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シネマカリテ
レポート
2013.05.08
この記事のカテゴリー |  美容・健康 |   飲食・フーディング | 

シネマカリテ

90年代のミニシアター“シネマカリテ”が復活
さらに映画館の充実が進む新宿エリア

ロケーションは新宿南口の「Flags」と「マイシティ」の間。「新宿NOWAビル」の地下1階。地上階には大型飲食店が入居している。
スクリーンは96席の78席の2つ。ともにデジタル/アナログ両方に対応する上映環境を備えている。
作品毎に更新されるディスプレイ。中央の水槽「ヒーリング・アクアリウム」を中心に、公開作品の告知を行っている。
上映を待つ手持ちぶさたな時間などにも嬉しいアクアリウム。手前に写っているウツボは本物!
掲載記事や作品情報を壁面の掲示板に掲出している。こうした手作り感のある演出はミニシアターらしくて安心できる。
新宿駅の東南口から徒歩約2分という好立地に2012年12月22日(土)、新しくオープンしたミニシアター「シネマカリテ」。フラッグスビルとマイシティの間に位置する、大型飲食店が入居する新宿NOWAビルの地下1階というロケーションに加え、渋谷で閉館が続いたミニシアター系作品を上映する新たな受け皿として、映画ファンの注目を集めている。

スクリーンは96席と78席の2つで、ともにDCP(デジタル)と35ミリフィルムの上映環境を備えている最新の上映環境。座席はパリのオペラ座やベルサイユ宮殿でも使われているフランス・キネット社の椅子を使用。余裕のある座席配置と傾斜もあって、足を十分に伸ばしてゆったり鑑賞できるのも嬉しいポイントだ。

ロビーの環境はあくまでもシンプルなものだが、チケットカウンターなどの設備面はシネコンを通過した機能性のあるデザインが。反面、飲食に関しては自動販売機のみの設置とサービスを絞り込んでいる印象だ。映画作品ごとのプロモーション用ディスプレイや、常設のヒーリング・アクアリウム(水槽)など、他の大型の映画館にはない風景もあるのがミニシアターらしい個性である。

「シネマカリテ」 という名称は元々、「新宿武蔵野館」が現在の場所に1994~2001年末までの7年間、美術館を併設したミニシアターとして使用していたもので、映画ファンおなじみの名称が約10年ぶりに復活することになる。運営会社は「新宿武蔵野館」と同じく武蔵野興業株式会社で、「新宿武蔵野館」の3スクリーンと合わせて5スクリーンをトータルで運営している。両者とも大手のシネコン系ではかかりづらい趣味性の高い作品を上映する映画館であり、映画ファンには今回のシネマカリテの“復活”は嬉しいところだ。

同社の興行部・営業主任の松岡誠治さんに、オープンまでの経緯を聞いた。

「映画全体では、小さいものも含めると作品の数はむしろ増えているんです。『武蔵野館』だけでは全ての作品を上映し切れないこともあって、新しい映画館のオープンは以前から検討されていました。そんな中、2011年に2館、2012年に1館と立て続けに渋谷のミニシアターが閉館し、これまで以上に作品を公開する映画館が少なくなるという状態になっていたところ、ちょうどこの場所が空くことになり入居を決めました。タイミングが重なった、ということが大きかったですね」(松岡さん)。

同館がターゲットとするのは、ミニシアターの好きな映画好きの層。もちろん作品によって観客層は異なる部分はあるが、主力となるのは30~40代の映画ファン。既存館と比較すると、女性客の方が若干多い印象があるという。そのあたりはやはり、新しく綺麗な建物と椅子などの設備面の充実が寄与しているのかもしれない。

