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Archivando(アルチヴァンド)
レポート
2014.06.30
この記事のカテゴリー |  インテリア・雑貨 | 

Archivando(アルチヴァンド)

男性目線で選ばれた良質な生活雑貨に出合える 神山町のライフスタイルショップ

2012年以降、“ライフスタイルショップ“と呼ばれる業態が急増している。

衣食住それぞれのショップを複合させた1LDK apartment.、数多くのグリーンが特徴のTODAY’S SPECIAL(トゥデイズスペシャル)、お米・ご飯を軸にセレクトした食や雑貨、道具を扱うAKOMEYA TOKYO(アコメヤトウキョウ)など、切り口は様々。弊サイトでも取り上げたINTERSECT BY LEXUS – TOKYO(インターセクトバイレクサス東京)のようにショールームにライフスタイル業態を取り込むケースや、梨花がディレクションする「MAISON DE REEFUR(メゾンドリーファー)、辺見えみりの「plage(プラージュ)」ように、タレントを起用したショップなども登場。『CASA BRUTUS(カーサブルータス)』2013年7月号では、「理想の暮らしが買える店2013」という特集がされたり、『&Premium(アンドプレミアム)』が創刊されるなど、ブームになっている。 
ドイツ・ターク社のクラシックフライパンは一枚の鉄を熱してハンマーで叩き出した一体型。子や孫の代まで使えるロングライフ・プロダクツである。
フランス・ライヨールのカトラリー。持ち手がカラフルなものが一般的だが、同店ではオールステンレスをセレクト。
野田琺瑯のホワイト保存容器は定番だが売れ筋の商品。
木の箱や古道具を使ったディスプレイ。無骨だがセンスが光る。

渋谷区神山町にある、こだわりの生活雑貨を扱う「Archivando(アルチヴァンド)」もそのひとつ。2013年11月1日にオープンした同店は、コンクリート打ちっ放しの空間に洗練された商品が整然と並び、どこか雄々しさが漂う。オーナーは、店舗デザイナーとして33年間勤めた後に独立した神谷智之さん(51歳)。実家が家具工房で、ものづくりは身近だったという。生活関連の「もの」に興味を持ったのは、転勤で20代半ばから30歳まで、ニューヨークとロンドンで暮らしたことが影響しているという。海外生活直前の1980年代後半、日本はバブル景気で仕事も忙しく、深夜残業も当たり前だったそうだ。

「東京では休みも取れずに働いても、帰る場所は1部屋だけの狭い家。それに対して、アメリカでの生活は、広いリビングとベッドルーム、オーブン付きのダイニングキッチンもあり、庭の木にはリスがやってくるというゆったりしたものでした。それまでは料理なんてしたこともなかったのに、そんな環境だとやってみたい気持ちになり、良い食器やカトラリー、包丁、フライパンを揃えました。残業をすることもなく、日本とは全く違う働き方で、生活を楽しむとは、このようなことだと実感したんです」(オーナー・神谷智之さん)

以来20年近く、良質なものを紹介する場所を持ちたいという漠然とした思いがあったという。そして、50歳を目前にした2012年頃に一念発起。人とものが出合う場所を作るための参考に色々な雑貨店を見て回った。そこで転機になったのが、吉祥寺にあるRoundabout(ラウンダバウト)OUTBOUND(アウトバウンド)、そのオーナーの小林和人さんとの出会い。ディスプレイの妙、品揃え、作家との協業活動に触れ、神谷さんはこれが自分のやりたいことだと確信したそうだ。

Roundaboutには自分の使っているもの、使いたいものがあって、お店に惹かれて何度も足を運びました。小林さんと私の考え方にも共通点が多く、小林さんに監修して頂きたいと思ったんです。時間をかけて思いを伝え、お引き受けいただきました」(神谷さん)

