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保坂展人ツイッターオフ会
レポート
2013.08.23
この記事のカテゴリー |  行政 |    | 

保坂展人ツイッターオフ会

“世田谷区の文化発信基地”下北沢の未来を考える
自治体首長と市民がライブハウスで意見交換

主婦が参加しやすいよう午前中などにも行われているという保坂さんのツイッターオフ会。もちろん世田谷区民以外でも参加できる。
イベントの司会は下北沢をベースに活動するシンガーソングライターの宍戸留美さん。この日はトークの合間にミニライブが行われた。
保坂さんはツイッター以外にもUSTREAMを使った記者会見のweb中継や地域FM局など各種メディアを活用している。
イベントの世話人は下北沢で33年の歴史を持つ沖縄居酒屋「Never Never Land(ネバーネバーランド)」を経営する下平憲治さん(写真中央)。
第2部では演劇やアートを中心をとしたまちづくりがテーマ。ゲストスピーカーは日本劇作家協会会長の坂手洋二さん(右から2人目)。
小田急線の一部地下化に伴い、大きく姿を変えつつある下北沢駅周辺。再開発に向けて線路跡地や踏切、さらに駅前市場の撤去が進む現在、その行方には多くの人が関心を寄せている。地元自治体である世田谷区にとっても、下北沢駅前の再開発問題は長年に渡る大きな課題である。

世田谷区長の保坂展人さんは、自身のツイッターフォロワーを集めてさまざまなテーマのもとで市民と語り合う“オフ会”イベントを行ってきた。下北沢の未来をテーマとして2013年4月に開催された「新しい下北沢から発信するアートルネッサンス 保坂展人ツイッター3周年記念オフ会」を取材した。

会場は下北沢駅南口のダイニングレストラン/ライブハウス「風知空知(フーチークーチー)」で、区長やパネラーがステージ上から話すのではなく、観客と同じ目線で語るカジュアルな会だ。5回目の開催となったこの回は、下北沢駅の再開発問題についてシングルイシューで話し合うのがテーマである。参加者は約40人で、30~50代の男女が中心。そのうち約7割がツイッターフォロワーで、残りが下北沢の地元のつながりで集まったという。

下北沢を拠点のひとつとして活躍するシンガー・ソングライター・宍戸留美さんが司会を務め、保坂さんと下平さんを中心に、前半/後半に分けてトークを行うという構成。第1部では下北沢の情報サイトと街づくりイベントを手がける『I LOVE 下北沢』を運営する西山友則さんと、不動産店「Will Stage」を経営し下北沢の店舗事情に精通する志村晃芳さんを迎えてのトーク。いま、下北沢ではどんなことが起こっているか、という街場の最新事情が紹介された。

第2部は、下北沢の老舗小劇場「ザ・スズナリ」などでも主宰する劇団で公演を行う日本劇作家協会会長の坂手洋二さんをゲストスピーカーに迎え、演劇や音楽をリソースとする“世田谷区の文化発信基地”としての下北沢の未来像をどう描くか、というビジョンがテーマだ。

イベントの世話人は、下北沢で33年の歴史を持つ沖縄居酒屋「Never Never Land(ネバーネバーランド)」を経営する下平憲治さんだ。2013年版のミシュラン旅行ガイド『Michelin Green Guide Japon』(ミシュラングリーンガイド:日本編)では下北沢が訪れるべき場所として一つ星を獲得、初登場した中で紹介されている店舗でもある。

2011年に区長として立候補する前に、2010年からツイッターをスタートした保坂さん。フォロワーが2万人を越えたことを記念してオフ会を開催し、ネットで盛り上がった議題を即時即応でオフ会や勉強会の中で取り上げてきた。告知はもちろんツイッター経由。受付などのスタッフも全てツイッターで集まったボランティアだという。

「これまで開催した4回のうち2回は土曜の朝10時に開催して、お母さんたちが子どもをお父さんに任せて参加できるようにしました。今回は下北沢の再開発について語る“スペシャルイシュー”ですが、いつものオフ会は騒音がうるさいとか、学校でこんなイジメがあるなど、身近な問題について区長を交えて話をしています」(下平さん)
 