「『シネマカリテ』という名称を復活させたのは、この名前がまだ映画ファンの記憶にもとどまっている分、伝わりやすいのではないかと考えたからです。武蔵野館と同様、ジャンルや国などにとらわれずにいろいろな作品を紹介していくというのが運営方針。上映作品のカラーが固まりすぎないように、いろいろな作品を観ていただけるようにしていきたいですね。小さめのスクリーンでもよさが伝わりやすい作品をセレクトするよう心がけています」(松岡さん)。
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座席の座り心地のよさは特筆すべきポイント。パリのオペラ座やベルサイユ宮殿でも使われているフランス・キネット社の椅子を使用し、足を十分に伸ばしてゆったり鑑賞できるよう配置されている。
チケットブースや上映プログラムの表示モニターなど、機能はシンプルだが行き届いたレイアウト。このあたりは長く映画館を運営してきた同社ならではといえるだろう。
スクリーンの規模こそ小さいが、企画性のあるディスプレイなど情報発信の工夫が随所に施されている。
ロビーの空間はシンプルだが暖かみのある内装。飲食は自動販売機を数台設置するのみで、あえてミニマムにとどめている。あくまで映画上映に機能を絞り込んでいる。
1階入口から劇場に向かう階段にも手作り感ある演出が施されている。こうしたところにも運営側の映画に対する愛情が感じられる。
武蔵野興行株式会社 興行部・営業主任の松岡誠治さん。同社は「新宿武蔵野館」の3スクリーンと合わせて5スクリーンをトータルで運営している。
現在は映画の情報をまずネットで集める利用者が多く、配給が決まる前の段階からネット上で話題になるような作品も多い。日本公開が決まる前から、YouTubeで字幕のない予告編がソーシャルメディア上で広がるようなケースすらある。映画の選択の幅自体は広がっているが、それを公開する劇場がないという状態が続いていたわけだ。

「国際映画祭も増えて、いろいろな国の映画も観られるようになりました。お客様からも上映の要望も沢山寄せられるのですが、それをかける映画館そのものが少なくなってきたため、映画祭で賞を取っても上映まで至らないような作品すらあるのが現状なんです」(松岡さん)。

都心部でも郊外SCでも、シネコンが増加したことで映画を上映するスクリーンは増えているのだが、動員を求められる大手映画館のチェーンでは、マイナーな作品はむしろかかりにくい。やはりミニシアターには小規模な作品のニッチな需要を支える役割があり、それは今後も変わらないはずだ。

しかし、ミニシアターが日本に根付く場となってきた渋谷では、映画館の閉館がここ数年相次いでいる。「ヒューマントラストシネマ文化村通り」(2009年10月)、「渋谷シアターTSUTAYA」(2010年9月)、「シネマ・アンジェリカ」(同年11月)、「シネセゾン渋谷」(2011年2月)、「シアターN」(2012年12月)とミニシアターが一挙に閉館、「シネマライズ」も2010年に全盛期の3スクリーンから1スクリーンに縮小している。

新宿でも「新宿国際名画座」、「新宿国際劇場」が2012年9月に閉館、銀座では映画ファンの支持を集めてきた「銀座シネパトス」が2013年3月末で閉館するなど、名画座という形態も急速に姿を消しつつある。その背景には、近年の映画界におけるデジタル化の波があり、設備投資に耐えられない映画館が淘汰されているともいえる。

日本の映画産業全体では興行収入、入場者数とも2010年にピークを迎え、2011年は震災影響もあり減少したものの、盛り返しつつある状態にある。デジタル化によって公開される映画の本数が増えており、映画館に出かけること自体が敬遠されているということではない。

そんな中、2007年に「新宿バルト9」と「新宿ピカデリー」という2つの都市型シネコンが出現して以降、映画を見るなら新宿へ、という流れが生まれている。コアな映画ファンが集まっているというよりも、デートなどでたまに映画を観る「映画を観るならとりあえず新宿」という一般層が増えているようだ。結果的に、渋谷よりも新宿の方がマーケットのニーズに対応しているということだろう。

さらに、2015年には歌舞伎町に新たなシネコンの進出が予定され、新宿エリアへの映画館の集積が今後も進んでいく。「シネマカリテ」と系列の「新宿武蔵野館」では5スクリーン全てでデジタルとフィルム両方に対応しているという強みがあり、今後同館ではこれを活かして新作に限らず名画座的な特集上映など、上映プログラムの多様化も検討していくという。これからさらに新宿に集まる映画ファンの期待を集めていきそうだ。

【取材・文: 本橋康治(コントリビューティングエディター/フリーライター)+ACROSS編集部 】 

シネマカリテ

東京都新宿区新宿3-37-12 新宿NOWAビル地下1階
(JR新宿駅東南口下車徒歩2分、GAP並び)
全席指定・入替制
TEL:03-3352-5645
http://qualite.musashino-k.jp/


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