか映し出せないが、何種類もの画像情報を、ほぼ電力を使わずに流すことができる。
昨今、アパレルに限らず、あらゆる業種・業態において、製品・商品の大量生産や大量廃棄は国際的にも問題提起されており、ファッション業界における余剰在庫や商品廃棄の課題にも大きな社会的関心が高まっている。SDGs(持続可能な開発目標)という言葉もよく耳にするようになった。「&Bridge」も、郊外のこの地から、衣料品を再循環させ、社会貢献する店づくりを始めようとしている。

【取材・文:『ACROSS』編集部・船津佳子】
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右手の建物が「&Bridge」の入居する“にしおおみやファッションモール”。手前の駐車場は近隣住民の車で賑わう。道路の向い側には「ヤマダ電機」(画像左手)や「ニトリ」(画像真ん中奥)の看板が見える。
< 株式会社アンドブリッジの概要>
名称:株式会社アンドブリッジ
代表者:代表取締役 松下 剛
事業内容:衣料品、生活雑貨等のオフプライスストア及びEC店舗の運営
設立年月日:2019年8月1日
出資比率:ワールド50%、ゴードン・ブラザーズ・ジャパン50%



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