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ジャーナリストならではの高いメディアリテラシーと個人としての情報発信力が保坂さんの強さである。
小田急線の下北沢駅と線路跡地に生まれた広大な土地。補助54号線や駅前ロータリーの建設などを含む再開発計画の行方には区民以外からも関心が集まる重要なイシューだ。
小田急線の地下化に伴い下北沢から地上駅と踏切が姿を消した2013年3月31日の風景。写真提供:I LOVE 下北沢
取材日のオフ会には30~50代の男女を中心に約40人が集まった。そのうち約7割が保坂さんのツイッターフォロワーである。
若者の街というイメージが強い下北沢だが、周辺エリアには高齢者も多く住む住宅地でもある。
自治体の首長を中心に市民がライブハウスで集まるというオープンな集まりは、自治体首長のソーシャルメディア活用としてはとてもユニークな試みだ。参加者はネットでさまざまな意見に触れたうえで保坂さんのツイートを読んでいるので、前提抜きで本題についてすぐに対話をスタートできるのが魅力。複数のパネラーが参加するシンポジウムにありがちな、自己紹介やテーマの説明にばかり時間がかかってしまうようなこともない。

「フォロワー集会は、私が喋るのではなく“私が皆さんの話を聴く場”なんです。ネットは即時即応のメディアとして活用していますが、ネットをご覧にならない高齢者の方など多様な方に向けていろいろな網を広げていきたいと思っています」(保坂さん)。

下北沢中心部の再開発計画は、道路の大幅な拡張や大型開発に対する根強い反対運動が続いていたが、2011年2月の段階では世田谷区案がまとまっていた。しかしその後東日本大震災があり、防災機能の強化を求める要望が高まったという。「3.11」をきっかけに区長となった保坂さんはプランの見直しを図り、現在に至っている。

鉄道跡地の利用計画については小田急、東京都、世田谷区が協議をしているが、2013年7月現在で最終計画は固まっていない。サッカー場くらいの広さがあるという駅前のスペースにロータリーを整備する計画が決まっているものの、補助54号線と呼ばれる道路の買収も完了しておらず、ロータリーの完成が約20年後とも言われている。

「計画の決定を待って更地のまま放置をしていると、シモキタの魅力が失われて街が死んでしまいます。マルシェやイベントを開催したり、エンタテインメント情報の発信場所を整備するなど、テンポラリーに活用できるようにしていく必要があります。すでに新宿などにそういう動きがあるので、世田谷区にも同じような流れを起こしたいですね」(下平さん)。

この日は「アート・ルネッサンス」をテーマに”下北沢の魅力のひとつであるエンタテインメントやアートなどのカルチャーを今後の街づくりにどう活かしていくか、という議論が参加者を交えて活発に行われた。保坂さんによれば、世田谷区では今後、三軒茶屋と二子玉川に下北沢を加えた3つの街で、アートや演劇を活かした街の振興策を展開していきたいという。

「下北沢ー三軒茶屋ー二子玉川が共振しながら競い合っていくような関係を、90万の区民に構図として見せていくことが必要だと思っています。文化政策というのはトップが“何がなんでもやる”という意思を戦略的に持たなければ進みません。街づくりの中でアートの力を発揮していけるよう、行政がどういう長期計画のもとでやっているのかを丁寧に伝えていきたい」(保坂さん)。

ソーシャルメディアを介してリアルタイムで首長と行政、市民がつながり、ビジョンをシェアするという世田谷区の区民参加の新しい試みはまだスタートしたばかりだ。大規模開発に文化政策、コミュニティの再生など多面的な問題が複合する下北沢の行方とともに、今後も継続して注目していきたい。
 
 

【取材・文: 本橋康治(コントリビューティングエディター/フリーライター)+ACROSS編集部 】 

保坂展人ツイッターオフ会

保坂展人プロフィール

世田谷区長(前衆議院議員・ジャーナリスト)
1955年11月26日宮城県仙台市生まれ。都立新宿高校・定時制中退。1980年代から教育ジャーナリストとして活躍。若者と子ども問題を中心に取り組み、1996年には学校、塾、PTA、若者グループなど幅広く区民を結集した「こどもいのちのネットワーク」(代表牟田悌三・事務局長保坂展人)を結成。
1996年に衆議院議員初当選。2011年4月の世田谷区長選に無所属として立候補、当選。東日本大震災後初の「脱原発首長」としてエネルギー政策などで注目を集めている。

ツイッターアカウント @hosakanobuto


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