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新企画 定点観測海外編
「定点観測 in NYC」第1回目スタート!
レポート
2013.12.10
この記事のカテゴリー |  ファッション | 

新企画 定点観測海外編
「定点観測 in NYC」第1回目スタート!

1980年8月より毎月実施している東京の若者とファッションを観察・分析する「定点観測」は、来年4月で第400回目迎える。
今回、初の定点観測海外編をとして、新企画「定点観測 in NYC(ニューヨークシティ)」をスタート。マンハッタンのソーホー地区からのリアルなストリートシーンをレポートする。

2013年10月、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ソーホーにて、日本と同様のルールに乗っ取って「定点観測」を実施した。

NY地点のスナップ/インタビューページはこちら

「定点観測」のルールとは、以下の通りである。
①プレサーベイにて、観察場所とテーマを選定する。
②実査日を決め、11時〜18時(日没前)まで観察とスナップを行う。
③選定した観測アイテムやスタイルを着用する人が通行人中に何名なのかを測定する(流行の浸透率とみなす)。
④当該するアイテムやスタイルを着用している人にインタビューを行う。
⑤撮影したスナップ写真やインタビューなどの結果をスタッフ内で共有し、考察する。

今回、実査を担当したのは在ニューヨーク(以下NY)7年の宮本諒さん。宮本さんは、高校卒業後、Cajvin Klein(カルバンクライン)やCeline(セリーヌ)を輩出したNY州立ファッション工科大学(FIT)にて、ファッションビジネスを専攻。在学中からスタートしたストリートスナップブログ「OTOMAYIM B DIPPER」は、現地『New York Magazine』に取り上げられるなど、国内外から注目を集めている。現在はストリートスナップを続けながら、NYのY-3(ワイスリー) にショップスタッフとして勤務している。
 
今回は初めての試みということもあり、場所の選定は事前に編集部でマンハッタン(ほぼ全域)と今話題のブルックリンなどをフィールドワークし、宮本さんとも相談の上決定した場所は、ソーホー地区のブロードウェイ大通りが交わる交差点付近。そこから1〜2本外れたマーサー通り、グリーン通り周辺で定点観測を行った。
 
観光客で最も賑わうブロードウェイ大通りは、H&Mやユニクロ、Victoria’s Secret(ビクトリアズシークレット)など、いわゆるマス向けのショップが並ぶ通りである。反対に、マーサー通りとグリーン通りは、Marni(マルニ)や Helmut Lang(ヘルムートラング)、rag & bone(ラグ&ボーン)、3.1Phillip Lim(3.1フィリップリム)、Y-3(ワイスリー)、そしてルイヴィトンなどのハイブランドのショップが連なる古い建物の1階部分に出店し、新旧が入り交じったヨーロッパっぽい雰囲気が感度の高い若者たちに人気のエリアとなっている。
 
NYに住んでいる感度の高い人たちは極力、ゆっくり歩く観光客が多いブロードウェイを避け、上記2つを含めた通りをチャカチャカと早足で歩く。
またソーホー地区は、アパレル会社、広告会社、モデルエージェンシーなど、クリエイティブな職場が多く、職場のドレスコードも、比較的ゆるめである点も特徴的だ。

実施日は、10月22日(火)とした。カウントは同日の13時30分〜14時30分の1時間、Prince Street(プリンスストリート)とMercer Street(マーサーストリート)の交差点で行った。ブロードウェイからアップルストアへの来店客が多いことから、ブロードウェイ方向からアップルストアへ向かってくる南西の角を通る人全てをカウントした。
観測結果は以下の通り。
 
●通行人数:合計1,373人
◯男性合計629人
◯女性合計744人
 
●カウントアイテム:ナイキのスニーカー
◯男性 46人(7.3%)
◯女性 39人(5.2%)
 


◎カウントアイテム:NIKE(ナイキ)のスニーカー

東京では、昨年ごろから<シティボーイ>の復活とともに、その代表アイコンとして、NEW BALANCE(ニューバランス)のスニーカーが大ブレイクしたが、NYはやはりメイドインUSAということなのか、圧倒的にナイキが多く、今回カウントアイテムとして観察することにした。

近年アメリカで注目されている若者のライフスタイルを意味するキーワードに、「ヒップスター」というのがある。もともと「流行に敏感な人」という意味だった言葉だが、リーマンショック後の2010年前後に、服装なんて気にしないという精神、高額なブランド品で着飾るということにクールさを見出さず、音楽やアートなどを重視した生活を好む若者が顕在化したことから、雑誌編集者らが改めて提唱。一部で話題になったが、その後、カルチャー的な意味合いは薄れ、ひとつのファッションになっていった。

