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Run boys!  Run girls!(ラン ボーイズ!ラン ガールズ!)
レポート
2013.11.27
この記事のカテゴリー |  カルチャー | 

Run boys! Run girls!(ラン ボーイズ!ラン ガールズ!)

トレイルランニングのカルチャーを伝える日本初の専門ショップ

 新しいカテゴリーのアウトドアスポーツとして注目を集め、2009~2010年頃から大きく競技人口を増やしているトレイルランニング岩本町(東京都千代田区)の「Run boys! Run girls!(ラン・ボーイズ! ラン・ガールズ!)」は、2013年4月にオープンした初のトレイルランニング専門店だ

 

 

ベアフット系のシューズがこれまでのトレンドであったが、対照的にソールの厚いランニングシューズも登場してきた。街用として履いても楽しそうなデザイン
レディスのコーディネート例。トレイルランのウェアには機能性や防寒性など様々な機能が求められる
女性ランナー向けのヘアバンド。こうした機能一辺倒ではないギアはスポーツ専門店にはあまり品揃えされていないがビギナー層の拡大にも大切な要素だ
長距離を走るトレイルランニングには栄養補給のための補給食が必須。人気のエネルギーバー「CLIF BAR(クリフバー)」やオーガニックのハチミツを使用した「HONEY STINGER(ハニースティンガー)」和風のスポーツようかんまで幅広い品揃え
世界中のコアなランナーが集まるメキシコ秘境のレース「コッパーキャニオン」に参加した日本人ランナーたち。右から3人めが桑原さんで、その左隣がプロトレイルランナーの石川弘樹さん

Run boys! Run girls!(ランボーイズ!ランガールズ!)

新しいカテゴリーのアウトドアスポーツとして注目を集め、2009~2010年頃から大きく競技人口を増やしているトレイルランニング。岩本町(東京都千代田区)のRun boys! Run girls!(ラン・ボーイズ! ラン・ガールズ!)」は、2013年4月にオープンした初のトレイルランニング専門店である。
ロケーションは、魅力的なリノベーション物件が点在するイースト東京エリア。2階建ての小さなビル1Fのショップは面積約30平方メートルで、トレイルランニングのシューズやウェア、ギアを一通り揃えることができる。
 
ユーザーの男女比は7:3で、コアなトレイルランナーからビギナーまで幅広い層が来店する。取り扱う商品は、大型店では取扱いが少ないトレイルランナーの細かいニーズに応えるアイテムが多く、トレランに携わる人たちが集まるリアルな場所としても機能しているようだ。
 
トレランは山岳地域を走るランニングで、レースによって走行距離は異なる。日本では90年代からレースが開催されているが、これまでランナーは登山やランニングのウェアやシューズを使っていた。しかしここ数年でレースの数も増加、競技人口が増えたことによって専用の装備が開発されるようになり、マーケットも拡大傾向にあるようだ。トレランのウェアやシューズは、登山系のものに比べるとよりファッション性が高く、重装備感がないため日常のファッションにも取り入れられそうな点も魅力だ。
 
「カッコいいギアやトレランに関する様々な情報を得られる、自分が行きたいトレラン屋さんを作りたい、というのがスタートです。最近は街でもそのまま楽しめるようなウェアも増えていますし、コアな方からライトなユーザーまで楽しんでいただけるような品揃えを目指しています」

と語るオーナーの桑原慶さんは、自らも国内外のレースに出場するトレイルランナー。陸上競技や登山の経験もそれほど豊富ではなかった彼は、トレイルランニングに本格的に取り組んでからまだ3年。2011年11月にたまたま知り合ったトレイルランナーの精神的なタフさに触れたことがきっかけとなり、トレイルランニングにのめり込むことになった。

「僕が出会った彼らの多くは特別なアスリートというわけではなく、はじめは5kmのランニングから始めたようなごく普通の人ばかり。そんな彼らが100マイル(約160km)の山岳レースという過酷なレースに挑み、自分の辛かったレースの経験を笑いながら話している。そんなふうに人の体も心も強くするというのがトレイルランニングの魅力と感じています。」(桑原さん)

桑原さんは2002年からフットサルコートにカフェを併設した施設を運営していた経験があるが、2011年に当時のパートナーに譲渡。身近な毎日の食事から生まれる”健康”をテーマに、カロリーや栄養バランスを考えた献立が特徴の定食屋を作ろうと考えていた。
 