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商品を際立たせるため、できるだけデザインを排し、コンクリートの箱のような空間を作った。
什器にもあえて使い古したの材料を使い、雰囲気を出したそうだ。
左:フランス、ルベヌールのオーガニック石鹸。 中央・右:ベルギーの老舗石けんメーカー、サボネリーブリュッセルのナチュラルソープ。
約150円~約5万円までと価格帯は広いが、高額なものを迷わず購入する客も少なくないという。代々木上原や松濤など高級住宅街に隣接する神山町エリアならでは。
オーガニックコットンと再生竹繊維を使ったヒポポタマスのオーガニックタオル。
ババグーリの天然成分シャンプーと石鹸。ジャタマンシ(別名スパイクナード)は、ストレス、緊張、不眠などに効果のあるハーブ。
シューケア用品など、男性目線の生活用品が充実している。
店名のArchivando(アルチヴァンド)とは、スペイン語でだらだら坂の意味。その名の通り、小さな坂の途中に位置している。
立ち上げの商品セレクトは小林さんに一任。今後は神谷さんも一緒に選んでいく予定だという。商品構成は、キッチン用品、バスグッズ、文具など。作家による木工品や磁器もあれば、ルワンダの伝統工芸品のバスケット、ドイツのターク社の鉄製フライパンなど、国内外から選ばれた多種多様なラインナップだ。シンプルなデザインのなかに機能が凝縮されている、そんな印象を持つ商品が展開されているが、セレクトのこだわりは、「そのものが用途に対して正しい形、正しい素材、品質が保たれていることが大前提。男目線で選んだものが中心なので、ファンシーなものではありません。業務用なども多いです」(神谷さん)。人気は、フレンチレストランなどでも使われているフランス製のステンレスカトラリー(900円~)、野田琺瑯(ほうろう)の容器(1,100円~)、イタリア製の業務用皿(800円~)。

物件選びの条件は、駅から近い路面店、そしてコンクリートの建物。当初はランニングコストを抑えるために国立などの中央線沿線の郊外で探したが、物件探しが難航し、都市部で物件を探すうちに、静かでありながら、飲食店が増えて賑わいを見せている神山町の物件に出会い、出店を決めたそうだ。神谷さん自身がデザインした16坪の店内は、コンクリートの塊にするために、それまであった天井を剥がしたそうだ。什器は、コンクリートの塊に負けない存在感のある古い家具を調達。堅固さのなかに温かみを感じる空間をつくっている。

来客層の男女比は4.5:5.5。カップルや夫婦での来店が多いが、想像以上に男性客の比率が高いという。「男性が先に一人で来店されて、後日に奥さんや彼女と一緒に来られて購入を決めるというケースも多いです」(神谷さん)。近隣だけでなく東北や関西といった遠方からの来店も少なくない。さらにイギリスの雑誌MONOCLE(モノクル)が選ぶ世界の小売店トップ25「TOP SMALL ARTISANAL RETAILER」に選ばれたこともあり、海外からの観光客や首都圏在住の外国人の来店も多いそうだ。

取材時は、オーストリアのドップラー社のハンドメイド傘受注会を開催していた。今後も展示会や受注会などを行っていくという。そして、作り手と買い手のサポートになれるような、双方の出会いの場になることを目指すそうだ。

「父は家具職人、私もデザイナーとはいえ職人のようなもの。店舗設計では大工、水道や電気などの職人にささえられてここまでやってこられました。ここは、木工の人や布、ガラスなどの作り手の発表の場にしたいですし、そう使ってもらいたいです。作家と言われなくても、真摯にものづくりをしている人たちに。それが、作り手への恩返しになると思っています」(神谷さん)

同店の顧客は20代~80代までと幅広いが、中心となるのは30代〜40代だという。冒頭でも触れたように、ライフタイルショップはここ数年、小売りに於けるブームとなっているが、その背景には「ファッション<日々の暮らし」という志向を持つ30〜40代が、ショップを仕掛ける側と消費する側の両者において主役になっていることが少なからず関係しているだろう。今後、こういった志向性が他の世代にも波及し、全国的に一般化していくだろう。

そして、細分化が進むライフタイルショップの新たなジャンルとして、同店の様な、“男性目線のライフスタイルグッズ“というカテゴリが確立されたといえそうだ。

取材・文 緒方麻希子+ACROSS編集部

Archivando(アルチヴァンド)

〒150-0047東京都渋谷区神山町41-5
営業時間: 平日13:00-22:00
      土日祝 12:00-21:00
定休日:  水曜
TEL: 03-5738-7253


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