「ヒッピー」が少しキレイ目に、且つ現代風になったというようなイメージというとわかりやすいだろうか。NIKEのスニーカーは、そんなヒップスターのアイコン的存在として、NYの若者たち(10代後半〜20代後半)に人気のアイテムとなっているようだ。

取り入れられ方は、スニーカーを他のストリート系のアイテムと共に合わせるか、ハズしのアイテムとして取り入れるかのどちらかに分かれる。

前者はHIPHOPアーティストのASAP ROCKY(エイサップ・ロッキー)やKanye West(カニエウエスト)など、音楽シーンからから影響を受けた若者が多い。Supreme.(シュプリーム)などロゴ入りのアイテムを取り入れ、セミロングのトップスにビーニー、そしてボトムスはスキニージーンズなどを合わせるなどの「ストリートMIX」のスタイルが見られた。
後者は、中折れ帽やトレンチコート等のクラシックなアイテムと、NIKEのスニーカーをあえてコーディネート。黒ぶちのメガネとともに、古き良きアメリカの50年代のファッションがリバイバルしたようなスタイルが人気だった。少し前は、レザーブーツにワークジャケット等、ガチガチのスタイルが目立っていたが、現在はNIKEのスニーカーでカジュアル・柔軟にファッションを楽しんでいる雰囲気が感じられた。


さらに、健康志向が高く、スポーツジムの利用率がアメリカで最も高いのもNYの特徴。日常的にワークアウトをこなし、10ドルもする栄養満点のオーガニックジュースを飲むニューヨーカー。日常的にスニーカーを履いているのは、「すぐにジムやヨガに行ける」ということのポーズや、「健康にも気を配っている私」を表現しているのかもしれない。

◎ ズームアップ・アイテム1:セットアップ・スタイル


東京の10月の定点観測でも取り上げた「セットアップ・スタイル」。席巻する<シティボーイ>とは異なり、柄トップス×柄ボトムスなど、モードなニュアンスが新鮮で、NYでもチラホラ見かけるということで、比較してみようということから注目することにした。

しかし、実際に観察してみると、ソーホー地区で仕立ての良いジャケットとパンツのセットアップ・スタイルの人たちは、スーツなどを扱うショップのスタッフ が大半を占めており、モードっぽいセットアップ・スタイルも黒いジャケット×パンツが多かった。
 
一方、それ以外では、「柄×柄」という東京モードな スタイルよりは、上下ブルーデニムによる70年代風のセットアップ・スタイルが多く、その大半は、マンハッタンではなく、ブルックリン地区に住み、ソー ホー地区にショッピングに来ているケースも少なくなかった。

◎ ズームアップ・アイテム2:ヒゲ
「ヒップスター」のファッションアイコンとして見逃せないのが、長く伸ばした「ヒゲ」だ。ひと昔前は口ヒゲの両端を特別なジェルをつけてピンと尖らせた50年代風のスタイルが流行っていたが、現在は口ヒゲからあごヒゲまで全て伸ばした少しワイルドなスタイルへと変化している。


ここまで自由にヒゲを伸ばすことができるのは、アーティストやデザイナー、職人など、何らかのクリエィティブな職業に就いていることの象徴でもあり、また、そういった生き方に憧れる若者のアイコンともいえそうだ。

実際にインタビューしてみると、「1800年代の紳士のイメージにぴったりなのでヒゲを伸ばしてる」や、「トリミングをして軽さを出したり、自分なりにアレンジ出来るのが楽しい。自分の身体に張り付いて常に変化し続ける、アート作品の様な気持ちでヒゲを扱っている」など、単なる個性の表現に留まらず、身体の一部としての楽しみ方を語っていた点が興味深かった。




さて、全体を通しての考察としてのポイントをいくつかあげてみたい。


街をぶらつくモデルたちが、シンプルなTシャツとデニムにHedi Slimane(エディスリマン)のSaint Laurent(サンローラン)のレザージャケットを着て、足下はNIKEのROCHE(ローシ ランシリーズ)を合わせるというようなハイブランドをストリートアイテムで着崩すラフなコーディネートが見られるNY。

オフィスワーカーの足元が、ヒールやフラットシューズからスニーカーに移行。Tシャツにスパッツ+スニーカーのようなラフなモデルのオフスタイルがファッションアイコンとなっている現象は、日本もNYも共通していた。

「お洒落を頑張りすぎないというオシャレ」という適度なヌケ感を表現しようとしている意識は東京と似ているが、細部に渡りルールに忠実な東京の若者に比べ、結果的に表現されたファッション(アウトプット)は、他者に媚びるような“カワイイ”ニュアンスは微塵も感じられない“クール(カッコイイ)”なスタイルが多いのもNYの特徴だろう。

今後も、 NYのストリートを継続的に観測していく予定だ。
[取材/文:宮本諒(RYO MIYAMOTO)+アクロス編集部]



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