「震災と原発事故を機に日本社会のさまざまな構造が露わになりましたが、僕はまず自分が行うことができる経済活動として、明確な価値を提供できるようなスモールビジネスをやっていきたいと思ったんです」(桑原さん)
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オーナーの桑原慶さんは海外のレースにも参加するトレイルランナー。ビギナーの相談にも気軽に答えてくれる
トレイルランニングに注目を集めるきっかけとなったクリストファー・マクドゥーガル著『Born To Run』の原著
書籍『Born To Run』のヒットで注目を集めたベアフット・ランニングシューズ。ニューバランスの「minimus(ミニマス)」シリーズは代表的なヒットアイテム
ギア類は登山用とランニング用のそれぞれを使う場合が多いが、マーケットの拡大とともにトレイルラン専用のものが開発されるようになってきたという
山岳系のカルチャーにはあまり見ることができなかったポップなセンスも魅力の一つだ
各地でトレイルランのレースが開催されている。デザイン面でもクォリティの高いものが多い
岩本町の小さなビルをリノベーションしたショップ。2Fがオフィス
ところがあるトレイルランナーとの出会いから、桑原さんはトレイルランニングの専門店のオープンへと方向転換する。トレランによってもたらされる精神のタフさと人間的な成長は、震災後の日本人に最も必要なものであると考えた桑原さんは、この新しいスポーツの普及をサポートすることで、生きづらい時代を乗り越えていけるメンタリティの仲間を増やしていこうというビジョンを描いたのである。

ちょうど桑原さんの周囲に生まれつつあったトレランのコミュニティからもサポートがあった。同店の近隣には弊サイトでも紹介した「OnEdropCafe.(ワンドロップカフェ)」(
Acrossの取材記事はこちらがあるが、こちらのオーナーの小松さんも時期を同じくしてトレイルランニングの世界にハマった一人。「Run Boys! Run Girls!」が入居している物件も彼の紹介で見つけたものだ。

トレランのシーンが大きく変化したのが、2010年の書籍『Born to Run』のヒット。ここで紹介されているベアフット・ランニングやウルトラマラソン、トレイル・ランニングにはアメリカ西海岸のオルタナティブなスポーツ・カルチャーの香りがあり、タレントの水道橋博士さんなどがソーシャルメディアでその魅力を紹介したことで一気に注目を集めた。
自分の内面に向かい合い、生き方を問い直すような311後の時代の空気にもフィットし、そのムーブメントはさらに広がりつつある。
 
トレランはあくまでも個人競技だが、レースを戦うランナーには給水や体調管理などの細かなサポートが必要になる。海外ではペーサー(選手と並走して走ってくれるパートナーで、日本では認められていないレースもある)を行う協力者と共にチームで参加するランナーが多く、レースの運営者の方から個人参加のランナーにペーサーを用意してくれるケースもある。コース管理や救護などでレースを支えるボランティアスタッフも必要だ。

チームの一員として選手をサポートする、あるいはレースの運営を側面から関わるなど様々な参加の仕方があり、トレイルランニングという成長途上にある競技コミュ
ニティを支えるという意識も加わって、参加者には独特の充実感があるようだ。
 
「レースは厳しいですが、それでも普通の人が自分の限界を超えていく経験を味わえるのがトレランの魅力なんです。経験を積んでいくうちに、気がつけば最初に自分が想像もしなかった距離を走れるくらいにタフになっています」(桑原さん)
 
トレランのレースへの出場者は年々増加する傾向にあり、出走希望者が多い人気レース「ハセツネ(長谷川恒男)カップ日本山岳耐久レース」では2,000人を越える出場者が集まる。また、距離やコースの設定についての自由度が高いため、地域振興に寄与しているケースもある。トレーニングを兼ねて少人数で行う草レースなども各地で行われており、トレランにはまだまだ成長の可能性がありそうだ。自治体の側がスポーツ観光の一つとしてトレランを活用するケースなども、今後さらに増えていきそうな予感がある。
 
コアなトレイルランナーが集まる Run boys! Run girls! だが、今後は次のステップとして「街のランニングショップ」としての機能も強めていきたい、と桑原さんは語る。近隣のランナーに集いの場を提供し、未経験者やライトユーザーに走るきっかけを提供するイースト東京のランニングショップとして、シーンの裾野を広げる役割を担っていくことになりそうだ。
 
 
【取材・文: 本橋康治(コントリビューティングエディター/フリーライター) 】 

Run boys! Run girls!(ランボーイズ!ランガールズ!)

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東京都千代田区岩本町2-8-10
ロクマルビル1F
営業時間:12:00~21:00 / 不定休
TEL:03-5825-4534/FAX:03-5825-4556

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